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3月25日第十節 真也の記録を読み終えた一同は、2杯目のコーヒーを飲んで、息をついた。 「す…
3月28日第一節 光風そよぐ麗らかな朝。清宮涼介は瑞善寺川に架かる小橋に佇立していた。 薄…
3月28日第十一節 涼介はノートから視線を上げて、玲於奈の顔を見た。 驚いている。当然だ。…
4月2日第一節 午前9時20分。藤堂茉莉花は事務所の窓辺に立ち、静寂な朝の情景を眺めていた。…
佳乃の記憶第十節 1月16日。朝、白桜町に初雪が降った。今もまだ降ってる。 文乃は風邪で寝…
4月3日第一節 午前9時30分。清宮涼介は朝の日課をこなし、白桜町駅に向かっていた。 昨夜か…
匡貴の記憶第八節 2006年2月28日、午前10時。 徹夜明けの私は、降り続く雨の中、瑞善寺川緑地を歩いて帰ることにした。傘立てからビニール傘を1本抜き取り、開くと雨粒の軽快な音が響いた。 警察署を出て西に向かい、白桜町南駅を左に折れて、高級住宅街を抜けた。家は地下鉄駅の北西にあるが、やりきれない事件の後は、いつも緑地を少し歩いてから帰宅する。 いつの頃からか、家は安らぎの場所ではなくなっていた。 3LDKの部屋は、その空虚さを際立たせ、否応なしに虚無感と喪失感を意識
4月4日第一節 その日、真桜が藤堂探偵事務所を訪れたのは、14時を少し過ぎた頃だった。 柔ら…
4月4日第十四節 一同は沈黙した。部屋に漂う重苦しい空気が、皆の胸を締め付けた。 こんな場…
4月5日プロローグ 桜舞う川のほとりにひとり、私は佇んでいた。 柔らかな風が吹き抜け、薄紅…