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抱え込み過ぎる人は(アドラー心理学4)

はじめに


アドラー心理学って聞いたことありますか?色んな自己啓発本やらなんやでも紹介されているので名前だけは知っているって人は結構多いと思います。
有名なのは「嫌われる勇気」でしょうか。真面目な日本人に多い、人間関係に悩むそこの貴方、一度読んでみるのもありかもしれません。

今回参考にしているのは、小池直己氏による『英語で楽しむアドラー心理学 その著作が語り語りかける、勇気と信念の言葉』で、その内容にいくつか補足や私見なんかを添えて紹介していきたいと思います。

どちらも、専門書ではなく自己啓発本や多読本に近いので読みやすいと思います。

ざっくりアドラー心理学


まず、アドラー心理学とは、文字通り心理学者のアルフレッド・アドラーの考えをもとにした心理学で、その特徴は「目的論」を基礎としているところだそうです。他にも4つ基礎的な考えがあって、それらを合わせて5つの前提があるのですが、アドラー心理学の講義をしたい訳じゃないので、必要なときに必要なだけ説明することにします。

「人間の悩みの基は、ぜんぶ人間関係だ!」的な考えがあって、その解決や対応について多くのおすすめの考え方が存在するのが魅力ですね。

本文

抱え込み過ぎるときは

抱え込みやすい人っていますよね。生真面目な人に多い傾向があるように思いますが、そのようにか抱え込み過ぎてしまったときのお話です。

まず考えるのは自分と他人は違うということです。そして自分の課題と他人の課題をしっかりと区別するのです。

詳しく説明します。

自分と他人は違う

これは当然のことのようにも思えますが、確認しておくべきことです。他人は自分ではないのです。これはつまり、そもそも他人は思い通りにはならないという意味です。他人はあなたの願いを叶える道具ではありませんし、同様に、あなたは他人の願いを叶える道具ではありません。独立した存在です。

その上でそれぞれの課題、つまり「やるべきこと」を区別することで必要以上に踏み込んで、抱え込み過ぎてしまう事態を防ぐことができます。

例えば、あなたはバイトや会社で新人の教育担当になりました。あなたは自分が教えて貰ったように新人に懇切丁寧に指導するかもしれません。

しかし、その新人はあなたの話を聞かないばかりか全く仕事を覚えることがく、教育担当のあなたは上司から叱責されたかもしれません。

こんな時、あなたは自分が悪いと考えるでしょうか。それとも新人や上司が悪いと考えるでしょうか。

実際の状況や新人や上司の言行なんかが分からないため正確には分かりませんが、もし「自分が悪いんだ・自分の責任だ」と考えてしまった人は上手く課題の分離ができていないかもしれません。

この場合のあなたの課題はなんでしょうか?

新人を一人前にすること?上司の叱責を受けて、指摘された通りに再度試みること?あるいは新人教育は不向きだと、担当を降りることでしょうか。

恐らくそのどれもが少しだけズレています。

あなたの課題は「新人を教育すること」そして「そのための必要最低限の努力をすること」ではないでしょうか。

これは「新人を一人前にすること」と同じように聞こえるかもしれませんが、決定的に違うのは「一人前にすること」には新人の課題が混じっているということです。「一人前になる」というのは新人の課題であって、そのために努力すべきなのは新人の方なのです。

もちろんあなたは新人がそうなれるように、伝わるように分かり易いように教える努力は必要でしょう。しかしそれをどのような態度でどのように受け止めるかというのは他でもない新人の課題です。

例えば、「眠いし対して偉くなさそうだからこいつの話聞かなくていいや」と思っている新人に対してあなたが、通常の二倍も三倍も労力を割いて教える必要性は皆無です。

「教える」という行為は得てして「教える側」「教えられる側」が存在して、この双方に適切な準備ができてはじめて何かを「学ぶ」ことができます。相手の分まであなたが背負い込む必要性なんてありません。

真面目な人ほど、自分の周囲の課題や責任まで背負い込んで潰れていってしまいます。そして人に背負わせ続けた人が残ります。うーん、だれも得しないなぁ。

このように今あなたが「背負い込んでいるな」と感じているなら、一度その背負ったものを降ろして、中身を確認してみてはいかがでしょうか。他人の物が紛れ込んでいるかも。他人の荷物運びになるなかれ。

余談

この課題の話で印象的なものがあります。以前大学で心理学の講義を取っていた時のことです。私は大学に入る前から心理学の教授に質問してみたいことがありました。それは

「人の心を読むことができますか」

というものです。これは何も超能力的なことを想定していた訳ではなく、色んな心理効果や心理状態について研究している人であれば、ある程度「緊張している」とか「嘘をついている」とかが分かるのかな?と思っていたからです。メンタリズム的なことですかね。
そしてはじめての講義のあと、質問する機会を得た私は

「人の心を読むことができますか?また日常生活で心理学が役に立ったなという体験はありますか?」

という質問をしました。その答えは

「人の心は分かりません。」

当然っちゃ当然ですね。流石に分かってはいました。続けて

「一番良くあるのが、何か仕事や人間関係で憤ることがあったとき、少し落ち着いて考えて、「これは私の課題ではないな」と心の整理を付けることですかね」

とのことでした。流石に一言一句は覚えていないので意訳ですがこのようなことを答えて下さいました。

これって専門家でさえ一瞬忘れてしまう程の、常に自分と他人の課題を区別することの難しさとその重要さが伝わる良いエピソードだと思っています。

まとめ

・自分と他人は違う
・自分と他人の課題を区別する

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