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鉄道会社からの転職活動のリアル

  • 鉄道会社からの転職

  • ネックになること

  • 気をつけるべきポイント

こんにちは。
本日は、私が経験した鉄道会社からの転職活動のリアルについて書いてみようと思います。あくまで私個人の経験、感性に基づく記載となりますので、誰しもにとって正解・不正解ではないとは思いますが、狭い&非常に閉鎖的な業界のことですので、仮に同業の方が読んだ場合少なからず共感していただける部分もあるかと思います。

◆鉄道会社からの転職

鉄道会社に入社をする学生にどんなタイプが多いかと言えば、やはり安定性と知名度を求めて入社しているタイプが最も多いでしょう。

私自身もそうでしたが、「業務内容が目に見えやすい」×「成果を求められる業界ではない」×「インフラ業界としての安定感」といった強みはコロナ禍以前においては一定の訴求力があったことは間違いありません。

そのため、社員の気質としても穏やかで周囲とうまく過ごせるタイプの人は多く集まっているように感じます。
※かと思うと世代間によっては体育会系がメインだったり、その辺りの雑多な感じも鉄道会社の特徴ではあります。

そんな背景もあり、基本的には転職という選択肢を取る社員はごく少数です(でした)。
私は10年ほど会社に在職しましたが、転職した同期に関しては研修後すぐに「あ、これは違う」と気づき辞めていくごく少数か、泊まり勤務がどうしても合わずに1〜2年で辞めていくパターンくらいで、3年目を過ぎて転職する、といった事例はほとんど目にしませんでした。

なので、「転職」という選択肢自体がかなり特殊な事例として受け取られている実態もありますし、「外の世界ではやっていけない」という意識は、一般社員のみならずプロパーの管理職社員の中でも持っている方は多いように感じていました。

仕事自体は体力があれば余暇の時間も十分に取れますし、休憩時間や手当などについてもかなりクリーンに線引きがされている業界なので、「きちんと出勤し仕事をこなす以外は自分のプライベートを充実させたい」という指向性を持つ方にとっては、かなり恵まれた環境であると思います。

少し話がズレましたが、何が言いたかったかと言えば、上記のような環境では外部との接点も持ちづらく、またモデルケースとなる社員も周囲にあまりいないので、いざ会社に疑問や不安を感じたとしても「自分のいる環境を変える」という選択肢が根本的に浮かびづらいということです。

さらに、仕事に関しても基本的には徹底的にマニュアル化された反復業務が大半であるため、社歴が長くなればなるほど「自分で思うように行動・環境を変える」という選択肢が見えなくなってしまうケースは数多く散見されます。そういった方に仮に自身の今後のキャリアの不安であったり展望とのギャップをぶつけたとしても、「仕方ない」という言葉が返ってくるのが関の山です。

なので、転職が一般的になってきたコロナ禍以降のここ数年においても、なかなか周囲にアドバイスを求めづらく、孤独に転職活動を進めている方は数多くいることだろうと推察します。ですので、もし現在鉄道会社に身を置きながら将来に不安がある、漠然と転職について考えている方がこの記事を読んでくれているとするならば、不安なのは自分だけじゃなかったんだと少しでも安心し、一歩踏み出して貰えると嬉しいなと思います。

◆ネックになること

では、いざ転職活動を始めたとして、どんなことがネックになるか。
まず、これはスタートとして受け止めておくべき絶対の事実があります。

それは、鉄道会社における管理職以前のキャリアは正直何の意味も無いということです。

気持ちはわかります。私も、自分がそれなりの時間を費やした業務です。制度の勉強や様々な沿線に出向くなどの勉強もある程度やってきた自負があります。

しかし、残念ながら事業会社におけるアピール材料としては、あまりに特殊な経歴すぎて、それだけでは何のプラスにもなりません。

鉄道会社からの転職活動は、まずはこのスタート地点を認められるかどうかにかかっていると思います。多くの人が、「転職サイト登録したんだよね」とか口では話します。大半は「今の会社に満足していないし、最悪辞める選択肢も考えている自分」に安心しているだけです。ほぼ辞めません。無視しましょう。

その中のわずかな割合で、実際にエージェントにコンタクトを取ったり、履歴書や職務経歴書を書いてみる人がいるかもしれません。

で、大体ここで折れます。私も一度折れました。
なぜか。単純に、「びっくりするくらい経歴に書くことがない」のです。

時間通りに行動できる、確認すべきものを確認できる、臨機応変な対応ができる・・・あれ?自分って電車が動いていない世界で何ができるんだっけ・・・
技術職ならいざ知らず、事務職(一般職)で入社をしていて、かつ大学時代に文系だった社員は、ここで詰まります。

