魔法の言葉「あいさつをしてくれてありがとう!」【教師を退職する直前になってやっとわかったこと❸】
発達段階とあいさつの変化
私は品川区の義務教育学校に勤めています。義務教育学校とは、小学校一年生から中学校三年生までが同じ校舎で生活している小中一貫校です。私は後期課程(中学校)の中三を担当しています。
私は朝、校門で登校する子どもたちに「おはよう」と声をかけます。後期課程の生徒のほとんどは「おはようございます」と返事をしてくれます。一方、前期課程(小学校)低学年の子どもたちは、あまり個別には挨拶を返してくれません。しかし、朝礼などで、校長先生が「おはようございます」と言うと、低学年の子供たちはみんなで大きな声で「おはようございます」と返ってきます。後期課程(中学校)の生徒は、個別には挨拶はできますが、集団では大きな挨拶はしない傾向があります。不思議に思いません?
以上のことより
低学年の児童は、全体の中で自分を認めて欲しいという気持ちが中学生より強いのではないでしょうか。授業中に積極的に挙手することと似ています。(全体の中で目立とうとする傾向が見られます)
後期課程(中学校)の生徒は、個人的には認められたいという気持ちが強いけれども、全体の中では目立つことを避ける傾向にあります。
そこで、私は次のような「あいさつ実験」をしました。
実験方法
学年関係なく「おはようございます」と返してくれた子どもに、ひとりひとりに
「あいさつしてくれてありがとう、先生とっても嬉しいよ!」と感謝の気持ちを伝えてみて、子ども達の反応を観察しました。
結果
❶学年関係なく、ほとんど子どもたちがまず「え!」驚いた顔をしてから笑顔になりました。当たり前のことに「ありがとう」と感謝をされたことに驚いたのだと思います。そのようなことを経験した子どもたちは翌日からも継続して気持ちよくあいさつをしてくれています。
❷私が「あいさつしてくれてありがとう」というと、いつもあまりあいさつをしてくれない低学年の児童たちも「おはようございます」と言ってくれました。しかし、このような児童の多くは翌日にはその効果が薄れてしまいました。
考察
子どもは、自分が当たり前と思われる行為を認めてもらうと、その当たり前の行為を続ける傾向があると考えられる。このことは、学年、年齢、性別などはあまり影響されない。(大人にも当てはまるのではないでしょうか?)