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図書館の季節

 大学生にとって7月下旬の現在は前期期末テストの時期。

 テスト対策をしたり、レポートを書いたりしなければ、卒業要件である単位がもらえないのだから、この時期は皆必死だ。

 僕だって大学生なのだから頑張って単位を取らなくてはならない。

 今期は期末テストを1つ受験し、さらに計4400字のレポートと計2400字のレポートを提出する必要がある。大学4年生になり単位の所得状況的に余裕が出てきたとはいえ、まだ手を抜けない状況にあるのは確か。

 イヤな時期である。

 ただそのイヤな理由が、勉強しなければならないという理由だけではないのだ。他にもイヤな理由がある。それは、



 図書館が混むということである。




 7月下旬のこの時期。大学の図書館の利用者が自分の体感では通常時の4倍に増加する。

 4倍の混雑が発生する。

 そうなると決まって図書館の居心地が悪くなる。

 普段から年中、大学の図書館を主戦場とし、ヘビーユーザーとして週5ほど利用している自分にとってはそれがたまったもんじゃないのだ。

 その理由が以下。



 まず、利用者の増加によって図書館が騒がしくなるのが不快。
 静かなところが魅力なのに、人の足音や気配や物音でいつもよりざわざわしている。
 特に集団で来た人達がボソボソと喋っているのが落ち着かない要因。マナー違反。ヤメて欲しい。

 また、普段から図書館を使ってない奴が、僕のお気に入りのコンセント席に座っているのも納得いかない。
 なんでプレミアム会員ばりに図書館を使用している自分が、冷房が直撃するクソ寒い席に追いやられないといけないのか。
 この時期はいつも座っている窓際のお気に入りコンセント席が取られていることが多い。
 現に今だって背中にパワフル冷房をぶつけられながら、「寒いよお」と感じながら、図書館でnoteを書いている。悔しい。
 ヘビーユーザーなんだからこういう時期は優遇して欲しい。
 コンセント席はぜひ僕に譲っていただきたい。

 あと、利用者が増えているのに関わらず、本を借りに来る純正の利用者が減るために、受付窓口にいる図書館の職員がいつもより暇そうにしているのを見るのがつらい。
 せっかく利用者が増え、
「よし今日は張り切ってお仕事頑張ろう」
と気合いを入れて準備したのにも関わらず、実際には暇だった時の職員の心情を可哀想だと誰も思わないのか。拍子抜けするほど本を読んでいない来場者を見て、心に詰め込んだ気合いをどう処理したらいいのか分からない職員の気持ちを慮る大学生はいないのか。
 この時期の職員はどこか浮かない顔をしているように僕には見える。
 なんせ図書館が自習室と化しているのだ。
 本の貸し借りを生業としたい職員の想いを大学生は考えた方が良い。

 ちなみに、
「こんなにも多くの利用者が来てるんだから、アタシたち今日こそ読んでもらえるかも!」
と本棚で期待に胸を躍らせている本の想いも大学生は考えた方が良い。
 というか本のみなさんに謝った方が良い。
 期待させてすいませんと。
 僕たちは勉強したいだけで、あなたを読むつもりなんて1ミリも無かったんですと。そんなつもりじゃなかったんですと。
 読まれたがっていた本が泣いているぞ。
 静かに泣いてるぞ。




 というような理由によって、期末シーズンの図書館の混雑にうんざりしているのだが、ただそうやって、時期によって表情を変える図書館のこと自体は、僕は好きである。




 例えば、大学生が夏休みに入り、人が激減する8月後半の大学の図書館は、圧倒的な暑さと騒がしさを誇る夏からの逃避スポットとして最高だ。

 また、読書の秋と謳っているのに、それほど利用者が増えるわけでも無い、切ない雰囲気漂う秋の図書館も風情がある。

 あと、最後の追い込みに勝負を賭ける受験生達を暖房の温もりで包み込む冬の図書館も魅力的。

 そして、春休みに入った大学生や合格した受験生が消え、閑散としすぎるあまりに、読書にのめり込める環境が完璧に整う春は、図書館の本領が発揮される。




 このように図書館というのは、一見すると年中変わらないように開館しているが、実は時期に応じてコロコロと顔を変えているのである。

 そして現在は期末テストのせいで、混雑顔になってしまっているのである。

 でも、今は我慢の季節でも、季節の移ろいが好きな人ならば、図書館の変化もどこかでおもしろがることができるはず。




 だから良ければ皆様、近くの図書館に足を運んでみてください。僕も変わらずに通い続けます。


 図書館から人が減る季節を待ちながら。

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