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【前編】経営には「サステナブル」と「レジリエンス」の両輪が必要?ますます重要性が高まる2つのアジェンダを理解しよう!

こんにちは!デジサス編集部 Lookatプロジェクトメンバーの瀬川です。
今回のテーマは「サステナブル」と「レジリエンス」についてです。

皆さんの会社でも「サステナブル」と「レジリエンス」という言葉を耳にされる機会が多くなってきているのではないでしょうか? サステナブル経営、レジリエンス経営などとも言われていますが、まずは、この2つの言葉の本来の意味と関係性を理解し、今後、皆さまの会社での取り組みを考える機会になれば幸いです。

サステナブル・レジリエンスの意味と、使われ始めた時期

サステナブルは、国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が1987年に発表した報告書で、「将来世代の欲求を満たし、現在世代の欲求も満たすような開発」という意味で「Sustainable Development」という言葉が使われたことから認知され始めました。

SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称ですが、この報告書がSDGsの元になっていると言えます。

サステナブルへの注目は、2015年に国連サミットでSDGsが採択されたあと、政府のSDGs推進本部での動きを受け、経団連は2017年11月に「企業行動憲章」を7年ぶりに改定しました。その後からよく聞くようになってきました。また、この頃から、丸い虹色のドーナツ型のバッジをつけている方もよく見かけるようになりました。

レジリエンスは、元々は物理学の用語で「回復力」「跳ね返り」「弾性(しなやかさ)」という意味を持ちます。心理学においては「精神的回復力」を表す用語です。企業では、不測の事態や、サプライチェーンが何らかの理由によって寸断されたときへの備えとして使われています。
(参考)コラム:今こそ理解すべきレジリエンスの意味と企業に求められる内容

世界的に注目されるようになったのは、2013年の「世界経済フォーラム(ダボス会議)」がきっかけです。「レジリエント・ダイナミズム(強靱な活力)」をメインテーマに、各国の国力がレジリエンスで評価されました。日本については、「東日本大震災からの復興」がレジリエンスとして評価されています。

インフォコムでは、緊急連絡/安否確認システム「エマージェンシーコール」を販売しておりますが、東日本大震災からの復興とともに、企業からお問合せをいただくことが増えました。そして、サステナブルと同様に2015年に国連サミットで「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択されたことでレジリエンスへの注目はさらに高まりました。

「サステナブル」と「レジリエンス」の関係は?

SDGsの17のゴール

SDGsは「17のゴール」および「169のターゲット」で構成されています。
その中の、ゴール9「レジリエントなインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」、ゴール11「財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつレジリエントな建造物の整備を支援する。」など、「169のターゲット」まで含めると「レジリエンス」や「レジリエント」という単語が合計で10個も使われています。持続可能な社会の実現に向けて、レジリエンスは欠かせないことがわかります。

また、企業においては、東京証券取引所では実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたコーポレートガバナンス・コードを定めています。2021年6月に改訂されましたが、【原則2-3.社会・環境問題をはじめとするサステナビリティーを巡る課題】補充原則2-3①を改訂前と、改訂後で比較してみましょう。

[改訂前]
取締役会は、“サステナビリティ(持続可能性)”を巡る課題への対応は“重要なリスク管理の一部”であると認識し、適確に対処するとともに、近時、こうした課題に対する要請・関心が大きく高まりつつあることを勘案し、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討すべきである。

東京証券取引所によるコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則から引用

[改訂後]
取締役会は、”気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティ“を巡る課題への対応は、“リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題”であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。

東京証券取引所によるコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則から引用

このように、企業のサステナビリティを巡る課題への対応として、危機管理(危機が発生した場合に、その負の影響を最小限にするとともに、いち早く危機状態からの脱出・回復する)というキーワードで、レジリエンスが組み込まれています。

サステナビリティを巡る課題への対応の本格化

日本では、菅内閣前総理大臣が2020年10月26日の所信表明演説において、日本が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。この頃から、企業における脱炭素、カーボンニュートラルの本気度が一段と高まったのではないでしょうか。

また、2021年4月の地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことが表明されました。

こうした国際的な取り組みや規制強化が進む中、私たち一個人・一企業としてどのようなことができるでしょうか?ここまでを前編として、後編では実際的な取り組みについて考えてみたいと思います。

後編もお楽しみにお待ちいただけますと嬉しいです!

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