隣の芝が青く見えるアジャイル
外部のキラキラ
チームの外にはキラキラした情報が数多く転がっている。ものすごい成長を遂げたサービスのチームでスクラム開発を実施して開発のスピードがものすごく早まったことであったり、外部のアジャイルコーチを呼んでチームのレベルが上がったといった話であったり。
でも当然ながら、そんな上手くいくことばかりではないし、上手くいったチームでも膨大な試行錯誤と失敗を繰り返している。
膨大なアンチパターン
アンチパターンは色々あり、多かれ少なかれどんなチームでも何かしら該当する、もしくは該当したことがあると思う。こういった話は枚挙に暇がない。
意思決定権が皆無なプロダクトオーナー(偉い人が握ってる)
プロダクトオーナーを経由せずにタスクが追加される
プロダクトオーナーが孤立無援状態になっている
プロダクトオーナーがプロダクト開発以外のしごとを抱える
開発者と兼任で過負荷なスクラムマスター
サーヴァントリーダーシップが乏しいスクラムマスター
スクラムマスターがチームを管理してしまっている
スーパースターな開発者の意見が強くチームをコントロールしてしまっている
クロスファンクショナルなフィーチャーチームになっておらず、チームがコンポーネント化してしまっている
リーン思考に沿ったMVP(Minimum Viable Product)が意識されておらず、要件がどんどんMassiveになっていく
ふりかえりが惰性で中身がない、もしくはふりかえりをやらずにスプリントをこなしている
チームの人数が多すぎる
発言するメンバ/しないメンバが明確に分かれてしまっている
チームメンバの入れ替わりが多い
アジャイルはスケジュール不要、ドキュメントも不要という勘違いが根強い
見積りを詳細にやりすぎる
タイムボックスが厳守されていない
アジャイル開発スタイルへの理解に乏しい組織構造やルール
アジャイル開発チームへ人月による規模感やスケジュール感を要求してくる
様々な課題が常に付きまとうアジャイル開発プロセスにおいて、周囲の成功事例は輝いて見える。そして、それと比較して自分たちは全然ダメだ、というネガティブな思考スパイラルに陥る危険性がある。
僅かな成功体験を喜ぶことが大事
特にスクラムマスターはこういった意識と強い気持ちで向き合っていかなければならない。僅かずつでもいいので、小さな成功体験をチームと喜びあうことが重要。
理想とのギャップに目を奪われ、成功しているチームのやり方を模倣するのは良いが、模倣すれば全て解決するわけでもない。どんなプロセスやノウハウであれ、基本的に他者のものは他者のものだ。自分たちのものにするために、最適化や経験から得た学びをノウハウ化しなければならない。
真似でもいいのでまずは始める。そこから得られた経験をチームで話し合う。良かったことはさらに良くする、あるいは変化させる。悪かったのであれば綺麗サッパリ捨て去って異なるやり方をまた試す等。
自分はこういった守破離に沿った試行錯誤がアジャイルの本質の重要な要素のひとつだと思っている。
隣の芝は隣の芝
隣の芝は青く見える。それは間違いない。なにせ紹介しているということはそれなりの成功体験であったり、失敗からの学びがあっただろうから。
他に目を向けることはチームの改善のためにも絶対必要だが、それ以上にチームの中に目を向けないといけない。様々な手法はあくまでも基本的なものでしかない。チームに合致するように少しずつ整えていく。
それによって気がついたら自分たちの芝が黄色になっているかもしれない。でも、チームメンバが「うん、うちは黄色がいい」と思えれば素晴らしいことだ。
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