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(つぶやき小説) 真昼の夜道

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続いたら、私がうれしい。不定期。
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#日記

あなたは混乱する頭で考えた。どうにか自分自身が正常であるかの確認をしたかった。どうすればいい? そうだ、日記だ。日記を手書きで書けば、なにも問題はなくなる。日記なら、買い置きのものがあったはずだ。あった。これを書けば、なんとかなるだろう。あなたは束の間の安心を得た。(3556日)

あなたは日記を書き始める。年が変わったばかりなので、日づけの把握はできていた。ひとつひとつ丁寧に書くが、にぎやかしにシールも貼っていった。幼い頃にため、使うことを渋ったシールをおしげもなく貼っていく。あなたにとっては、過去へのリベンジを果たしたつもりになっていた。(3555日)

日記を家族にみられても、あなたはかまわなかった。どうせ日記などは自分にさえわかればいい。楽しければいい。人にみられない前提に書かれた日記など、つまらない。しかし、家族の目にはそういうふうにはうつらなかった。正常というのは年相応という意味なのをあなたは理解しなかった。(3554日)