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スタートアップのビジョン、ミッションのつくりかた ─ 社員全員が自ら判断し同じゴールに向かって走れる理由

こんにちは。日本酒スタートアップ 株式会社Clear 広報の古川です。

Clearの強みのひとつとして、ビジョン、ミッション、バリューが明確な軸として定まっていること、それをClearで働く社員やアルバイトスタッフ含め全員が理解し共感しているということが挙げられます。みんなで一つのゴールに向かって邁進するために、また、自分たちが実現したい未来をつくっていくために、この3つを定め共有することは重要です。
では、そのようなビジョン、ミッション、バリューはどのようにしてつくられ、浸透していったのか?今回はそのHow toについて、お伝えしていきます。

Clearのビジョン、ミッション、バリューとは

【ビジョン】日本酒の未来をつくる
【ミッション】日本酒の可能性に挑戦し、未知の市場を切り拓く
【バリュー】未来視点で発想する/成果に執着する/共に成長する/いつでも誠実に/健康志向でいよう

”日本酒の未来にあるべきもの”という視点で事業を運営し、事業成長によって日本酒の発展に貢献し続けることが、私たちClearの存在意義です。

日本酒は長い歴史をもつ伝統産業です。これまで多くの人や企業に支えられ、日本酒は伝統として発展してきました。そんな産業において、新規参入のスタートアップが果たすべき役割とは何か。それは、市場の最前線に立ち、誰よりもリスクを背負って未来を切り拓くことです。Clearの挑戦が、日本酒の可能性を広げていく。それが日本酒スタートアップとしてのClearのミッションです。

ビジョン、ミッション、バリューをどうやってつくり上げたのか

私たちは当初、「未来視点のサービスでSAKEの市場・文化を発展させる」というミッションを掲げていました。しかし、2018年7月に日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」の事業を立ち上げたことを機に「第二創業期」とし、ミッションを再検討するべきではないかという声があがりました。

そこで昨年末に3ヶ月間をかけて社内で集中検討会を実施し、改めて、ビジョン、ミッション、バリュー、さらには、社名、コーポレートロゴ(CI)のリニューアルも含めて検討しました。検討開始からリリースを出すまでの流れは次の通りです。

1.誰が(誰と)考えるのか
2.定義の共有:ビジョン、ミッション、バリューとは何か
3.何を変えるべきか、そしてそれはなぜか
4.具体的な内容を検討
 4-1. ビジョン、ミッション
 4-2. バリュー
 4-3. コーポレートロゴ(CI)

それぞれのステップでどのようなことをしたのか、今回は特にビジョン、ミッションに焦点を当ててご紹介します。

1. 誰が(誰と)考えるのか

Clearでは、当時5名の社員全員で考えました。ビジョン、ミッション、バリューは会社の軸となるものです。検討に関わる社員が多ければ多いほど、みんなが「自分ゴト」化して会社の未来を考えるようになります。

「だからといって、50人も100人もいる社員全員で決められないよ」

と思ったあなた。「決定」までみんなで行う必要はないと思います。重要なのは「自分たちの会社は何を実現させたいんだろう?」と考えを深める場を設けることです。5〜10名程度のグループごとにディスカッションし、リーダーがグループで出た意見を持ち寄って上位の検討会で決定する、で目的は十分に果たせるんです。
さらに良い点がもう1つ。会社の方針を決めるのはマネージャーだったり経営層の人間だったり、ということがよく起こり得ます。役職や勤続年数によらず、さまざまな立場や経験の人を含めて検討することで、今までにない気づきや視点で会社を見つめ直すこともできます。

