夏は変態の季節
この夏 僕は変態を目の当たりにした。
神秘的だった。
そんなハズはないと思ってもそれが現実。
まさかあんなに大きく美しくなるなんて。
いったい中身はどうなっているのか。
覗いてみたい衝動を必死に抑える。
僕にできることはなく 変態を見守るしかないもどかしさ。
そして見事な完全変態を見せつけられた。
はじめは嫌だったけど 結果的には良かったと思う。
恥ずかしながら初めての変態だったのでテンションが上がった。
触るのは嫌だけど見るだけなら良い。
そんな一夏の変態だった。
いやぁほんとアオムシからサナギになってアゲハチョウになる過程は不思議でいっぱいだった。
まさか変質者のことだと思った人はいないよね。
アオムシを妻がもらってきた時には 虫嫌いの僕は恐怖に慄いた。
はじめは黒いちっぽけな幼虫だった。
脱皮したのか いつのまにかアオムシに。
ポケモンのキャタピーのようなヤツ。
ドラクエのキャタピラーのようなヤツ。
Theアオムシといった風貌。
それは恐怖を呼び起こすフォルムをしている。
しかもわりと大きなウンチをする。
同じ虫嫌いだと思われていた長男はきちんとウンチを捨て虫かごの掃除をしていた。
ちょんちょんと触ってもいた。
もう父を越えたか。
パパは誇らしいよ。
そしてサナギとなる。
ポケモンでいうトランセルのようなヤツ。
はじめはアオムシのまま動かなくなった。
しばらくすると色が変わり カタチもサナギらしくなった。
変態が始まったのだ。
サナギの中では全てドロドロに溶け再構築される。
まったく別の姿へ。
そしてそのサナギからは想像を越えた大きさのアゲハチョウが誕生した。
誕生というのは誤りか。
変態した。
変態を経て生まれ変わったというべきか。
その変わりようは驚異的で姿は勿論、飛行能力に繁殖能力を獲得し食す物にも変化をもたらす。
幼虫の名残りは一切ない。
その変態ぶりに僕は感動した。
あっぱれだ。
しかしこんなにも複雑な変態をする必要がどこにあるのか。
それの何が良かったのか。
まぁここまで生き残ってきたのだからそれが正解だったのだろう。
完全変態を終えたアゲハチョウは外に解き放った。
イヤハや嫌いな虫からも学ことはあるんだなぁ。
変態から学。
字面だけなら僕も立派な変態に見える。
この変質者のことを変態と呼ぶのは昆虫の変態と関係があるのだろうか。
そんな無益な問いに辿り着いた。
ちなみにバッタのようなサナギにならないヤツは不完全変態というらしい。
不完全な変態。
子どもと大人の姿があまり変わらないのが不完全変態。
すなわち僕達も不完全変態だといえる。
あなたも僕も変態にはなりきれない。
どこまでいっても不完全な変態なのだ。
僕もサナギになって人間を超越した存在になりたい。
そろそろ何を言っているのかわからなくなってきたのでこのへんで。
ではまた。
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