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『グリムノーツ』に学んだこと
初めましての方は初めまして。
『グリムノーツ』というアプリについて語るうえで、まずはこちらの曲を聴いていただきたいです。
視聴されて、どこか聞いたことがある方がいらっしゃることだと思います。
そう、よくTikTokなどで流れてる『アレ』です。
原曲は『忘れじの言の葉』といい、この『童話と民謡』をテーマとした『グリムノーツ』のテーマソングでした。
もしかしたら今回初めて聴かれる中で、今はもうこの世界のどこにもない、どこか懐かしく幻想的な雰囲気に心をつかまれる方がいらっしゃるかもしれません。
かくいう私もその一人で、リリース初日からこの曲に魅入られた一人で、今でもなお聞き続けています。
そんなこんなで『グリムノーツ』の世界に足を踏み入れた私を待ち構えていたのは『白雪姫アリスどっちが強い』戦争だったわけですが。
サービス終了前はWAVE1から最後の敵が散るその瞬間まで白雪姫4人でひたすら画面いっぱいの雪だるまに火柱上げさせ続けていた記憶があります。
そんなこんなでサービス終了までエンジョイ勢としてマルチに参加し続けていた私ですが、仕事の兼ね合いもありサービス終了に立ち会う余裕がなく、その最後を看取れなかったのは後悔しているところがあります。
グリムノーツの世界観
この『グリムノーツ』という世界観を軽く説明させていただくと、舞台となる『想区』において住民は一冊の本を持って生まれてきます。
それらは『運命の書』と呼ばれ、その本にはその人が『生まれてから死ぬまでの間の全ての物語』が書かれています。
彼らは『運命の書』に記された通りの人生を歩むことを皆当たり前だと思い、なんの違和感を持つことなく生きていきます。
『想区』はそれぞれ童話や民謡になぞらえた世界となっています。
物語の主役(童話『赤ずきん』における赤ずきん、『灰かぶり姫』におけるシンデレラなど)とその世界の住民たちが各々の『運命の書』の通りに動くことによって『人生という物語』を終幕へと導いていくのです。
そして、『結果はどうあれ』物語が終わった『想区』にはまた『次の世代の主役』が生まれ、『想区』の中の物語は果てしなく続いていきます。
しかしそんな永遠のように思える世界にも『イレギュラー』は発生します。
それは生まれながらに『運命の書』に何も書かれていない者たちです。
生まれながらに何の役割も与えられていない『空白の書』を持つ彼らは、基本的にその『想区』の人たちから忌み嫌われ虐げられます。
なぜならこの『想区』に生きる住民たちの『運命の書』にも彼らの存在は書かれていないからです。
物語における主役であろうとモブであろうと、その一生は全て『運命の書』に約束されており、彼らはその盛大な劇に紛れ込んだ『全てを狂わせかねない不穏因子』となってしまうわけです。
そんな世界観の元、とある『シンデレラの想区』で主役である『シンデレラ』の幼馴染として生まれ『何の役割も与えられていない』少年『エクス』が本ストーリーの主人公となります。
『想区』の管理者 ストーリーテラーについて
『想区』における全知全能の神のようなもの、それが『ストーリーテラー』と呼ばれる存在です。
作中でも絶対的な存在として、反面ふわっとした抽象的な概念として描かれているそれらは、その『想区』を創造しその世界に生きる住民全てに『運命の書』を授けた張本人となります。
つまり『想区』の住民は『運命の書』=『ストーリーテラー』に生まれながらに全てを決められているわけです。
『想区』の破壊者カオステラー
主役を含め、『想区』の住民たちは基本的に与えられた『運命の書』の内容に何か感じ入ることはありません。
しかし住民たちにも当然感情は存在するため、時には『運命の書』に決められていたとしても『どうしても運命を受け入れきれない者』が現れる時があります。
それは特に重要な責務を持つ『想区』の主役であったり、その主役の『末路』を受け入れきれない近親者であったりすることが多く、そんな『運命に対する強い反発心』によってストーリーテラーが異常をきたした存在、それが『カオステラー』です。
『カオステラー』は『運命を受け入れきれなかった者』に取りつくことで『運命を書き換える力』を与えます。
しかしそれは『想区』の理に反する混沌の力であり、『カオステラー』が力を使えば使うほど、物語を繰り返すことで成立していた『想区』は崩壊していきます。
そして最後は『想区』が成り立たなくなり、その世界まるごと消滅します。
『空白の書』と『導きの栞』
生まれながらに『空白の書』を持ち、役割を与えられない少年エクスはある日、今まで見たこともない奇妙な黒い化け物と倒木の下敷きとなり身動きができない銀髪の少女と出会います。
エクスは少女を助けようとしますが敵わず、そんな中銀髪の少女『レイナ』からある一枚の栞を手渡されます。
それは『導きの栞』といい、様々な『想区』で語られる民謡や童話の魂を自らに宿すことのできるものでした。