Clearでは社員全員で検討しました。立場や経験の幅が広く、とてもバランスよく話し合いを進めることができました。

<ビジョン、ミッション、バリューを検討した当時の社員メンバー>
生駒:
CEO。そもそもの会社をつくった人なので、会社が実現したい未来への思いが一番強い
高良:マネージャー。本質を見抜く力が強く「この表現って本当に言いたいこと?」と何度も繰り返し熟考するよう牽引してくれた
小池:SAKETIMES編集長。さすが思いを言葉にする表現力がぴかいち。一番若く純粋で、社員全員が初心に立ち戻るきっかけになった
西久保:エンジニア。論理的で客観的。思いが先行しがちな私たちの、いい意味でブレーキになってくれた。
古川:広報。2年間のハーフコミット期を経て、半年前に社員になったタイミングで検討会に参加。社内外双方の視点で意見を出すことができた。

2.定義の共有:ビジョン、ミッション、バリューとは何か

みなさん、そもそもビジョンって何?ミッションと何が違うの?と思いませんか?1年前の私たちの中でも理解が曖昧なメンバーがいたので、定義を共有することからはじめました。

<Clearにおけるビジョン、ミッション、バリューの定義>
・ビジョン=会社の存在意義であり、目指し続けるゴール
・ミッション=ビジョンをどうやって実現するのか、今取り組むべきこと
・バリュー=行動規範

会社によって、ビジョンとミッションが上位逆転していたり、経営理念という表現を使っていたりとさまざまです。大事なのは、「ゴール」や「今、向かっている先」を共有することなので、社内での定義をしっかり行うことが重要です。

3.何を変えるべきか、そしてそれはなぜか

「"第二創業期"にあたり、ミッションを考え直したほうがいいのではないか」という意見が出たものの、それは一部の意見。会社として本当に変更すべきか、それはなぜかを、まずはきちんと検討しました。

ディスカッションの結果、次の理由から、Clearではビジョン、ミッション、バリューを再検討することに決めました。

・従来はミッションのみで、ビジョン、バリューが存在しない
・会社が大きく成長していくために、社内の団結を深めることが必要不可欠。共通の軸となるビジョン、ミッション、バリューは必須
・従来のミッションは意味が伝わりづらく、説明しないと理解してもらえない
・従来の事業とは別の新規事業をはじめたことで、会社として進むべき方向性を改めて検討したい
・今後の多角的な事業展開を見据えたミッションにしていく必要がある

ちなみにこのときに、社名とコーポレートロゴ(CI)も変えるか否かを決めました。社名に関しては、意味を改めて確認し、社員全員が納得・同意したため、そのままの社名「Clear」となりました。

<「Clear」という社名の意味>
Clearという単語のもつ「切り拓く」という意味と、透明感(誠実で、堂々とした、みんなに認められる)のある企業でいたいという想いを込めています。日本酒も清酒と書くように、透明感のあるお酒なので、そういった意味でも私たちにぴったりの社名だと考えています。

コーポレートロゴ(CI)に関しては、「透明感」とは離れたデザインだったので、リニューアルを決定。ミッション、ビジョン、バリューを決めたのちに、それらにも合うロゴを作成しました。ロゴのシンボルは"夜明けの蛇の目"です。詳細はこちらをご参照ください。

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4.具体的な内容を検討

さて、やっと具体的な内容の検討です。1.5〜2時間ほどの検討会を週に1,2回の頻度で実施しました。検討会の前には必ず事前準備として、参加者が各々の考えを整理してから検討会に臨みました。

この事前準備で大切なのは、100%じゃなくていいということ。キーワードを挙げたり、今感じている思いをぶつけたり、ボツにした案をあえて共有したりと、社員がそれぞれの形と厚みで意見を持ち寄りました。イメージとしては、説得や相談に近いかもしれません。100%の完成形を求めるのではなく、「深く考えてくること」を何より重視しました。

検討会では次のステップを踏み、ビジョン、ミッションを具体化していきました。

1)会社が目指すゴールの「イメージ」を決める
会社として目指すゴールはどこにあるのか、何が大事なのかを議論・共有しました。この段階では、表現如何は問わず、長い文章や言葉、短いキーワードなどを用いて、「Clearは何をするべきか」「会社としてどんな方向を向いていくべきか」「目指し続けるゴールは何か」ということに意識を向け議論していきました。

