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フロイトを語る精神科医は「ヤバい」のか

フロイトの名著「夢判断」

NHKで放送されている「100分de名著」という番組をご存知でしょうか?

一回の放送25分を週1回→月4回にわたり、
文字どおり100分で、難解かつ長編の過去の名著を読み解いていく番組です。

毎月一冊ずつ様々な名著が取り扱われるのですが、
去る4月に放送されたのが、
フロイトの名著「夢判断」でした。

実際の「夢判断」の和訳は、分厚い上下巻2冊に分かれていて読破するのは相当大変です。

それを100分で、しかも映像や専門家の解説を通して(視覚や聴覚に訴えるため、記憶に定着しやすい)学べるのは、かなり効率的お得と言えます。

フロイトと言えば、無意識に着目することで、神経症(不安、抑うつ、ストレスなど)の患者さんを改善していこうという、いわゆる精神分析の礎を築いた人物です。

そのフロイトが「自分の人生で最もインパクトのあった著作」と述べたのが「夢判断」でした。を分析することで無意識を紐解こうとした名著です。

100分de名著「夢判断」

番組内で紹介された内容について簡単にご紹介したいと思います。

夢は願望充足に基づくものという話から始まり、夢形成のメカニズムである夢作業

両親に対する無意識の願望でもあるエディプスコンプレックス、さらには今日の心理学に通じる精神分析的な話にまで及びました。

特に印象的だった言葉を2つ。

一つは解説者の立木先生の言葉、

「(精神分析を通して)運命的だと思っていた症状のみじめさが、ありふれた不幸に変われば自分で対処できるようになる」

もう一つは司会進行役の伊集院光氏が全4回の最後に締め括った言葉、

「夜眠るときに見る『夢』と、将来の夢・希望という意味で使う『夢』、なぜ同じ『夢』という言葉を使うのかが腑に落ちた気がする」

フロイトを語る精神科医は「ヤバい」のか


さて、表題の「フロイトを語る精神科医はヤバいのか」について。

フロイトや精神分析、あるいはもっと言うと心理療法全般(EMDR、森田療法等)に対して、

精神科医が傾倒し過ぎていると、他の精神科医から後ろ指を指されることが実際にあります。

これには色々な理由があるとは思っているのですが、

一つには本来フロイトや精神分析などの心理療法は心理士さんの方が精通している分野で、中途半端にかじるよりは心理士さんに任せようという風潮があるように思います。

学生の頃から系統的に学習し、あるいは心理士として実際にクライエント(来談者)を何人も診てきた経験則には、精神科医は到底かないません。

後ろ指を指される他の理由としては、精神分析のような無意識下の抽象的で漠然とした概念(実際にはそうではないのだが)を扱うのではなく、

実際に患者さんの表に出ている症状に対処すべき、というのもありそうです。精神分析ばかりやっていると口うるさくなるばかりで、見方によっては本質から外れていると感じるのでしょう。

精神科医は良くも悪くも個人プレーで、各先生が自分の診療スタイルや信念を持っているため、ちょっと変わったことをしている精神科医は目につきます。

ただ、こうした精神分析や心理療法を蔑ろにしている精神科医ほど、患者さんの話もろくに聞かず薬ばかり出している精神科医だったりします。

個人的には、精神科医も精神分析に関して、ある程度の知識は身に着けておくべきだし、それが日常診療にも生きてくると思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※精神分析を学ぶことで、自身の苦痛や葛藤を乗り越えるキッカケが得られるかもしれません。
精神分析に関して、今回ご紹介した100分で名著、Amazon primeやU-NEXTでオンデマンド配信されています。初学者でも読みやすい書籍としては「こころの葛藤はすべて私の味方だ」という本をオススメしています。

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