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採用関連ではマスコミの報道に惑わされないようにしよう:中途採用を経験者採用に統一するというニュース

今朝、ヤフーニュースの記事で(もとは読売新聞)経団連は今後、消極的な印象のある「中途採用」の使用をやめ、「経験者採用」の呼称に統一するように会員企業に呼びかける、というのを見ました。

労働力をもっと流動しやすくしたいという意図は賛成しますし、経団連は、大企業の団体なので、まあ定着はしないでしょうし、ご勝手にと思いますが、私が気になったのは、この記事に専門家としてコメントしている「大学ジャーナリスト」という方のコメントです。
この方は、今の中途採用を、「経験者をエージェントが引き抜くスカウト」と、「業界未経験でも転職可能な第二新卒」と大きく二種類に分けています。
正確な統計はわかりませんが、実際の転職市場では、「経験者であっても、スカウト(ヘッドハント)ではなく、自ら転職サイトや転職エージェントに登録し、人材紹介という形で転職するか、直接求人サイトなどから応募して転職する。」「その職務の経験は無いが、類似の職務の経験や、学習歴から、またはそもそも求人企業が未経験歓迎などの募集を行って、未経験での就職」が、圧倒的多数だと思います。

この大学ジャーナリスト氏が全くの無知で書いているとは思えませんが、こういう記事やコメントが、未経験者は転職が今後、今よりも不利になると思われてしまうなど、多くの人をミスリードすることを危惧しています。
経団連の会員企業では、年功序列賃金はすでに多くの企業で撤廃されているものと思いますが、おそらくは終身雇用制度が機能しているために、こんな言葉選びになったのだと思います。

このニュースを含め、コメントもしかりですが、ほとんどの報道は一部の大企業と、ごく一部の優秀な学生もしくは転職者を対象にしていることに注意してください。

終身雇用制度が機能していたのは、大企業と、中小であっても歴史のある優良企業の世界の話です。
その他の多くの企業には、そもそも歴史的に終身雇用制度や、年功序列賃金は存在しませんでした。
また、大学生の内定率は○○%、という記事も、おそらく対象はいわゆる上位大学の学生が大半を占めていると思われます。
私も毎年、夏ごろに大学4年生から世の中の大半の学生が内定をもらっているのに、私はまだ、という相談を受けますが、まだまだ焦る時期ではないよ、と答えています。
私が以前学生向けに講演を依頼されたある東京の大学では、「大学四年の前期試験が終わってから就活を始める学生も一定数いる」と聞いたことがあります。
毎年の大学四年生の就職希望者を50~60万人とすると、その10倍以上はいるはずの障がい者で就業している人や、障がい者で就職活動をしている人の実態は報道されることも滅多にありません。
学生なら学校の就職指導課など、障がい者であれば、支援機関や就労移行支援事業所など、また直接企業やエージェントなどに問い合わせて、情報収集をすることをお勧めします。

その一歩目が踏み出せないでいる人は、私が相談に乗ることも考えています。具体的な方法などは今後お知らせしたいと思います。これをビジネスにすることは考えていません。
私が信頼する新聞の連載記事をひとつだけお伝えしておきます。
日経新聞の火曜の夕刊の2ページ目に連載されている「就活のリアル」という記事です。私が読んでも、毎回勉強になったり、納得する記事です。
機会があればぜひ読んでみてください。

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