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番外編:ULS式ノーミングセッション-実践編(お客様とUNSをやってみた)

いままで紹介してきましたUNSは、自社でのチームビルディングを対象に説明をしてきましたが、”チーム”という考えを広げて捉え、お客様も含めたプロジェクトチームを対象にノーミングセッションを実施する事もできます

今回のテーマはお客様とUNSをやってみたです。是非とも現場に導入する際の参考にしていただければと思います

ご紹介するケースは、弊社の典型的な支援の形である「発注側支援※」のプロジェクトでの実例になります
※発注側支援についてはこちらをご覧ください

経緯

そもそも「お客様とやろう!」となった背景は、弊社が参画しているプロジェクトの企画フェーズにて、お客様の振る舞いに問題(ベンダに丸投げ、任せっぱなし)があり、これから対応するシステム開発の内容・規模からして、お客様自身でプロジェクトをガンガンドライブしていく気概が必要でした。

また、お客様側も全く知らない社員同士が集まった状況で、プロジェクトメンバーの認識を合わせつつ、今までのマインドを変える必要があるとULSは判断しました。お客様PMにその旨を提言し、ノーミングセッションを実施しました

※なお、ULSの立ち位置は、お客様側のチームに入りお客様PMを支援するポジションでプロジェクトに参画しました

プロジェクト概要


プロジェクト概要

とある企業のECサイト、および基幹システムの刷新プロジェクトで、企画フェーズ、ベンダ選定が完了し、要件定義が始まるという状況です

弊社のポジション

お客様の情報システム部の部長(プロジェクトマネージャ)の支援です

プロジェクト体制

プロジェクトメンバーは、お客様プロパ社員が中心で、メンバー同士の面識はあるものの、一緒に働いた事があるメンバーは少ないという状況でした。また、保守しか経験していないメンバーもおり開発フェーズに対して不安がありました


UNSの内容

これらを踏まえ、UNSを実施する事にしました。内容は以下の通りです

UNSのプロセス

プロジェクト情報の共有、自己紹介

プロジェクト情報はすでに共有済みで、プロジェクトメンバー同士、人となりは知っていたことから、プロジェクトの目的や自己紹介は端折りました

働き方ルール

プロジェクトのルールに、「評論家にならない」、「関係者を馬鹿にしない」というルールを設けました。これはPMが企画フェーズから気にしており、口の悪さがチーム内の雰囲気を悪くするという点から、ノーミングセッションをきっかけに(ルール化する事によって)、その問題を解決しようと考えました

役割分担

役割分担は細かくは決めずざっくりと情報システム部のミッションを説明した後、各メンバーに自分がやるべきことを自分で考えてもらう方法にしました(これは準備が間に合わないという苦肉の策であったが結果的によかった)

期待値の交換

全体の流れとして「期待値」の交換に重きを置いたメニューにしました

結果

効果はテキメンで、メンバーが思っていた弱点や不安が明確になり事前の対策をしっかり取ることができました。また、初回セッション後、定期的に振り返りを行う事で、弱点・不安に対する経過を観察するような形になりました

・元々懸念していた通り、メンバーの多くは不安を抱えており、それをメンバー全員で共有できたことが大きいと考えます。また、プロジェクトの中で実際に問題が発生する前という事もあり、積極的に意見が言い合え、おそらく、問題が発生した後では本音で話せなかったと思われます

・期待値交換では、既存社員が「入社間もない中途社員」にむける”外から来た人への期待(新たな風を吹き込む)”と中途社員の”こうすればいいのにと思うが遠慮しておこう(郷に入れば郷に従え)”のギャップが解消できました(中途社員のモチベーションアップ)

 ・役割をメンバー自身で考えてもらう事により、メンバーにより一層責任感を持たせる事が出来ました。ただし、セッション内で出しきれないメンバーが出てしまったため、セッション後にメンバーにヒアリングする必要がありました。自分の役割を自分で考え発表する事は難易度が高いため、そういったメンバーが出ることは想定しておく必要があったと反省がありました

 ・チャレンジ系の意見は初回セッションでは出ませんでした。ただ、初回の結果を元に定期的にKPTを行い、出てきた問題点をどのように解決するかといった形でチャレンジ(KPTの”T”)が出始めてきました
 
・期待値という概念がチーム内に生まれ、それに応えるという形が出来上がりました

最後に

いかがたっだでしょうか。お客様とのノーミングセッションは自社チームでやるものとはまた異なるものです。PM支援として入ったプロジェクトですので、PMとセッションの意図や進め方をしっかりと握る必要があり、自社チームでやる場合と準備が異なります。その点は十分注意しましょう

とはいえ、プロジェクトを進めるためにチームビルディングは必要な活動であり、プロジェクトの立ち位置によらず、ノーミングセッションの実施を提案してみてはいかがでしょうか

みなさまも、プロジェクトの特性に合わせたテーラリングを考え実践してみてください

ではまた!


このブログではチームビルディングの方法論 ULS式ノーミングセッションを紹介しています
第一回:ULS式ノーミングセッション
第二回:ULS式ノーミングセッション-最初の一歩
第三回:ULS式ノーミングセッション-A.プロジェクト情報の共有
第四回 - ULS式ノーミングセッション-B.個人の考えを共有
第五回 - ULS式ノーミングセッション-C.期待値の交換と合意


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