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診断をどう捉えるか

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。

精神科における診断(病名)について、デリケートな問題で様々な意見があるかと思いますが、精神科医(私個人)が考える診断の捉え方、診断との付き合い方を書いていこうと思います。

診断することの意味

医師から診断を受ける、ということは患者さんにとって非常に大きな意味を持ちます。その理由の一つとして、場合によってはその診断名が一生ついて回るものになるからです。

統合失調症や躁うつ病、知的障害や認知症といった病気の場合は特にそうだと言えます。よく精神科で使われる言葉に「寛解」という言葉がありますが、

これは一時的に症状がなくなった状態を指すのであって、決して完治はしていない状態を指します。統合失調症や躁うつ病は、寛解したとしてもその後も再燃する可能性を常にはらんでいます。

それゆえ当然診断する側としても慎重になります。初診の1回のみの診察で診断がつかない場合も少なくなくありません(むしろ余程確信がない限り、断定しないよう意識している)。

診断が変わることもある

何回か診察を重ねていくうちに、あるいは時間が経過し症状が変わっていくと、診断が変わることもあります。

よくあるパターンとしては、当初うつ病と診断された方が、経過の中で躁状態となり、診断が躁うつ病に変更になるパターンです。

他には当初はうつ症状や不安症状がメインだった方が、数年の経過で幻覚妄想状態となり、統合失調症の診断となるのもよくあるパターンです。

(診断が変わるというよりは、躁うつ病や統合失調症の初期症状に特異的な症状がなく、その時点では判断できない)

診察する医師によって診断名が変わる、ということもあります。例えば発達障害に関して、スペクトラム(連続体)という性質上、グレーを診断するのか、しないのかはどうしても分かれる部分なのです。

診断に振り回されすぎない

ここまで述べてきたように、診断を保留したり、経過の中で診断が変わることも少なくありません。どの精神科医がみても同じ診断名をつける場合もあれば、そうでない場合もあります。

また実際には、ある一つの診断で一元的に症状を説明できるケースはむしろ少なく、環境やストレスなど複合的な要素が絡んでいるケースも少なくありません。

診断名は確かに大事ではありますが、とらわれすぎない/振り回されないことも同じかそれ以上に大事と言えます。

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