鉄道会社でマネジメント経験を得ようとするならば、大きな会社ならば最速でも入社から10年はかかるでしょうか。(そこで得られる経験も部下を動かしマネジメントしながらプロジェクトを成功に導く、といったような一般的なマネジメントとは少し異なりますが)それ以前の社員であれば、職責に関わらずほぼ横並びで同じ経験をしているのです。そう、自分ならではのスキルや経験など、おそらく皆無でしょう。

いやいや、自己啓発の一環で改善活動に取り組んできた、という方も中にはおられるかもしれませんが、職場の決裁権・裁量が弱い鉄道会社では1〜10までプロジェクトに関わる、といった経験はしづらく断片的な業務しか経験できないことも多いため、それは他社に売り込めるスキルとは少し異なる、という認識です。

ではやはり転職なんて不可能なのか、考えるだけ不幸になるだけなのか?というと、私はそうではないと思っています。

むしろ、自身のキャリアの棚卸しの場としてはこれ以上ないほど学びのある機会ですし、転職活動をすれば結果転職という選択肢を取らないにしても、長い自身のキャリアをどう積むべきか、という視点は必ず得られます。そして何よりタダです。

また、世の中確かに甘くはないですが、とは言ってもポテンシャルや人柄で選考を進めてくれる会社も0ではありません。先述したように、他社で活かせるポータブルスキルなんて15年くらい勤めないと手に入れる土壌にすら立てない人がほとんどです。そして入社15年も経てばその頃には辞められない理由の方が多くなっていますし、実際に30代後半ともなれば未経験転職は今のご時世的にはもう絶望的でしょう。(市場は活況ですし今後ずっとそういった状況だとも思いませんが)だからこそ、転職が頭に過ったなら1秒も早く具体的な行動にまで踏み込んでほしいと思っています。

エージェントにメール返してください。職務経歴書添削してもらってください。今書くことがない状態は、1年後を考えてもほぼほぼ好転していません。若さが強みになるうちは、自分の市場価値を知った上で外に出る、という選択肢を持っておいた方が絶対に良いというのは、30を超えてかなり転職活動に苦戦した私からのメッセージです。

◆気をつけるべきポイント

転職活動で気をつけるべきポイントがあるとすれば、やはりメンタルかと思います。正直、書類選考はほぼ通らないと思って出すくらいで良いかと思います。

勿論業界にもよりますが、鉄道会社での経験自体で足切りにされる会社も少なからずあります。(業務スピードについてこれるイメージが湧かない、自分で仕事を作れるイメージが湧かない、など)

ただ、それが現在の市場価値なのです。現実です。
でも大丈夫です、真摯に志望を伝え、やり切る覚悟があると伝われば受け入れてくれる会社も必ずあります。コンサル業界や、営業職種、人材業界などは比較的そういった傾向があるように感じます。

求人票の要件で、○○の経験●年以上〜みたいな記載をしている企業も多くあります。ですが、基本は足切りや明らかに志向が異なる候補者を落とすためのものであり、エージェントと丁寧にコミュニケーションを取った上で応募してもらう企業であれば、この辺りは意外と度外視してくれることも多々あります。

とはいえ、要件を定めているということは持たざる者は入社後ある程度苦労する(能力として備えているのが当たり前という環境だという表現の裏返しなので)現実もありますので、この辺りは自己対話を繰り返し自分の指向性と出来ることを丁寧に棚卸ししていく作業は必須かと思います。

ただ、現実と嫌と言うほど向き合った経験は、転職をしないとしても必ず役に立つと信じています。なぜか。閉じた世界で長くいる人の多い環境だからこそ、現状をより良くしようという意識が少しあるだけでも目立つからです。逆にそこから社内でキャリアが好転するかもしれません。

だからこそ、大勢の中の一人にならず、「自分はもっとできる、もっと良い環境がある」と思っている人がいるのなら、ぜひ一歩踏み出してほしいと思っています。

外の世界はやっぱり厳しくてボロボロになることも私自身多いですが楽しいです。
そこで得た経験をいつかまた鉄道業界に逆輸入できないかななんて画策していたりもします。現在市場価値がなかなか認められなくても、これから磨いていけば良いのです。

迷っているなら挑戦しましょう。絶対一人じゃないです。
仮にどこも決まらなくて傷ついたとしても、転職を諦めてもいいじゃないですか。
その時は今いる会社をもっとよくすれば良いだけです。身の回りの、小さなところから。

もしどこかで現状の息苦しさにもがいている、かつての自分のような人がいたら、
一緒に頑張りましょう。
心の底から応援しています。私もやり切ります。

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