人生を変えた一冊
21年ぶりにある一冊を読み返しました。
当時19歳(21年前)の私はこの一冊に衝撃を受けました。なんだこの人の人生は?理解できない。理解できないけど、何か凄い惹かれる人生をこの人は送っている。
この本は、マザー・テレサの活動を長年取材されたカメラマンが書かれたものです。この著者はキリスト教ではないため、マザー・テレサの活動に対して共感できる部分と理解できない部分がある感じが自分と似たように感じました。ちなみに私はキリスト教ではありません(何教でもありません)。
そして、マザー・テレサの活動の様子の写真がたくさん載っているのですが、モノクロなのに迫力があり、死と生のリアリティを凄く感じました。
マザー・テレサと聞いてどんな人だとと思いますか?ん〜、たしか世界平和活動した人でしょって感じでしょうか?
当時の私も本を読むまでのそんなイメージでした。
簡単にマザー・テレサについて説明すると、
1910年にユーゴスラビア(現在マケドニア)のカトリック教徒で商人の家に生まれ育ち、聖マリア高等学校で地理の教師を経て校長になる。1948年に宣教のためインドのカルカッタ(現在コルカタ)で活動開始。スラム街の子供のために青空教室、路上で産まれ路上で亡くなる人のための「死を待つ人の家」、孤児の家、ハンセン病患者が生活できる施設を造る等の活動を行う。
そんな活動が評価され、1979年にノーベル平和賞を受賞。
1997年に亡くなる。
ヒンズー教の建物内で自分たちの活動を始めたり、ハンセン病の施設を造るために、もらった高級車を賞品として宝くじを売ってお金を集めたり。なんか凄い常識外れで面白い。
インドのスラム街では路上で生まれ路上で死ぬ人々が日常にある生活。仮に日本で、路上での出産や人が亡くなろうものなら大問題になっているでしょう。まず日本と生活環境の前提が全然違う。そんな貧しい人をキリストと重ね、活動している人々の話。
今思えば、読んでいたタイミングも重要でした。この本は、病院の売店で買ったものでした。祖母が終末期になり、意識はすでになく最後の時間を待つ期間中に病室で付き添い中に読んでいました。長い間認知症になっていた祖母。この人はどんな人生を送ってきたんだったんだろうか。祖母の人生って?命とはなんなんだ?そんなことばかり病室で考えていました。
当時、何となく調理師学校に行き、将来の方向性も全然決まっておらず、目的もなく日々垂れ流すように過ごしていた19歳の自分。
祖母が亡くなった日に、胸の中でなにかが弾けた感じがしました。
行くなら今しかない
火葬場で祖母の遺骨を待つ時間、家族が集まるテーブルで、「自分インド行くわ」と家族に思い切って伝えました。
当然、両親は「は?」みたいな驚いた顔をしていました。
人生で初めての飛行機に乗り、初の海外がインド。行きと帰りの航空チケットとパスパート、バイトで貯めた現金25万円を財布に入れリュック一つ、45日間のインド旅。
何とか夜行電車を乗り継ぎ、マザーハウスにつき2週間ほど「死を待つ人の家」や「孤児の家」でボランティア(洗い物や洗濯等)をさせてもらいました。本の中の世界と実際とのギャップや共通点が面白かったです。本だけでは自分の中で美化され過ぎて、リアルとズレが出るものです。本が出版されてから20年近く経っており色々と変わっているのは当然のことでした。
そんな経験を経て、地元で老人保健施設で介護職につき、5年後に看護学校を入り現在看護師へ。
今思えば、この一冊と祖母の死から私の人生が変わったのだと感じます。結果論ですが。
誰かの一冊、誰かの一曲、誰かの一言、誰かのアニメ、何がその後の人生に影響を与えるのか分かりらない。そんなことを読み返しながら考えるのであります。
※この本、今でもメルカリで300円で売ってましたので、気になる方は一読ください。この一冊が、もしかしたらあなたの人生変えるかもしれませんよ。
なんてね。