このときに出た例として「未来視点」「世界中で日本酒が飲まれるようになる」「日本酒の"経済発展"」といった、さまざまなキーワード・表現でイメージを合意していきました。

2)草案を出し合う
Clearの目指すイメージが合意できたら、次はそれをどう表現するか、言葉に落とし込んでいきました。各自でビジョン草案を持ち寄り、その言葉に込めた思いを発表し、絞り込んでいきます。

最終的にこのときにまとまった草案は、「(自分たちが欲しい)日本酒の未来に必要だと思うことをやり続ける」というものでした。

3)キーワードを掘り下げる
ディスカッションをしていく中で、私たちの軸は常に「未来」であるということに改めて気付かされました。そこで、私たちが願う「日本酒の未来」とは何か、どんどん掘り下げていきました。"腑に落ちた"、"言い得た表現が見つかって満足"で終わらせないことも、ビジョン、ミッションを考える上で重要なことです。「それってどういうこと?」「なんで?」と繰り返し掘り下げていくことで、軸はさらに強固なものになっていきます。

このときに挙がった例としては、「日本酒の注目度、存在感が上昇した未来」「関係人口が増加した未来」「日本酒関連ビジネスが増加し多様化した未来」などがありました。

4)コピーの完成
話し合いで決まったキーワードや草案から、言語化が得意なメンバー2名で表現をまとめていきました。ここでは、私たちの例のように、スキルに特化した社内の少数の人や、場合によってはコピーライティングに長けた制作会社に外注してもよいのではないかと考えています。

このようにして、何時間にもおよぶ深いディスカッションを経て、私たちのビジョン、ミッションは形になり、Clearの全社員の中に根付いています。

私たちが得た価値

最後に、社員全員でビジョン、ミッション、バリューをつくったことで得られた3つの価値について、ご紹介します。

1)会社理解につながった
社員全員が「変えよう」「つくろう」と集まり話し合うことで、社員全員で共通認識を持つことができました。これはとても大きなメリットです。

検討の過程で浮かび上がってきたキーワード・価値観は、実際にビジョンやミッションのコピーにはならずとも、私たちが目指すべきゴールを示してくれたと実感しています。

社員にこのような土壌があると、社長や人事・広報以外の社員ひとりひとりまでが、他者に対して自分の言葉で会社のことを伝えられるようになります。規模の小さいスタートアップは、社員一人一人が広報的な役割も必然的に担います。社員の誰もが会社の代表として、自信を持って外に発信できるようになりました。

2)当事者意識が向上した
会社の重要な意思決定プロセスに参加したことで、社員一人一人の当事者意識がとても高まりました。

日々の業務ひとつにとっても、「なぜClearがやるべきか」ということを考えるようになりました。「未知の市場を切り拓かなければならない」という自発的な意識が芽生え、従来は上長に判断を仰いでいたような場面でも、自ら正しい判断・意思決定を行えるようになりました。

3)自分のゴールも明確になった
会社の目指すゴールが明確になると、その会社に所属する自分の向かうゴールも意識できるようになります。自分が実現したかったことが会社と合致していれば、これ以上に最高な会社はありません。

Clearの全社員はまさにこの「自分のゴールと会社のゴールが合致」している状態にあります。単に日本酒が好きなだけではなく、自分たちの力で実現させたい未来の姿が、会社と、社員一人一人が一致しているからこそ、「日本酒の未来をつくる」という大きなゴールに向かって邁進していくことができます。

おわりに

今回は、Clearのビジョン、ミッションについて、そしてそのHow toについてご紹介してきました。
会社とはどうあるべきか、何が必要か。未来をつくっていく私たちにとって、それを考え実践し続けることは必要不可欠です。

私たちのビジョン、ミッション、バリューに共感してくださった方へ。私たちは一緒に日本酒の未来をつくっていく仲間を募集しています!お気軽にご連絡ください。


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