やっぱり教員って最高だなぁと思う瞬間

まだ教員を初めて2年も経っていないが、一年間担任をしただけでもいくつもの成長の場面に出会うことができた。その中でも特に印象に残っているエピソードを一つ。

昨年の秋頃、給食にトマトが出た時のこと。
いつも太陽のように元気な女の子がプチトマトとにらめっこをしていた。

「あれ?どうしたの、もしかして苦手?」

「苦手ですけど、食べます!!!」

「すごいじゃん。じゃあ頑張って」

「食べます!!!」

宣言をして口の中にプチトマトを放り込んだ。
その時に周りの席の子達から拍手がおこった。

「すごいじゃん!○○ちゃん、去年はプチトマト食べられなかったのに!」
周りの子達が教えてくれた。私も「すごいなぁ…成長だねぇ」と言って席に戻った。


その5分後、よく見ると様子がおかしい。。。

「先生!○○ちゃん、まだプチトマトが口の中に入っています!!」
隣の子が教えてくれた。クラスが笑いに包まれた。

「よく頑張ったよ。口の中に入れられただけでも先生は十分な成長だと思うよ。だから口から出していいよ。はいティッシュあげる」

すると女の子は

「いや!もう少しで食べきれそうなんで!」

(いやまだ一回も噛んでないのにもう少しも何もないでしょう…笑)
そう思いながらも、見守ることにした。

ごちそうさまの鐘が鳴り、ほとんどの子たちは机を後ろに寄せて元気よく校庭に飛び出していった。


さてその子はというと…やはりまだプチトマトと戦っていた。
ずっと口の中でコロコロさせているのだ。


「さっきも言ったけど、苦手なものを頑張って食べようとしていることがすごく素敵だよ。よく頑張ったね。」

全力で首を振る。何がなんでも食べ切りたいらしい。
その子と仲のいい女の子3人は外に行かずにプチトマトとの戦いを応援していた。

「わかった!3 2 1 で食べるね!
 いくよ!!!





















で食べるね!!」

みんなずっこけたが、彼女は至って本気だった。


「3










せーの!!」




噛んだ瞬間女の子の目には大粒の涙が



「どうした?」


「先生…..クソまずいです….」


その子は不味すぎて泣いていたのだ。

しかし周りの女の子たちの目にも涙が

「○○、よく頑張ったね!」
「ほんとすごいよ!!」
「なんか感動しちゃった…」

周りの子達はトマトを食べ切ったことに感動して涙していたのだ。


私もその子の頑張る姿勢に感動して、気づいたら泣きそうになっていた。


子供たちが帰った後に教室で一人で考えた。

ただ「プチトマトを食べる」ということが彼女にとっては大きな壁で、そこから逃げず、立ち向かって乗り越えたんだ。

年齢を重ねると(というほど重ねてはいないが)
ほとんどが経験したことの繰り返しで、一喜一憂することも少なくなる。

美味しいものは美味しいし、楽しいものは楽しい。
ただそこに涙するほどの感情の動きはない。


一方、小学生はほとんどのことが初めての経験なのだ。

すごく小さなことにこだわって喧嘩になったり
グラウンドで拾った石をプレゼントしてもらってはしゃいだり
季節ごとの花の育ち方に感動したり
授業中に自信がなくても頑張って手を上げて正解して喜んだり
その反対に間違えて悔しくて泣いたり


何にでも全力で取り組むことができる、そんな子たちと日々関わることができるこの職業は本当に素敵だなと感じる毎日だ。


特にその中でもプチトマトの話は印象に残っている。


その子の今の担任の先生に聞いてみた。



「今日給食にトマト出てたと思うんですけど、○○ってちゃんと食べていましたか?」



「あ〜『大っ嫌い!!!』って叫びながら食べてましたよ笑」


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