私がKEY proを設立した理由〜noteを1年間、続けてみて〜


■ラーメンが好きな理由


私はラーメンが大好きで、年間100杯以上のラーメンを食べます。
毎年大晦日に食べたラーメンをアップするのですが、もう7年も続けています。 ちょっと怖いと言われます笑(確かに並べると怖い、、)

私が1年間に食べたラーメンたち


なぜラーメンが好きかと言われると、地元北海道のソウルフードということもあるのですが、一番は1杯の丼の中に詰まった、店主の思いや工夫を味わえるということです。それがこの上ない楽しみです。

麺・スープ・具材というフォーマットの中で、自由に創意工夫ができる。
きっと店主は、師匠から独立して自分自身の味を試行錯誤して、たどり着いた至極の一杯。それに自分の人生がかかっている。
食べる前からわくわくします。

自分もいつかラーメン屋さんをやってみたいなあと思っていますが、
大変そうなので、引退した後かなと思っています笑

■なぜ独立しようと思ったか



ここからが本題です。

私がKEY proを設立した理由の前に、なぜ独立しようと思ったか。
ここには、ポジティブな理由とネガティブな理由の両方があります。

まずポジティブな理由から言うと、私は入社当時から
「いつか自分が稼いだお金だけで生活をしてみたい」
という夢がありました。

なぜそう思ったか、あまり覚えてないのですが、
親から「今までかかった養育費は全て返すこと」と言われたことは、多少影響しているのかなと思います。

「お金は自分自身でなんとかするもの」
という意識が自然と身についたのかもしれません。

ネガティブな理由としては、
「好きな仕事を思う存分できない=お客さんに迷惑がかかってしまう」
ということでした。

大きな転機として、2016年にニュースとなった過労死の件。
22:00で強制的に退社することになりました。

もちろん、ルールなので仕方のないことなのですが、やはりプロダクションの仕事は時間で区切られるものではなく、勝負どころでは、どうしても物理的な時間を要します。

そのルールが移行されたばかりの当時は、混乱を極めました。
今よりも個々の事案に会社が対応できず、22時以降の業務はほぼ許されませんでした。

ただ、なによりも自分が悲しかったことは、
「働くこと=悪」という部分にフィーチャーされすぎたことでした。

私たちプロダクションの人間は、モノづくりがスキで働いています。
決してやらされてるわけではなく、もっといいものを作りたい。
もっとお客さんに喜んでもらいたいという一心で働いていました。

「え?なんでその前提がないの?」

当時はやはり大きな事件になっていて、今では会社の説明は仕方ないと思っています。ただ、この件をきっかけに、いいものをしっかり作れる場所がほしい。自分を頼りにしていくれるお客さんたちの期待を、物理的な理由で裏切りたくないと思いました。

※今では、22時以降の業務に関して申請書を提出し、個々の労働時間や業務状況に応じて、柔軟にご対応されていることを補足させて頂きます。



■フリーのプロデューサー? プロダクションの設立?



選択肢は2つ。
フリーのプロデューサーになるか、プロダクションを作るか。

独立した理由が「いいものをつくることに専念できる場所をつくりたい」である以上、フリーの選択肢はありませんでした。そして、プロダクションを作った方が楽しそうと思ったからです。

そこからは、初期費用を捻出するために、
新会社(KEY pro)の企業概要作成に着手しました。

・なぜ、会社を設立するのか。
・新会社は一言でいうと、どんな会社なのか。
・他のプロダクションと何が違うのか。
・顧客状況や売り上げ予測。
・事業計画、3ヶ年のPL

この企業概要の作成にあたり、色々な方のアドバイスを頂き、勉強させて頂きました。アップデートを繰り返し、大体1年くらいかかったと思います。

一部ですが、その企業概要です。
(一部、加筆修正しています。本当はここに売上予測や事業計画、PLなどの数字が続きます)


この概要をもって、各方面からご融資を頂き、なんとか設立までこじつけました。が、通常業務をやりながら、この独立準備は本当に大変でした。。
もう一度やれと言われても、できないと思います汗。

でも、会社名やロゴやオフィスをどうするかなどを考えることは、本当に楽しかったです。特にオフィスを契約した時、「あ、もう後戻りできないな」と強く感じました。

最初は、自分を含め3人しかいない。でもオフィスはぜんぜん広くて。
よく朝一にそのガランとしたオフィスに行って、ボーッと座って、これから先の新会社のことを思い描いていました。


■プロダクション設立のネック



プロダクションを設立するにあたって、各方面から「大変だよ」という話を聞いていました。特に設立後のキャッシュフローに関してです。

広告業界のお金の流れは少し特殊で、納品後に一括で支払いがなされます。
しかも、それが約束手形であることも多いです。
長い時は、作業開始から1年後に入金ということも。

必然的にプロダクションが建て替えるお金が大きくなり、
その点が、プロダクション設立にとって、大きなネックになります。

黒字倒産ということが起こる原因で、
弊社も一度その危機に陥ったことがあります。

私の場合は、1-2年目はフリーのプロデューサーに近い形で、様々なプロダクションと協業するスタイルをとりました。いわゆるフィー制です。
少しずつ会社の体力をつけて、3年目から徐々に自社受けの制作を増やす計画でした。

結果、計画通りに自社受けの案件も徐々に増え、社員もかなり増えました。
自社受けの方が利益率も大きくなるので、効率も良いのですが、他社との協業スタイルが減ったことに対する寂しさもあります。

