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#レイモンド・チャンドラー

『プレイバック』 レイモンド・チャンドラー 著

『プレイバック』 レイモンド・チャンドラー 著

駅に現れる女性の後を尾けるように依頼され遠目から観察する。
彼女の身なりから振る舞い見るだけで分かる特徴や雰囲気を読み取りながら尾行を続ける。

しかし、謎も多い。彼女が何者なのか?なぜ尾行するのか?何も知らされないまま任務に着かされる。

彼女の正体が分かった時、読んできた思い違いをしていたことに気付かされる。

フィリップ・マーロウシリーズを読んできて思うことは、マーロウというキャラクターの魅

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『リトル・シスター』 レイモンド・チャンドラー 著

『リトル・シスター』 レイモンド・チャンドラー 著

警官「彼女に名前はあるのか?」
マーロウ「今はまだない」
このやりとりは決して生まれたての女の子の名前を聞いているわけじゃない。
毎度のことながら本当にやりとりが楽しいシリーズ。
フィリップ・マーロウシリーズ5作目。

訳者あとがきで村上春樹さんが語っているが、レイモンド・チャンドラーは自分では気に入っていなかったと言っている。

しかし、村上春樹さんは登場人物のオーファメイを読むためだけでも読む

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『水底の女』 レイモンド・チャンドラー 著

『水底の女』 レイモンド・チャンドラー 著

前作の「高い窓」では正直がっかりしていたが、この「水底の女」はいつものフィリップ・マーロウが帰ってくる。

もちろん、マーロウだけじゃなく情景の描写もトークのやり取りもレイモンド・チャンドラー全開で本当に面白い。
これこれー!!と思いながら読んだ。

タフで憎まれ口のマーロウがギリギリのやりとりで喧嘩になるのかならないのかヒリヒリする。

田舎の保安官補パットンは年をとっておりマーロウのことを「お

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『高い窓』レイモンド・チャンドラー 著

『高い窓』レイモンド・チャンドラー 著

今回は紹介するか正直悩みました。
と言うのは今回の「高い窓」は正直好きではないからです。

マーロウのトークはイマイチというか、警察官の方が仮説を披露し、マーロウは黙って聞く。
言い返すこともなく、ただ黙っている。
タフではないセリフが多い。そんなふうに感じたからです。

もちろん、レイモンド・チャンドラーは素晴らしい小説家なので、僕には分からない技術や試みがあったんだと思いますが、僕の好みではな

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『さよなら、愛しい人』 レイモンド・チャンドラー 著

『さよなら、愛しい人』 レイモンド・チャンドラー 著

やはり、人物描写の表現が面白い。いや、人物に限らず情景描写も会話の展開も面白い。おそらく、ずっと読んでいられる。

人を探す大男マロイとの出会いから物語は始まるが、それは一旦警察に任せる。

それとは関係なくマーロウに探偵としての仕事の依頼がくる。
しかし、その仕事でヘマをし窮地に立たされる。

どうして起きたのか? どうしたらいいのか?
この「さよなら、愛しい人」では多くの小説家が分かりやすく引

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『大いなる眠り』 レイモンド・チャンドラー 著

『大いなる眠り』 レイモンド・チャンドラー 著

情景描写が面白い。

警官たちの人柄や娘たちの振る舞いで世界観と空気感を生んで引き込まれる。

ストーリーは息つく間もなく、起こる状況は最悪。
その中をマーロウは、知っている事実とトークで相手を翻弄する。
時に力で乗り切っていく。

先にロング・グッドバイを読んでいるが、この小説も読んで良かった。マーロウシリーズハマりそうな予感がする。

先にも書いたが情景描写とマーロウを筆頭に登場人物の会話がユ

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『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー 著

『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー 著

この小説の面白さは皮肉たっぷりのユーモア溢れる言い回しにあると思う。

ストーリーは次々と展開していくが正直やりとりが面白い小説なので、ずっとやりとりのシーンを読んでいたくなる。

主人公フィリップ・マーロウは危険な人物にも臆せず堂々と振る舞う。どんな相手でも、どんな不利な状況でも挑発的な言い回しで相手の痛いところを突き話を優位に持っていく。

それに危険な仕事をしているにも関わらず、報酬は必要最

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