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絶景!滑稽!なにわ百景!@大阪歴史博物館〜2〜

前回記事の続きです。


■第3章 名所で笑う

キタキタキタキタ!耳鳥斎!
ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!可愛い!
日本史上、こんなに可愛い仮名手忠臣蔵に地獄絵図を書いた人物はいるのだろうか。
現代までの絵師を洗っても10指には収まるであろうそのユーモラスなタッチと表現。
地獄絵図は特に必見、少し残酷さはあるものの、洒落加減が絶妙でクスリとせずにはいられない。
江戸の笑い、大坂の笑い、やはり同じようでも違いを感じるのは気のせいではないだろう。
違う場所で見た、大根と一緒に煮詰められる「役者の地獄」は洒落加減が絶妙で堪らなかった!
そして本展覧会のタイトルにもある「滑稽」!「浪花滑稽名所」。
全国の主要観光地を滑稽に描きながらもしっかりと紹介するこの名所絵、やはり書き手はお待ちかねの「芳」ファミリー
思わず吹き出してしまう滑稽具合に脱帽、それを叶えているのも確かな画力に
切り取られた瞬間が絶妙そのものだからであることは間違いない。
きっとこれがTwitterやTik Tokなら絶対バズる瞬間ばかりを生き生きと描き出す。
野糞をする良家の娘にあまりの匂いに顔を顰めるお供、
夜中に「でた!ぎゃー!」と叫べば凧揚げの凧が松にかかっただけ・・・。
おかしくてどこかいじらしい、そんな名所が盛りだくさんだ。
しかし作品群の中には現代の感覚からでは笑えない、笑ってはいけないようなものもある
これに眉を顰めるだけに終わらず、
江戸時代庶民の感覚として捉え、現在までの価値観の変容を見つめ直すきっかけにしてもいいだろう。
「人との違い」は「個性」であり、「個性」は「ユーモア」にもつながる。
ユーモラスな人物は魅力的に映るものだ、殊更大阪では!
「不謹慎」だけでは終わらせぬよう、見る側にも度量と真摯さが必要だ。

■第4章 絶景を楽しむ〜展望名所と文明開化の新名所〜


ここまででも十二分に楽しめた展示内容、構成だが最後の締めくくりは
少し時代を進めて明治大正の大阪の様子にうつる。
列強諸国を前に必死のパッチで近代化を進めてきた日本、
50年と経たないうちにレンガ作りの建物からひいてはロープウェーまで登場する。
(しかも新世界に!!新世界に!!!)
時代の歩みとともに大きく変わったものは多数あったことだろう。
しかし展示される資料はその中でも派手好きで、人を楽しませることに心血を注ぐ
大阪人の魂を見ることができる。

大阪名所をずずいと堪能できる展覧会であった!
絶景と滑稽と、そして大坂人の陽気な気質に逞しい商魂。
全てが今も息づいている、歴史とはいかに地続きで今日のわたしたちの足元まで
続いているのかを笑いと共に学ぶことができた至福のひとときでござい。

館内順路としては
最上階から展示を見て下って最後に企画展・・・という流れを推奨されるが
驚きの展示数(250越え!)に体力満タンで挑んでほしいので
私としては、少し手間にはなるが展覧会をじっくり味わった後に
大阪歴史博物館の常設展示を堪能していただきたい。

そのほうが江戸時代展示においては、見えなかったはずのものが見えてくるだろう。

常設展示に溶け込む私


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