そこにストーリーはあるか?
もう何年も前から「イケてない」と自覚しているのが、「写真におさめるためのテーブルコーディネート」です。構図、ともいえるかもしれません。
レシピを考えつくったはいいけれど、いざ写真を撮ってみたらパッとしない。そんなモヤッとした気持ちを、長年抱いていました。
貧困女子時代は、うつわにかける余裕がないからなんとなく安っぽくなっていたし、”表現”できる数に限りがあったしで、残念な印象の残るものばかりでした。まあ、単にお金をかければいいってものでもないと、のちのち気づくんですけどね。
うつわだけ揃えていてもダメで、そのまわりを彩るグッズやそのつかいかたが重要だと、あるときを境に学習。とはいえ、「なにをどうしていいのやら」の状態のまま月日が過ぎて。要は、テーブルコーディネートのセンスがないんです。
レシピが完成し、実際につくってみるまではわりとスムーズ。もちろん、失敗したり微調整をして何度かつくりなおしたりもありますが、目指すカタチがわかっているから迷いがありません。問題はそのあとです。
「できた!!撮影しよう」になると急にアタフタ。ぼんやりアイデアが浮かんでいるときはまだマシですが、「これつくろう!」という気持ちが先行してしまいどんな感じで撮るかをまったく考えなしにいる日は大ピンチ。できたてを、新鮮なうちに、崩れないうちにカメラにおさめておきたいのに。この段階で撮影の準備をするから「イケてない」原因をつくってしまいます。
…というのをこりずに、やっぱりそれを繰り返してしまう日や、あるいは、イメージしていたセッティングがどうもミスマッチ、なんていう日も。そこから抜け出せずにいました。
それであるときふと、予定しているレシピのテーブルコーディネートアイデアを手帳にラフに描いてみたのです。そうしたら、頭のなかだけでイメージしてやるよりもはるかに効率よく撮影の準備がすすめられるようになりました。
まだまだ、本当にまだまだ改善すべきところがたくさんあるけれど、以前と比べたらずっとずっと”かたち”になってきていると自負しています。
目指すのは、「ストーリーのある」1枚。
せっかくのレシピを生かすも殺すも、すべては撮影にかかっていますから。最高の状態で演出されるためにも手を抜けません。
「そこにストーリーはあるか」
ファインダー越しに問いかける日々が、わたしを待ち受けています。