【読録】ホームレス農園/小島希世子
藤沢市の葛原(くずはら)にはホームレスと農業をつなぐ農園があります。運営するのは「NPO法人農スクール」。その代表の小島希世子さんが書いた本がこちら。
○ホームレス農園って?
ホームレスの人が経営している農園のことではないです。小島さんが運営している「農スクール」のことです。
小島さんは、生活困窮者を支援するボランティアなどと連携して、ホームレスを農園で受け入れ、就農を支援しています。
小島さんは、「農」をとことん愛していて、日本の「農」の未来のためにホームレスなどの生活困窮者の雇用と農業を結びつけているのです。生活困窮者の救世主になることを目的としていないところが興味深いですよね。
○小島さんの考え方
私は小島さんの考え方にとても影響を受けました。いくつか紹介します。
①「できるか・できないか」ではなくて「やるか・やらないか」を考えて行動を決める。
「できるか・できないか」の判断は実力を伴うけど「やるか・やらないか」は自らの意思ひとつ。
まさにそのとおり。「やる」と決めたらひたすらやり続ける。そういう人が何かを成す人ですね。
②新しい何かにチャレンジしたいと思ったら、自分の求める情報を持つ人がたくさん集まる場で自分の意見を発信する。
これも腑に落ちます。興味がない人たちの中でいかに声高に叫んでも、ふ〜ん的な反応しか得られませんね。情報を効率よく、しかも役に立つものを集めるには発信する場も重要だということです。
○小島さんのいる藤沢市
農スクールで生活困窮者たちの就農を支援することで、小島さんは農業の担い手を育成しつつ、生活困窮者の自立を助けています。
つまり、少なくとも同時に2つの都市の経営課題を解決する取組をしているのです。
そしてそれは、自らが経営する「えと菜園」という収益事業(理想的な生産者と消費者をつなぐネットショップや体験農園コトモファーム)ともリンクさせて、きちんとお金を稼ぎながら農業を支えるという循環を生んでいます。
小島さんがこれらの仕事を「使命」と感じつつ、楽しみながら実践していることが文章から伝わってきます。こういう人が藤沢市にいるということが誇りに思えますね。
○小島さんから学んだこと
あえてひとつに集約するとすれば、「実践がすべて」ということです。
まず実践して、失敗もたくさん経験していること。それが大きな成果を生み出しています。あれやこれや考える前に行動してみることがいかに創造的かということがわかる本でした。
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