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「詩」正夢

月明かりがちょうどよい夜
私は路地から道路をうかがっている

家の前にそびえたつマンションのゴミ置き場に檸檬を捨てた
ポリ袋に入れて
まるで遠足のおやつのように

それは罠ではないけれど罠みたいなもので
引っ掛かる誰かをしゃがんで待つ

檸檬を拾ってくれた影は仏様ではなくただの人間のそれで私は「あぁ、この人が運命の人か」と落ち着き、ときめく


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