ここは居心地が良くない
大昔のバイト先(居酒屋)で、スタッフに源氏名がつけられていたことをときどき思い出す。その名前で呼ばれていた自分のことはそんなにきらいじゃなかった。忙しいお店で体力的にはキツかったが、スキルに応じて時給が確実に上がるのと、賄いがものすごくおいしくて、数あるバイト経験の中でも良い思い出となっている。
と、ここまで書いたところで、「スキルに応じて時給が上がる」ような社会だから、今の自分がつらくなっているのだと思った。能力のある人間にお金が集まるのは自然だ。ただ、そういう世の中で、能力が低いと判断された人間はどう生きていったらいいのか。隅っこで息を潜めて縮こまっているしかないのか。
社会人経験としては20年を優に越えているわたしに、履歴書に書けるような技能はなく、健康上の問題でバリバリ働くことが難しいため非正規雇用を選ばざるをえない。そういう人間にとって、この社会はどうにも居心地が悪い。
源氏名の自分をきらいじゃなかったのは、がんばっていることを認めてもらえる場所だったからだ。がんばらなくてもいいと思える自分になりたいのに。行き過ぎた努力至上主義や能力主義の考え方から逃れられず、自分で自分の首を締めている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?