見出し画像

精神保健指定医研修会〜文字どおり斜めから見てきた

こんにちは、精神科医のはぐりんです。

今日は先日参加してきた精神保健指定医研修会(以下指定医研修会)について。内容的にも、会の様子的にも中々面白かったのでお伝えしていきます。

指定医研修会とは、精神保健指定医を更新するために5年に1度必ず受けなければならない勉強会のことで、丸一日かかりますが受講するだけで指定医の資格が更新できます。何ヶ所かで開催されているのですが、私が参加した研修会には500人くらいの精神保健指定医が全国各地から集まり、部屋には4つくらいスクリーンがあって、半分は別室でサテライト中継で受講するほどの大規模な研修会でした。

座席は指定されており私は一番後ろの一番端の席だったので、研修会の様子全体を見渡すことができました。受講するだけで資格更新ができる、と聞くと座って寝ていても更新できそうなものですが、私の後ろには監視員が何人か座っていて、居眠りや途中退席を見張っています。ただそんなことをしなくても、なんだかんだで真面目な先生が多く、ほとんどの先生が講習会の内容に聞きいっていました。指定医の資格は人権に関する事、つまり強制入院や行動制限をする際に関わってくる資格なので、またそれらが規定されている精神保健福祉法に抵触すると処罰されますから、むしろみな必死に5年に1度しかない機会と捉えて受講しているように見えました。

肝心の内容はというと、ずっと言われていることなのですが、日本は人口当たりの精神科の病床数が世界一という現状があって、精神障がい者の退院を促進して地域共生社会を目指そうというお話し。「精神障がい者『にも』対応した地域包括プログラム」を略して「にも包括」と呼びます。最近はどこのグループホームも一杯で少しずつ地域で生活されている方が増えてはいますが、まだまだ実感としては地域の受け皿も乏しく、実際の入院者数も多いのが現状です。

入院患者が多いと身体拘束も増えます。日本は人口当たり諸外国の数百倍身体拘束をしている患者が多いと言われており、理由としてはベッド数が多い分、マンパワー的に拘束しなければ対処できないからです。最近のジャニーズ問題にしてもそうですが、日本は人権問題に関して諸外国と比べてかなり遅れている印象を受けます

そうそう、それと精神科医師の研修会や学会というと、必ずと言っていいほど会が荒れます。研修会には法律に関することなので弁護士もアドバイザーとして参加しているのですが、精神科医師vs(現場をしらない)法律家のバトルがほぼ必発するし、あるいは精神科医師同士のバトルだったり。今回は子供の入院をめぐって、虐待に関することだったり、子供は入院させるべきではないといったことで議論が紛糾しました。個人的には精神科医師はASD特性のある医師が多いと思っていて、そのあたりも議論が紛糾しやすい理由の一つなのかな、とも勝手に思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?