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会社員にクリエイティブは酷すぎる

先日、老舗のうどんメーカーの社長さんとお話する機会があり、その帰り道にふと思ったことがあります。それは、「会社員にクリエイティブは酷すぎる」ということ。新しいことを生み出すという行為には、ある種のコツが必要で、かつ時間がかかります。会社員という枠組みの中で、その行為を行うことはとても大変だよなあ。社長とのお話を思い出しながらそんなことを考えていました。

風土がないとどう進めていいのかわからない

お話の中で、社長さんがこんなことをおっしゃっていました。

“新しい商品開発などうちもやっていかなければ…という気持ちはあるが、どうも難しい。営業部、製造部、開発部など全部署の代表を集め、アイデアを持ち寄らせて会議を行っているのだが、「いや、そんなの無理ですよ」「それって本当に売れるんですか」という議論ばかりで終わってしまう”

(わかりみが深い!)
私も会社員としてのこれまでや、商品開発のお手伝いなどで関わった企業、またその社員の方々のことを思い出し、とっさにそう思ってしまいました。新しい商品やサービスを作る際、何を決めて、どのように進めればよいのかを明確にしておく必要があります。クリエイティブな風土がある会社では、そうした商品開発における「指針」が明確に決まっており、プロジェクトメンバー内ではその指針の共通理解が取られています。しかし、そうした風土がない会社では、そもそもどう進めていいのかも模索しながらプロジェクトを進めるため、メンバー間の衝突が起きたり、ずっと形にならないまま時間だけが過ぎていったりしているように思います。

新しいことを生み出す前に意識する3つのこと

私はふだん会社員として、教材編集者として、また、アートディレクターとして、新しいものを作りはじめる前に次の3つのことを意識しています。

・ その商品やサービスはどのようなものか【WHAT】
・なぜそれが世の中に必要なのか
 または、なぜうちの会社で作る必要があるのか【WHY】
・どのように売上につなげるか【HOW】

この3つをきちんと言葉で説明できないうちは形にしてはいけないと自分の中でいつも言い聞かせています。これらの指針が決まっていれば、先述の社長の会社でも、出たアイデアをどんな形にできるか、なぜそれが必要なのか、どうやって売上につなげられるか、この3つを考えることに注力できるのではないかと思います。

新しいものを生み出すには時間がかかる

上記の指針を決めたとしても、実際に言葉にして説明できるようになるまでには、かなりの時間がかかります。新しいものを生み出す際、私は次のようなプロセスを取っています。


  1. 「おもしろい!」と思うアイデアを見つけ出す

  2.  必要な情報を調べたり、いろいろな人と意見を出し合ったり、市場調査を行ったりして、そのアイデアが市場にきちんと受け入れられ、売上につながるという根拠を探す

  3.  3つの指針を言葉で説明できるようにする

先述の社長の会社のように、各部署から集められたメンバーの場合、普段の業務がありながら、この一連のプロセスを行うことになります。日頃の業務と平行して就業時間内に行うとなると、かなりしんどいものがあるのではないかと思います。

こんなことを言うと、

「気概と根気を持って、そうしたもろもろのことをやり遂げてこそ、一流だ。」

そんな声も聞こえてきそうですが、(私自身はその意見自体には賛成です(笑))会社として、新しいことへの挑戦がうまくいくかどうかを社員のやる気だけにかけているというのは、あまりに非効率で実現性が低いように思います。

また、プロジェクトメンバー内ではまとまったとしても、最終的に製作へのGOを出す立場の方々に納得してもらわなければいけません。そのためには、3つの指針を踏まえてプレゼンする必要があります。普段からプレゼン等を行う文化がない社内で、急にそれらを行えというのもあまりに酷なことだなと感じています。

猫の手をうまく借りる

社内だけでなんとかしようとすることが難しいんだろうなと家に帰り、お風呂に浸かりながら考えていました。上記のような問題を解決するには、外部の人間をうまく利用することもひとつだと思います。クリエイティブディレクターやブランドプロデューサー、アートディレクターなどを職業としている方々の多くは、実際にプロジェクトのチームメイトになり、ときに先導し、ときにサポート役にまわり、そのプロジェクトが成功することをお手伝いしているのだと思います。

そうした猫の手をうまく借りるというのも、決して悪くない選択肢のひとつだなと、お風呂で半分のぼせながら、まじめにそんなことを考えていました。

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