『ストーリーテラー』に何の役割も与えられない『空白の書』を持つエクスはこの栞に適応でき、『空白の書』に栞を挟んだことにより得た『ヒーロー』の力で化け物たちを追い払うことに成功しました。
レイナから、エクスが暮らしてきたこの『想区』は、世界を覆っている『沈黙の霧』の中に無数に浮かぶ『想区』のひとつにすぎないこと。
真黒な化け物『ヴィラン』が現れた以上、この『想区』は既に終わりかけていることを知らされ、この『想区』の『主役』であるシンデレラに危険が迫っていることを悟ります。
その後レイナの仲間である小柄な女の子シェイン、大柄な男であるタオと共に舞踏会が開かれている城へと向かうのでした。
エクスたちがたどり着くころには城内は『ヴィラン』に変貌した住民たちであふれており、その発生源『カオステラー』はシンデレラに南瓜の馬車とガラスの靴を与えた『フェアリー・ゴッドマザー』でした。
エクスたちは栞により『ヒーロー』の力を宿し、四人がけでこの『カオステラー』を払うことに成功します。
混沌の力の大元を絶ったため『ヴィラン』も消滅したが、同時に数多の住民を失った『想区』を『カオステラー』によって乱れる前の状態に戻すため、レイナは『調律』の力を発動し、『本来の筋書き通り』の『想区』に復元させました。
全てが元に戻った日常の世界が戻ったが、エクスは同じく『空白の書』を持つレイナ達『調律の巫女』御一行に加わり『想区』を巡る旅に出ることを選びました。
怠惰の国のアリス
原作『不思議の国のアリス』
ルイス・キャロルという作家が執筆した『不思議の国のアリス』という童話があります。
聴きなじみのない方でも『アリス・イン・ワンダーランド』といえばどこかで聞いたことがあるかもしれません。
大まかなあらすじとしては、ある日、アリスは川辺の土手で読書中の姉の傍で退屈を感じながら座っていた。すると、そこに服を着た白ウサギが、人の言葉を喋りながら通りかかる。
驚いたアリスは、白ウサギを追いかけて、ウサギ穴に落ち、さまざまなものが壁の棚に置いてあるその穴を長い時間をかけて落下します。
長い時間をかけて落下したアリスがたどり着いたのは、何もかもがへんてこな『不思議の国』だった、というものです。
この地下にある『不思議の国』及び住人達は当然実在はせず、全てはアリスの夢の中での物語であり、住人はまだ幼いアリスのイマジネイションを具現化した存在といわれています。
そんな世界をベースとした、私がこのアプリで一番好きな本編を紹介させていただきます。
本編
『カオステラー』を気配を感じ取ったエクスたちが『沈黙の霧』を抜けると、そこに拡がっていたのは『不思議の国の想区』でした。
しかしこの『想区』は『主役』であるアリスが『カオステラー』に取りつかれ、本来『不思議の国』を支配している『赤の女王』と『白の女王』を追い出し、自らが『不思議の国』を支配している状態でした。
この世界のアリスは『運命の書』によって自らの未来を知り、孤独な生涯を悲観し、大人になることを拒み続けていました。
そんなアリスに赤の女王が言います。
「その場で留まり続けるためには、全力で走り続けなければならない」
「己のままでいたいなら、人は歩み続けなくてはならない。どれだけ辛い道でも、進まねばならない」
「それをやめた時、それこそお前はアリスではなく"アリスだったもの"になってしまう。それでは、ダメなのだ…」
「未来は、お前の味方ではないかもしれない。でも、敵でもないのだ」
「大人になることは悲しいことかもしれないが、幸せなことも、きっと、絶対に、ある」
グリムノーツ シンボル収穫イベント 怠惰の国のアリス
『19 走り続けねばならない 終幕』 より引用
大人になって分かること
このグリムノーツの世界は、生まれた時に『運命の書』により役割が与えられるという設定ですが、正直、私自身生まれる時に全ての未来が見えていて、それを変えられないとしたらアリスと同様に絶望してしまうと思います。
しかし反面で、生まれた時点で全てが与えられており、失うタイミングも分かるのであればそれはある種、幸せなことなのかなとも考えてしまいます。
現代社会を生きる上で誰しも一度は自分の未来が知りたいと思うことがあると思います。
生まれながらに何もせずとも生涯の『役割』を準備してくれる世界は、現代世界では幸せだと思う人も少なくないのかもしれません。
『役割』に縛られ、不安はないが思考停止で生きていく。
『役割』を探し、不安と向き合いながら生きていく。
どちらが良いのか、決めれる日はおそらく来ないのだろうと思います。
紹介するために再度本編を読み返しましたが、最後のアリスと赤の女王の問答は、誰しもが避けては通れないし、これを認めることができたら『大人』なのかもしれませんね。
最後に、学生時代に本編を見てずっと心がけてきたことを記して筆を置かせていただきたいと思います。
「その場で留まり続けるためには、全力で走り続けなければならない」
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