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第五回 - ULS式ノーミングセッション-C.期待値の交換と合意

「チームメンバーからPMへ」そして「メンバー同士の意見交換」が最強のチームへの鍵となる

皆さん こんばんは! 
今回のテーマは【期待値の交換と合意】です。

第三回の【プロジェクト情報の共有】では、PMからメンバーに向けて「プロジェクト目的」「期待している役割」について伝えました。それだけですと、PMからの単なる押しつけになってしまう可能性があります。

そこで、PMから出てきた「期待している役割」に対してメンバーから
”PMへ自らの考えを返す”ことで期待値のズレがないかを、相互にすり合わせをしていきます。また、PMとメンバー間だけではなく「メンバー同士の意見交換」も行い、双方向に期待値を交換し合意していきます。
これが今回のテーマとなる「期待値の交換と合意」になります。

チーム内で相互に期待値の交換と合意を行います

私はこれまでプロジェクトマネージャーとして、小規模なチームから30名前後のチームをゼロから作る中で、色んな思考性を持ったエンジニアや、経歴を持った方と仕事をしてきました。その中で得た最強のチーム作りに必要な内容を含めお伝えしたいと思います。チームを作る上で、難しいテーマにはなりますが、これが出来ると間違いなく強いチームになりますので、是非、最後までお付き合いください。


1. 導入でやる4つのこと

アクティビティーでやることは、4つあります。最終的にこのように話し合った内容をまとめていきます。

最終成果物イメージ
  1. PMがあなたに期待すること
    第三回のテーマで考えた内容になりますが、今回のメンバーやメンバー間で期待値を交換していくベースになるものです。

  2. あなたの想い
    PMから伝えられた役割や期待されていることに対して、自分の考えをPMへ返します。考え方の違いや、期待値の受け止め方のズレがないかを確認して不安な要素があればここで伝えてもらいます。

  3. 他メンバーがあなたに期待すること
    一人一人に対してチームメンバーの方から期待している事を伝えてもらいます。PMの方でファシリテートして意見を引き出してあげてください。

  4. 成果をより大きくするための「具体的アクション」
    これまでの話し合いの中で出てきた認識のズレや、不安などがあればその対策として具体的なアクションを話し合います。


2. チームに導入する際の3つのポイント

  1. 個別にメンバーと期待値交換
    チーム全体で話をする前に、PMは個別にメンバーと期待値の交換をしておきましょう。特に、3名以上のチームメンバーがいる場合は、個別に実施して相互理解をしたあとで実施していきます。

  2. 明文化した資料をチームで話す前にPMにて準備
    PMは、事前に話した期待値交換の内容をスライドに書き込んでおいて、内容をチーム全体へ伝えます。チーム全員がいる中で最終的な確認を行い周囲のメンバーに役割を認識してもらいましょう。

  3. 無理して一度に終わらせようしない(無理せず何回かに分けて実施)
    プロジェクト現場で業務以外のチームビルディングに使える時間は限られているかと思います。一度に全てをやろうとせず、何回かに分けて実施をしていきましょう。


3. 導入する4つのステップ

ここまで「アクティビティーの概要」と「ポイント」を話してきました。
次は、もう少し具体的に導入方法について4つのステップで説明します。
もう少しですのでお付き合いください^^

1つずつステップを踏んで進めることが大事


【ステップ1】 少人数で期待値の交換をする
チームの中には、色んな気質のメンバーや、初めて顔を合わせる人がいるかと思います。期待値の交換を成功させるにはお互いの信頼関係が影響します。一般的に、初めて一緒に仕事をする方へ自分の弱みや、期待されている仕事ができないといった事は、言いづらいと感じるのではないでしょうか。過去を振り返るとメンバーが3名以上になると、1対1で事前に実施しておくとうまくいきます。

この1対1の時に、PMがメンバーに期待を持っている理由や背景も伝えてあげると、メンバーのやる気スイッチをONにするキッカケにもなるので伝えましょう!


ステップ2 話し合った内容を資料に明文化しておく
ステップ1まで話してきた「PMが期待すること」「あなたの想い」の欄にチーム全体で話し合う前に1対1で話し合った内容を書いておきます。

次のステップでチーム全体へ話をしていく際に、資料上に書いておくと
参加メンバーも自ら情報を得られるため、理解度も変わってきます。資料に反映した内容をもとに期待値の交換内容を共有していきます。


【ステップ3】 チーム全体で期待値を擦り合わせる

  • PMは結果だけではなく内容の背景も合わせて伝える
    メンバー全員の前で、ステップ2で明文化した内容をPMより伝えていきますが、メンバーと会話した際のPMの期待値の理由や背景も、メンバー全員に共有します。そうする事で、PMのプロジェクトやメンバーに対しての考え方を浸透していくことに繋がっていきます。

  • メンバー同士の期待値を引き出す
    このステップでは参加者が3名以上なので、メンバー間での意見が出しづらいと感じる方が多いかと思います。そこでステップ1・2が重要になってきます。このステップをちゃんと踏んでおけば、PM自身がメンバーへの理解が深まっているはずなので、PMから積極的に発言が出やすい環境になるようにファシリテーションしてあげましょう。発言できそうな人を指名して意見を求めたり、1対1で話し合った事をチーム内に問いかけ意見を求めるなど、メンバー同士の期待値を引き出すように努めましょう。

【ステップ4】 アクションを決める
出てきた課題や不安要素に対し解決のアクション内容を決めます。ですが大抵は一回では決まらない、意見が出づらいことの方が多いです。そこで、PMの方でアクションの素案を作り、日を改めてチーム内で議論し最終的な解決アクションを決めて資料へ明文化します。


4. 実践のコツ

いかがだったでしょうか。ULS式ノーミングセッションを現場で実践するには少しコツがいります。それは、一度に一気にやろうとしない事です。今回のツールを進めていくことで、各自のやるべき事・判断基準・メンバー間のフォローシップが作られていきますが、何よりもチームのベースとなるお互いの信頼関係が重要になってきます。初めて仕事をするメンバーが多い場合は、特に焦っていきなりすべてのアクティビティをやろうとせず、丁寧に進めていく事が成功のポイントです。

プロジェクト特性や、関係性の強弱に合わせ、朝礼・夕礼といったちょっとした時間だったり、チームメンバーの新規参加や、開発工程の区切り、振り返りの中で一度で終わりとせずに複数回やることで、最強のチームに近づきます。繰り返し実践をしてみてください!

チーム発足からノーミングセッションの導入の流れ

本編はこれで終わりですが、番外編として実際に現場適用した模様をお送りします!ではまた!!


このブログではチームビルディングの方法論 ULS式ノーミングセッションを紹介しています。
第一回:ULS式ノーミングセッション
第二回:ULS式ノーミングセッション-最初の一歩
第三回:ULS式ノーミングセッション-A.プロジェクト情報の共有
第四回 - ULS式ノーミングセッション-B.個人の考えを共有
第五回 - ULS式ノーミングセッション-C.期待値の交換と合意 ←いまココ


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