人事コンサルタントのつぶやき#2
『賃金制度の導入は社長のわがまま?』
保険代理店を営むお客様の人事制度構築を担当しました。その際、社長と話をした時のことです。
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私 :「重点戦略を実現するための投資計画、人員計画などはどのように
なっていますか?」
社長:「計画ではないが、投資で言えば、今回依頼をさせてもらった件だろ
うね。うちのような小さな会社にしては大きな決断だと思う。」
私 :「事業承継を見据えて、人事制度を見直されたいんですよね?」
社長:「そうそう!特に賃金制度を形あるものにしたいんだ。私の頭の中に
あるからね。」
私 :「そのような考えに至ったキッカケ、出来事があったのですか?」
社長:「前々から思っていたよ。年齢もあるかもしれない。先が見えてき
た。でもね、賃金制度を形あるものにしたいのは、私の自己満足、
わがままでもあるんだよ。」
私 :「わがままですか?」
社長:「うちの社員が制度を整えてほしいとか、形にしてほしいと思ってい
るか分からない。私が見栄を張りたいだけだろうね。でも、私は形
にしたい。制度が整えば社員は会社は成長したなとか、会社はまだ
まだ大きくなるなとか、私の代で終わるのではなく続いていくんだ
ろうなとか未来を示せると思うんだ。
制度自体に期待する効果もあるけれど、それに取り組むということ
に意義があると思うんだよ。会社を次の世代に譲るものとして、
私のやるべき最後の仕事かな。」
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ここまで他者のことを考えることが私にできるだろうか…と率直に思います。
社長とはかくも社員のことを考えるものなのかと感動した出来事でした。
そして、明るい未来を社員に示して次の世代に引き継ぐという意思を強く感じました。
会社が次の世代にバトンを繋ぐ瞬間に人事制度という仕組みは大きく貢献できます。
このような経営者の思いを実現するためにも力を尽くしたいものです。
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