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【ちょこっと観劇記録】『KAR』DAMUZA + FeketeSeretlek@下北沢スズナリ

今年第一回目として開催されている「下北沢国際人形劇祭」。特に詳しくなくない僕にとってでも面白そうと感じるラインナップで気になっていました。

特に注目していたのはこの『KAR』という作品。1999年にプラハ芸術アカデミーの学生によって設立されたDAMUZAというカンパニーによって制作されています。このDAMUZAはパペットや、物を人などに見立てて操り演じるオブジェクトシアターの作品で評価が高いようです。公立の人形劇のための劇場が13も存在する、王国チェコからの来日ということで期待が高まります。

今回の『KAR』は、トルストイの『アンナ・カレーニナ』をベースとした作品。観客は葬式の参列者として客席に座ります。残念だったのは、カンパニー側が創り出した作品と地続きの空気を、案内に徹する会場スタッフの空気が壊してしまい、世界観が創りあげられないまま、上演が始まってしまったところです。

始まってみるとびっくり。FeketeSeretlekによる演奏がグイグイと作品に引き込んでいきます。オブジェクトシアターとしての演技がリズムを刻むことも多く、作品としての強度が強かったと感じました。葬式に始まり、葬式で終わる。愉快な幽霊たちがアンナについて語っているような構成に。

FeketeSeretlekのCDは完売してました

印象的だったのは、”水分”の使い方。ケトルのような湯沸かし機能のあるオブジェクトで煙をたてたり、観客にウォッカやチャイが振る舞われるなど、楽しませてくれました。

お風呂に入っています

終演後には舞台上に上がることができました。
この右下の金属のレール部分は電車の模型(アンナが身投げをする)が走るなど、細かい演出が魅力的な作品。今回の上演を思い出しながら、まだ読めていない『アンナ・カレーニナ』に挑戦したいと思います。そして今度はチェコで彼らの別の作品も見てみたくなりました。

この決して大きくない机で全てが
繰り広げられているなんて信じられません。

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