見出し画像

金子みすゞ童謡集

青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。

見えぬけれども あるんだよ、
見えぬものでも あるんだよ。
(「星とたんぽぽ」金子みすゞ)

明治36年(1903年)の4月に
山口県仙崎の港町で、誕生した
詩人 金子みすゞさんの、代表作のひとつである、詩です。
みすゞさんは、昭和5年(1930年)の、3月に幼い娘さんを
残して、自ら死を選びました。
まだ26歳でした。

悲劇の詩人と、言われることもありますが、多くの、優しく、豊かな世界を表現した、詩を書いて、
残しました。

他にも、

春の空はひかる、
絹のよにひかる、
なんでなんで ひかる。

なかのお星が透くからよ。(すく、
と読みます)

春の海はひかる、
貝のよにひかる、
なんでなんでひかる、

なかに真珠があるからよ。
(「空と海」)

浜辺の石は玉のよう、
みんなまるくて すべっこい。

浜辺の石は 飛び魚か、
投げれば さっと波を切る。

浜辺の石は 唄うたい、
波といちにち 唄ってる。

ひとつびとつの 浜の石、
みんなかわいい石だけど、

浜辺の石は 偉い石、
みんなして 海をかかえてる。
(「浜の石」)


私が好きな、春と夏の詩を
選びました。「空と海」は、
春の空の、冬がようやく終わり、
花見などで、外出もしやすくなった頃、改めて、桜を見上げながら、明るい空に星も見えるような気がする感じ、でしょうか。
春の海も、穏やかな波で、
地上からの、明かりや月などに、
照らされる様子かなと。

「浜の石」は、夏の海の爽やかな空気感があり、浜の石ひとつひとつが、海を迎えている。
「海開き」の様子を、表現しているのかなあと、思います。
夏が始まった合図がした、の
Mrs. GREEN APPLEの歌詞を、また思い出しました。

金子みすゞさんの詩集は、昭和
59年(1984年)に、
金子みすゞ全集として、出版されて、多くの人に読まれるようになりました。
私も、2冊購入して、去年は、
金子みすゞさんの特集を、TV
で拝見しました。(NHKの教育テレビ)

ひらがなが多用され、こどもでも、読める優しい、詩。だが、
その内容は、深く、豊かで、
果てしない。
自然の様子、魚、海、空、鳥、こどもたちの遊びなどの、日常にあるものの、情景を描写しながら、人の気持ちを表現している。

人の苦しみや、哀しみは、目に見えない。なかなか、理解できない。だから、表情や、仕草で
想像するしかない。ただ、人には言葉がある。想像して、その気持ちを、優しく、わかりやすい言葉で、豊かに表現できる。
それが、金子みすゞさんという、素晴らしい詩人だったのだ、と
思います。

まだまだまだ書き足りないですが、最後に、私が一番好きな、
みすゞさんの詩を。

私は、この詩を読んで、児童文学の「赤毛のアン」(モンゴメリー原作)の、一節を思いだして、
(同じ想いだなあ❗)と、
感動しました。

「人生という、道は決してまっすぐではない。だが、すてきなことを想像する心と、大きな夢、ともに笑いあえる大切な友だち、そしてマリラがいれば、どんなことでものりこえらるはず」

「神さまは、天にいらっしゃる。この世は すべて言うことなし。」
(マリラは、孤児の、アンの養母になった人です。)
「赤毛のアン」より



このみちのさきには、
大きな森があろうよ。
ひとりぼっちの榎(えのき)よ、
このみちをゆこうよ。

このみちのさきには、
大きな都が あろうよ。
さびしそうな かかしよ、
このみちを 行こうよ。

このみちのさきには、
なにかなにか あろうよ。
みんなで みんなで 行こうよ、

このみちを ゆこうよ。
(「このみち」金子みすゞ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?