自衛隊とパワハラ
こんにちは。今日は岐阜県の陸自射撃場で発生した発砲事件を基に
元自衛官の立場から思うことを書いていこうと思います。
徐々に明らかになる当時の状況
事件の経緯などは既にご存じの方も多いと思うので省略します。今回事件を起こした自衛官候補生は事情聴取にて、上官に対して明確な殺意があったことをほのめかしています。今後の捜査で動機をさらに深掘りされると思うので今後の続報を待ちたいと思います。
指導に対して不満が溜まっていたか
ここからは憶測になるのでご了承ください。自衛官候補生がこのような事件を起こした原因を私なりに考えてみました。一番考えられるのが上官からの指導に対する不満が溜まっていたということです。
自衛官候補生の期間は自衛隊の基礎を叩き込む時期なので、例えば「掛け布団のたたみ方が違う」とか「ロッカーの中の配置が違う」などちょっとしたことでも指導が入ります。
私が入隊したころは、「台風」といわれるものをやられたことが何度かあります。これはマットレスを放り出されたり、ロッカーの中身を床一面にぶちまけられたりすることで、指導の一つとしてやらされていました。あとは腕立て伏せを永遠にやらされたり、反省文書かされたり...。あくまで一例ですがこのようなことをやられました。
なぜこのようなことをするのか。これは指揮系統の明確にさせ、上官に対する命令には従わなければならないという考えを植え付けるためです。誰でも怒られるのは嫌ですよね。「怒られたらこうなるんだぞ!」っていうのも
この基礎教育の期間に身に着けさせるのです。
パワハラと自衛隊
しかし、今ではこのような指導は実施していない所が増えていると感じています。私がいた部隊でもほぼ無くなっていました。
理由としてはパワハラに該当する可能性があるためです。今の時代はSNSが発達している関係ですぐに晒されます。また保護者からもクレームが来ることもあります。
パワハラは、受けた本人によってそれが該当するか基準が違ってきます。一度訴えられると非常に手間だし時間を取られてしまうため、これを嫌って前述のような指導が徐々に無くなっていったと思われます。
自衛隊のパワハラは一生無くならない
自衛隊はパワハラ、セクハラに対して厳しく処罰しています。当たり前っちゃ当たり前ですね。こんなのは無い方が良いに決まっています。
しかし、自衛隊のパワハラについては見境が無くなっているようにも感じます。
本人に被があるにも関わらず、「強い口調で指導されたからパワハラだ」とか「頭叩かれたからパワハラだ」とかいう人もいます。そういう人は自衛隊は辞めた方が良いと思います。
自衛隊は国防という任務を背負っています。他国が侵略行為をしてきたら武器を持って戦う組織です。もし今のウクライナと同じような状況になり、最前線で戦うということになると命がけになるのは容易に想像できます。一つの判断で命を落とすこともあり得ます。そのような状況下で、自らに被があるにも関わらず「強い口調で言われた」とか、「頭叩かれた」からパワハラだと言われたらたまったもんじゃありません。倒れている女性にAEDを使うために、服を脱がしたら後からセクハラだと言われるくらい理不尽です。
こういった特殊な環境下の場合では、「強い口調」や「頭を叩く」といった人によってはパワハラに該当するようなことも時には必要な場合があります。このように自衛隊ならではの特殊な背景もあり、訴える人がいる限り自衛隊でパワハラを無くすのは無理だと思っています。
まずは自分から冷静に分析する
これから自衛隊に入隊したいという人がもしいたら、ちょっとでも参考にしていただけると幸いです。もし自らが指導された場合、上官は何で怒っているのか分析してください。それが自らの被である場合は素直に受け入れましょう。それ以外のことをやらされたらパワハラとして訴えても構わないと思います。
要は、その自分のやらかしに対して指導内容が見合っているのか判断してほしいのです。その内容と関係なしに人格否定とか長時間の拘束はアウトです。
自分で言うのが難しい場合は、両親に報告して防衛省に連絡してもらったり、頼れる人にお願いしたりしてみましょう。
自衛隊は国防を担う組織であり、その特性上厳しい指導などが行われる組織なんだということを改めて念頭に入れていただけると幸いです。
以上、元自衛官現無職がお伝えしました。
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