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「ADHD男性」にとって、「国際結婚」という選択肢を考える。 【ADHDは高学歴を目指せ】

 34.

 ADHD男性は、どういう相手と結婚するべきか。

 そのあたりを考えてみることがあるのですが。


 これは非常に難しい。
 僕個人の経験とて、それ程豊富ではない。

 そもそも僕は、「財力」「安定性」「清潔感」「余裕」などの欠けた、典型的なADHDなのです。
 その上、男兄弟の家庭、男子校出身。つまり女性扱いはうまくない。

 「女性にモテる」ような存在ではない。


 それでも。

 非常な幸運に恵まれて、高学歴男性にはなった上に、一度は事業に成功もした。
 さらに、特に若い頃には、愚かさからくる無謀さ=行動力も持っていた。

 お陰で、それなりに女性と付き合う出来ました。

 年単位に渡る同棲や、国際結婚などの経験がある。


 そして、その経験から、ADHD男性の結婚問題について、考えてみようと思います。


 まず。
 ADHD男性とは、欠けたものの多い存在です。
 身の回りのことが何も出来ない。

 一人暮らしをしていれば、服も食事もとにかく適当、夜更かしもしがちで、生活の質はとにかくひどいものになる。

 どうしても、ある程度は「管理をしてくれる相手」が必要なのですが。

 当然のことながら。
 ADHD男性が、そういうことのきっちり出来る女性と、結婚するまで深い仲になるのは、非常に難しいと思われます。

 僕自身も、そういう「社会的にちゃんとした女性」の何人かと、付き合いはしましたが。

 率直に言って、お互い、「若気の至り」でしかなかった。
 お互いに幻想を抱いて、付き合うようになる。

 けれども勿論、とにかく価値観が合わない。
 すぐに諍いが起こる。

 僕は、会話をしている間にも、他のことを始めてしまうし。
 約束をすぐに忘れてしまうし。
 「安定した生活」をしようともしない。
 
 しかも、そんなダメ人間のくせに。
 すぐに彼女に飽きてしまい。
 挙句の果てに、黙って長い旅に出てしまう。

 そんな僕を、「ちゃんとした」相手は、受け入れることが出来る筈もありません。
 僕が幼稚な人間であることに気づき。

 当然、文句を言う。

 けれども、特に若い頃の僕は、自分のダメさを受け入れることが一切出来ていなかったために。
 自分の意見を引っ込めることが、自分の間違いを認めることが、そして相手の価値観を受け入れることが出来ない。

 僕はそれにムキになって反論し。

 幾度にも渡る喧嘩が起こり。


 やがて、幻想は消え去り。
 お互い、嫌気がさしてしまう。
 
 
 結局、あっさりと別れています。

 とてもでもありませんが、結婚に至ること、それを意識すること自体、一度もありませんでした。

 その一方。
 僕と同じような、「欠けたもの」のある女性――発達障害の女性と、深い仲になったことは、それより多くあります。

 こちらに関しては、価値観がそれなりに近い分、まだ、「価値観の相違」は少なかったと思います。

 安定だとか、落着きだとか、そんなものは一切不要。
 とにかく、「楽しいこと」が一番。

 大きな夢ばかり語ること、思い付きで突然夜中に出かけること、毎日遊び歩くこと。
 そんなことが一緒に出来て。

 それはそれは、とても楽しい日々でしたが。


 結婚まで至ることは、ありませんでした。


 何せ。
 当然のことながら、生活リズムは滅茶苦茶。
 お互い稼ぎも少なく、お金もどんどん減って行く。

 「生活力」のないカップルなのです。

 その上、発達障害持ちは、多くの場合、二次障害を併発していて。
 お互い、傷つきやすいポイントを持っている上に。
 余裕がないために、「相手に配慮する」ことがなかなか出来ない。

 必然的に、諍いはひどく多くなる。

 その上、お互い飽きっぽい。
 

 そして、幾度目かの大喧嘩の果てに。
 お互い、相手の顔を見るのも嫌になり。

 あっさり、別れることとなるのです。
 結婚どころではなかった。



 結局のところ。
 「結婚しよう」と思う以前に、それが実現できなかった訳で。

 僕自身は、「こういう人と結婚するべきだ」と考えること自体が不可能であるような、そんな経験しか出来なかったのですが。


 しかし。
 三十歳前にして、ようやく、発達障害持ちではない女性と、安定した関係を築くことになります。


 それが、台湾人女性。

 彼女は、僕にとって、非常に「都合の良い相手」だったと思います。


 まず、台湾人女性にとって、「日本人男性」というだけでかなりのプラスポイントになる――あの「しっかりした国の人」=「しっかりした人」というイメージで接してくれる。

 それに、日本の常識=「大学を出れば即就職」などというものに囚われず、「転職、留学は当たり前」という考え方をしている。

 さらに、「整理整頓にそれ程興味がない」「貯金するよりも若いうちに楽しまなきゃ」という、享楽的な一面もある。

 こういう、価値観の共有がある程度出来た上に。

 そもそも「日本社会の常識」を殆ど知らない彼女は、僕が「日本人だけど日本の社会常識がない」幼稚な人物であることに、気づけない。

 僕は、無自覚かつ、その意図はないままに、「騙す」ような形で、彼女に「素晴らしい人」というイメージを与え続けることが出来たのです。


 そして、僕にとっても。
 彼女が非常に美人であっただけでなく。

 違う文化で育った人物であるだけに、「飽きさせない」要素に満ちている。

 惚れ込むに決まっている。

 その上、彼女と結婚をすれば、僕の夢である「外国で働く」ための必須条件である、「配偶者ビザ」を獲得することが出来るのです。

 当然、僕は彼女に尽くす。

 かくして、二人の仲はどんどん深まり。


 最終的に僕は、非常に美人である台湾人女性と、結婚する運びとなったのです。



 こう考えてみれば。

 発達障害持ちの日本人男性にとって、国際結婚――特に、「日本に強い憧れを抱いている」外国人女性との結婚というのは、非常に都合の良いものであるように思えます。


 実際。

 僕は今まで、同じ環境の人――台湾人女性と結婚している日本人男性と、何人も出会ってきています。

 その多くは、勿論ちゃんとした社会人ですが。

 一部は、色んな意味で常識の欠落した人物で。
 「社会人としてどうなのだろう?」と、僕にすら思わせてしまうありさまなのですが。

 それでも、十分に幸せそうに、楽しそうに暮らしているケースが多い。


 勿論中には、結婚生活がうまく行かないケースもあります――僕のように、あっさり離婚してしまうケースもある。

 とはいえ。
 その離婚原因は、「飽きた」「生活力がなかった」からではない。

 僕は彼女に飽きはしなかったし、彼女との生活を守るべく、懸命に働くことも出来た。

 そして彼女も。
 僕のだらしなさや無能力さに気づいて、嫌気がさした訳でもない(多分)。

 問題は、起業して仕事が楽しくなってしまったこと――つまり、僕が懸命に働くあまり、彼女を大事にしなかったこと。

 台湾人女性は、常に「お姫様扱い」することを求めるし。
 それさえ叶えていれば、どんな男性でも愛してくれる傾向がありますが。

 「お姫様扱い」をやめると。
 どんな男性でも、簡単に捨ててしまう傾向がある。

 だから。

 僕のように、仕事に没頭するのでさえなければ。


 発達障害持ちの男性にとって、非常に良い選択肢であると言えるのではないでしょうか。

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