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King Gnuが苦手だった人が「三文小説」から考える、King Gnuのメッセージの深さ

こんにちは。ドラマ「35歳の少女」主題歌にもなっている、King Gnuの「三文小説」のMVと歌詞をじっくり見たうえで感じたことを書いていこうと思います。まずは、MVをご覧ください。

ダークな世界観、井口さんのハイトーンボイス…しかも、ちょっとレトロな雰囲気がそこはかとなく漂っていて、どこか新しい。と感じました。

タイトルにもある通り、これまでの私はKing Gnuの音楽がどちらかといえば苦手で、なんだか受け付けないなあと感じることが多かったのですが、その理由がこの曲を聴いてわかった気がしました。

曲の冒頭から、核心を一撃でついてきて耳にずっと残る歌詞。一言目に持ってくるにしては、少し重くも感じられるような言葉が、自分の心の、普段はふたをして見ないようにしている部分を強引にこじ開けてくる、そんな感覚がありました。

何といえばいいのかわかりませんが、ものすごく内省を促されるように感じていて、曲を聴くたび胸が苦しくなっていたんですね。

だから、私は何となくもやもやを抱えて、あまり聴く気になれなかったんだろうなあと思います。

そんな個人的事情はさておき。初っ端から、なかなか衝撃的なワードが来てますよね。

この世界の誰もが
君を忘れ去っても
随分老けたねって
今日も隣で笑うから

怯えなくて良いんだよ
そのままの君で良いんだよ
増えた皴の数を隣で数えながら

この部分だけ切り取ると、頭の中が?でいっぱいになる人がいてもおかしくないと思います。

ドラマ「35歳の少女」のトリッキーな設定から、このような詞ができたのだと思いますが、ここから見えてくるのは、現在くたびれた姿ながらも、昔のことを忘れず、たった一人の誰かのことを大切に思うさま。

特に「そのままの君で良いんだよ」の歌詞からは、その人のキャラクターを肯定する一方で、変わっていく姿を見てひそかにさみしく感じているのかなあ、と想像しました。

また、この楽曲の歌詞は、柴咲コウさん演じる主人公・希美にあてて書かれたものにも捉えられるし、逆に希美から鈴木保奈美さん演じる母親・多恵や希美の初恋の人である結人(坂口健太郎さんが演じています)など、周囲の人に向けてのメッセージにも受け取れると考えています。

こうしてみてみると、めちゃくちゃ作品とリンクしている部分がありますね。それに、ドラマ内でこの曲が流れるシチュエーションによってメッセージ性も変容するのは面白いなあと。

昨年大ヒットした「白日」も、たしかドラマ主題歌だったように思うのですが、ドラマを見ている人も見ていない人も歌詞の説得力にうなずくのではないでしょうか。

これこそが、King Gnuが世の中に支持され、ヒットした要因なのではないかと思います。聴けば聴くほど、しかもその時に気分によっていかようにも歌詞を捉えられて、メッセージ性が強い。この混沌とした世の中で生きていくなかで大切な、もしかするとふっと忘れてしまうようなことを思い出すきっかけをくれる、そんなアーティストだなあとこの楽曲を通じてより強く感じました。そして作詞作曲を手掛ける常田さんの才能には尊敬の念しかありません。ほんとにスゴイ。

このような考察をしていくうちに、私もKing Gnuが好きになってきました。もっと深掘りしたら、違う良さを見つけられるかもしれませんね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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