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夏のアルバイトで体験した怪異【実話怪談風】

三年前のことだ。大学の夏休みに、山小屋でアルバイトをしたんだ。新米の俺は、清掃や客室の準備、食事の配膳と片付けなど、いろんな仕事をやった。朝から晩までの長時間労働に、繁忙期の残業も加わり、思いの外、体力を消耗した。一日が終わると、体力自慢の俺ももうへとへと。余暇なんて考える余裕もなく、シャワーを浴びてすぐにベッドに入る日々を送っていた。

そんな日にも少し慣れた夜、トイレに行こうとしたら、裏手に不気味な感じがしたんだ。小さな窓から見える場所に、何かがいるように見えたんだ。最初は木や草の影かなと思ったけど、よく見ると人影のように見えたんだ。怖くなって、すぐにトイレを済ませて部屋に戻ったよ。

次の日、先輩にそのことを話したんだ。「気のせいじゃないかな」と先輩は言ってくれたけど、管理人の高野さんは違った。「それは山の神様だよ。神様は草木に姿を変えて、祠がある場所に現れることがあるんだ」と。それから、なぜか先輩の顔が青ざめてたんだ。理由を聞いても何も言わなかった。

アルバイトが終わりに近づくある日の夜、ふたたび不気味な感じがしたんだ。今度は、高野さんの声も聞こえた。怖くなって、その場を離れたよ。それから、その話は誰にも言わなかった。

夏休みが終わり、大学の授業が再開された頃、先輩からURL付きのメッセージが届いたんだ。それは数年前に起きた滑落による死亡事故の記事だった。高野さんの友人のことだと、先輩は書いていたよ。

果たして、俺が見た不気味な影は…

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