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両親の死・実家じまい・自分の人生を生きる

前の記事で書いたように両親は私にとって理想的な死を遂げた。

両親が亡くなり空っぽになった実家。
姉も私も持ち家があり、継ぐ人はいないので実家じまいをした。

「継ぐ」なんて大それた家ではないし、今の時代、家を持つことが正解でもないだろう。
私自身も家を建てているが子ども達が使う予定がなければ片付けてもいいかな…と考えている。(この辺はまだぼんやり)


残された物の中で処分が苦しかったものと、そこからの学びを残しておく。


処分が苦しかったもの・第一位・着物!
母が着物が好きだったことは知っており、たくさん持っていたことも知っていた。
しかし、母が亡くなったとき父はまだ元気。私たち姉妹が母が残したものを片付けることはせず、父が亡くなるまでの11年間放置してしまった。

珍しいものだったりセンスの良い着物が数多くあり、査定をしてくれた専門業者さんも驚くほど。しかし、経年劣化が進み売値は低かったのは少し残念。
何に使われるのか尋ねると、珍しいものは演劇の衣装などになることが多いそうだ。明るいところで活用されると嬉しい。

母が亡くなった後すぐに売っているか、価値が分かっていた母から何か言葉があればもっと高価で売れて活用されていたんだろうな…と思う。

正直、売値はどうでも良い。
母が体調がすぐれない時期が長く、その着物を着て出かけたりすることは少なかった。もっと着物を楽しみたかったんだろうな…と思うと切なくなる。
それが一番苦しかった。

第2位・アルバム!
几帳面な母は、私や姉が結婚出産後に送った写真や私たち姉妹が家を出た後の両親の思い出をアルバムに整理していた。
しかも「楽しかった」「ありがとう」とかコメントまでついている。
何度も見て、何度も泣いた。

捨てられない…。
しかし、とっておいてもいつかは朽ちてしまうもの。
と、言うことでデータに残すことにした。

ちょうど私のiPhoneがパンパンで写真を整理していたとこだったので、そこにデータとして入れればOK。よしよし。
ついでに我が家にあるアルバムもデータ化しよう。

第3位・日記!
母が闘病の末に亡くなったこともあり何冊もあった。
「何これ」とパッと開いた時に目に入った母の文字。すぐに閉じた。
それ以降開いていない。母の苦しみを見る勇気がなかった。
それを受け止めることは出来ないと判断したし、母は「見てほしい」と思って書いているものではないだろうし。

あれ?
全部母のもの…。
母は専業主婦だったし、体も弱かったからたくさんの思い出は「家」にあるよね。

実家じまいで学んだこと

①自分が死んだ後、片付けをする家族が処分に困るようなものは残さない

生活の延長線上に死はあるので物を残さないのは無理よね。
物質的な数を減らしておくのはもちろんだが、感情の部分で苦しくなるようなものは残さないってことね。
自分にとって大切なものはしっかり楽しみ、しっかり使う。
「いつか・後で・子どものために」大切にとっておかない。


②大切な書類、データ、パスワードなどわかりやすく整理しておく。

私の場合だと家や墓、保険、店舗のある銀行・ネット銀行などに関わる書類やパスワードをわかりやすい場所に残すこと。
死ぬ手前には認知症になるかもしれないので私の意思もしっかり残すこと。
思い出もデータ化して共有できるように整理すること。
そして「それ以外は捨てちゃっていいよー」とメッセージも残すこと。

私は52歳なのでまだこれから築いていく思い出もあるし、物も増えると思う。
今までは「自分自身のもの」としての物や思い出だったけど「残すもの」「簡単に捨てられるもの」の判断基準が加わった。


一番大切なのは、私が死んだ後、子ども達に残る記憶。
物やお金は無くなってしまうけど、記憶はずーーっと残る。

子供達の記憶の中に、私が親として人として幸せであったことをたくさん残していきたいな…と思う。
子ども達から見える「お母さん」になってからの私の人生は「大変だった」というイメージになるのかもしれない。
実際そうだけど、それすら幸せだったことを伝えていきたいと思う。
それがこれから私がしていく終活。

物ではなく、ホンワカとした幸せを記憶の中に残していければいいな…と思う。
それが残された子ども達の気持ちを軽くすると思う。
(子ども達が豊かになるような物やお金を残す力は私にはありませぬ)

子ども達に何かを残すために生きてしまっては、結局子ども達を苦しめてしまうのではないかと思う。
「お母さんは人生を楽しんでいただろうか…」なんてことは思ってもらいたくない。

私が自分の人生を生きた結果、子ども達に何かを残せたら幸せだと思う。
子ども達に何かを残すための人生ではないのである。


私が死んだ後、少し泣いてから逞しく生きていって欲しいと母は願っている。


日々の関わりがすべて終活。


これからも私らしく。

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