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5年で160人の学生が在籍したベンチャー -インターンでしか学べないこと

こんにちは。大阪のクジラ株式会社 / SEKAI HOTEL株式会社の代表の矢野浩一です。

2007年、当時24歳の時にクジラ株式会社を設立し早くも経営者として13年目を迎えました。

大学に行っていない自分は「学歴なんて関係ない!」と働き続けてきた。本当にたくさんの人と働いてきたけど、とにかく離職率が高い。もう人が辞めていくことに耐えられなくなった僕は会社をたたもうとさえ思った。

そんなときにとある本との出会いをきっかけに「良い会社とはいろいろあるが、『学生に人気があるか』というのが良い会社としてのひとつのバロメーター」ということを知った。

当時2014年。そこから「インターンシップを受け入れる大阪のベンチャー企業」という新しい歴史が始まった。

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学校と社会の“優秀”の違い

学生時代にとても優秀で、リーダーシップを発揮していたような人も、就職後すぐに退社しちゃうケースを毎年見ている。

現代の就活におけるミスマッチングだ!という意見も多い中、僕はこの原因を、本人に訪れている学生生活における“優秀”から社会での“優秀”へのパラダイムシフトに気づけなかったことだと捉えている。

学生時代というのは、学費を払って授業や環境を享受するという「サービスを受ける側」というものに対して、社会というのは「受け取る金銭に値する対価・成果を提供する側」なのだから、価値観は大きく変わり、優秀の意味も変わってくるのである。

新卒世代が「会社が不公平すぎる」と感じることが多いのは、実はそんなに不公平だったわけではなくて、金銭を支払う「学校」という環境は社会に比べて過剰に平等扱いを受けていたということに気づいて欲しい。

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社会に必要な力とは。

社会においての優秀とは“生み出した価値”に比例するものだと思う。

「金銭的評価を受けるに値する評価かどうか?」

この視点から見れば、学生時代の優秀とはかなり異なることがわかる。アルバイトの時給というのは時間の対価であり、生み出した価値には比例しない。留学経験などもそれを生かして価値を生むことで初めて社会における優秀と呼べるものだと思う。

しかし今の学生には、社会のルールにて「自分の生み出した価値を見つめる」経験機会が少なすぎると思う。そもそも学生にとって“不公平”と感じてしまう社会のルールを少しでも早く自分の価値観に取り入れて欲しい。

上記のことから、僕は社会に出る前の準備期間が一番長く取れる学生時代に、学校では学べない「社会に必要な力」をインターンシップで身につけていくべきだと考えている。

ちょっと変わったインターンシップ

弊社のインターシップは非常に変わったやり方をしている。僕自身が大学に行ってなかったのに加えて、インターンシップを受け入れている経営者の友人もいなかったので、結果として独特な形のインターンとなった。


①期間は無期限(本人次第)
②在籍者の60%以上が1年以上在籍
③累計160人(2014年12月〜)
④基本条件としていつ会社に来ても良い
⑤学生のみでのプロジェクト多数
⑥東京・福岡・海外など遠隔参加のインターンも(条件アリ)
⑦決済権を持つ学生も
⑧月に一度全員が代表と個人面談

余談だが、インターンから正社員になった先輩もたくさんいるので、弊社の役員・社員の平均年齢は28歳。昭和生まれが4人しかいない組織。

社員・インターンが混ざってのプロジェクトも多数。

社会での評価を体験する。

累計160名のインターンの中から生まれ、今では会社にとって重要なプロジェクトにまで昇華したものもたくさんある。

そして、すべてのプロジェクトにおいて、自分たちが企画・実施したものを社外の人に評価してもらう工夫をしている。

例えば、DIY。

インターンが中小企業向けに「トイレなど、外部の方も使用する部分をリノベーションしませんか?」と企画するもの。

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ヒアリング、プレゼン内容、図面、CGパースなどを用意して提案する。大学生が企業経営者に提案して、施工も自分たちでDIYするのだからとても変わった企画だと思う。

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そしてこの企画の最大の特徴が「支払う金額をお客様が決める」というものである。

大きくは選択肢が3〜4つあって、金額を決めてもらう。無料・10,000円・30,000円・50,000円のような感じ。

金額が決まると最後は学生が自分で請求書をお客様に持っていく。自分の費やした膨大な時間や、振り絞ったアイデア、たくさん移動した労力などはいくらになるのだろうか?

この経験は本当に大切なものだと思う。

“やりがい”以上のところにある感情。

もらった金額という評価も新鮮だろうが、僕が驚いたのは泣いて喜ぶような経験をして帰ってくる学生もいるということ。

自分の至らなさにストレスを感じながらも、お客様から感謝の言葉をもらえた喜びでもあると思う。

そんな学生たちに共通して言えるのは、みんな「やりがいを感じている」ということ。そしてさらに「自分自身を心底褒めてあげたい感情」も持って帰ってきているようにも思う。

褒めてあげたい部分は、人によって今まで悩んできた部分や自信がなかった部分じゃないだろうか。

今まで肯定できなかった「自分自身の一部」を褒めてあげたい。この感情は、たくさんの人生経験があってようやく言語化できる素敵な感情だと思う。感覚的にでもこれを学生時代に経験できることは、社会に出てから必要とされるスキルを高めるだけでなく、精神的な免疫力も高めるものだと思う。

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提供している対価は何か。

やりがいに繋がる提供価値こそ社会においてもっとも重要視して欲しい価値。

それは“他者への貢献”

困ってる人を助けたり、不安・不満を取り除いたり、社会の課題を解決したり。

僕はこれこそやりがいに直結し、自分自身を褒めてあげることのできる万人に共通する手段であると考えている。

社会においてどれだけ価値を生むかが大切と先述したが、その提供価値は物理的な利便性や嗜好よりも、社会や誰かの「不の解決」であってほしい。

そうすれば評価として返ってくるものはお金などの物理的なものだけでなく、やりがいや自己肯定感も付与されてくるのだから。

定量的な評価ばかりに目がいくと、自分の置かれている立場に不公平を感じやすいが、「誰かのために」価値を生んでいく行為は情熱が不公平感を超えていくものだと思う。

“どこで働くかより、誰と働くか”というような言葉も良く聞くが、僕はどこで働いても、誰と働いても、社会にとっての不の解決に取り組めるマインドを学生たちにこれからも伝えていきたい。

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