1-2年目は前会社の電通クリエーティブX以外にも、太陽企画さんや東北新社さん、東映CMさんなど、様々なプロダクションの皆さまと協業しました。

そのことで、「こんなやり方があるんだ」と学ばせて頂けましたし、逆に協業先のプロデューサーからも、感謝されることもありました。
そして、何より横のつながりが出き、自分はひとりじゃないという支えにもなりました。

今後はまた少しずつ、協業スタイルの割合を増やしていこうかなと思っています。

以前のnoteにも書きましたが、プロデューサーが独立していくための制度や環境がもう少し整えば、この業界も活性化しやすいと思います。

特に、手形制度は2026年から廃止される流れになっており、このタイミングで独立を考えるプロデューサーが増えたらいいなと思います。

その際は、ここに書ききれないアドバイスもたくさんありますので、
ぜひ、独立に興味がある方は、気軽にご連絡を頂けたらと思います。


■設立5年目を迎えて



KEY proを設立して、今年の4月で丸5年になります。
気付いたら社員も3名から20名に増えていました。

2年目から、毎年新卒採用もしており、
4月からは、さらに3名が入社予定です。

正直、楽しいです。

やはり、人が育っていく過程を近くで見られることも喜びですし、
1人じゃできないことを、社員みんなで乗り越えるダイナミズムは、
プロダクションを作って良かったなと思います。

そして、自分の考えややり方が継承されて、社員たちが、さらにそれをバージョンアップさせていく。
その結果、より多くの人が喜んでくれてKEY proが続いたら、これ以上嬉しいことはありません。

ただ、しんどいこともあります。

「城殿さん、儲かってますね〜!」とよく言われるのですが、、
ありがたいことに、たくさんのお仕事を頂けて、日々忙しくさせて頂いております。が、経営となると、なかなか難しいこともあります。。

本当は今回、プロダクション経営の事情について書こうかなと思ったのですが、ちょっと生々しすぎるので、やめました苦笑

まもなく5年目が終わり、6年目を迎えますが、
経営的には、今はしゃがむ時期=社員への投資の時期
だと思っています。

それも含めて、きっと今までプロダクションを経営してきた先輩方は、会社を成長させてきたんだなと思います。
本当に頭が下がります。

自分はまだまだペーペーですが、これからも会社が成長できるように、
そして、お客さまと社員が幸せになれるように、このプレッシャーに打ち勝ちたいと思っています!
(と自分に言い聞かせています。)



■noteを1年続けてみて



去年の2月。
誕生日に「41歳を中途半端にしない」ということでnoteを始めました。

3月1日から毎月1日にアップするということで、今回の投稿で丸1年、続けることができました。

最初は、自分が思ったことを書く!ということで始めたのですが、
本当にありがたいことに、思った以上に反響を頂きました。

<良かった点>

・プロダクションのみならず、広告会社の方(特に若い方)からの反響が大きく、業界全体で改善したい!元気にしたい!という共感を得られたこと。

・「勉強になった」と言われることも多く、多少なりとも、学びや気付きの場として、このnoteを活用して頂いたこと。

・自分自身も、ACCの審査員に選んで頂いたり、各方面からインタビューを受ける機会が増え、プロダクションの楽しさややりがいを、少しは広められたこと。

<悪かった点>

・一部、表現が強すぎる部分があり、ご指摘やお叱りを頂いたこと。

・偉そうに見えてしまい、一部の方と距離が離れてしまった気がすること。

・気楽に始めたはずのnoteが、思いの外プレッシャーになってしまい、投稿のために1日がかりになってしまったこと。

特に良かった点は、プロダクションだけじゃなく、広告会社の方々からの共感があったことです。少し広告会社批判みたいな部分もあったと思うので、正直怖かったのですが、「よく言ってくれた」というご意見をたくさん頂きました。

これは本当に嬉しかったです。

このnoteはプロダクションがもっとキラキラするために始めたこともありますが、そのためには広告会社の方々はもちろん、クライアントやスタッフの方々のご理解・ご協力の元、業界全体がキラキラすることが一番です。

今年は、JAC(プロダクションの協会)と協力して、もう少し個人から枠組みを広げた活動もやっていけたらと思います。業界関係者へご協力いただくことがあるかもしれません。その際は何卒、お力をお貸し頂けたらと思います。

悪かった点としては、noteを書くことがかなりの負担になってしまったことです。

プレッシャーがすごいというか、、勝手にそう思っているだけなのですが、、 「なにか勉強になることを書かなければいけない!」とか「面白いとおもってもらえるか?」「誰かを攻撃するような言葉になっていないか?」などを考慮しながら書くと、めちゃくちゃ時間がかかってしまいました。

自意識過剰だと思いますし、反響が大きいことは喜んでいるくせして、 矛盾しているところもあるのですが、、



■おわりに



正直、これでnoteを終わりにしようか悩みました。

でも、まだまだ書きたいこともたくさんあるので、
あと1年続けてみようと思います。

ただ、もう少し分量を減らして、気楽な感じにしたいと思うので、
もし、このnoteに期待している方がいましたら、そこまで期待しないでください苦笑

勉強になることというよりは、もう勝手に自分が思ったことを、つらつらと書くことにシフトしたいと思います笑
でも、業界をよくするためにという視点はいつもどこかに持って。

まもなく42歳になりますが、このnoteを通じて
「41歳は中途半端じゃなかった!」
と自信を持って言えることができます。

毎回、こんな長い文章をみて頂いた皆さまのおかげです。
本当にありがとうございます。

もう少し続けてみようと思いますので、
温かい目で見守って頂けると幸いです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?