見出し画像

第三回:ULS式ノーミングセッション-A.プロジェクト情報の共有

前回はノーミングセッションの進め方について説明しました
今回はその中の【A.プロジェクト情報の共有】についてご紹介します

①プロジェクトの目的

プロジェクトにおいて、そのプロジェクトがなぜ発足したのかを理解することが重要です。そのため、以下の内容をPMが整理しプロジェクト内で共有します

1.プロジェクトの背景

プロジェクトが立ち上がった経緯や、より上位の目的といったプロジェクトが発足した背景を共有します。これはこの後に話すプロジェクトの目的をより深く理解するためにしっかりと背景をとらえておく必要があります。背景を知らないで目的だけ話してもメンバーの理解も深まりませんし、逆にメンバーから「なぜ背景をおさえていないのか・・・」と不信感につながります。必ず情報収集をしておきましょう

2.目的(顧客目線)


顧客の目的(ゴール)を共有します。これは通常のプロジェクトであれば必ず存在する「プロジェクト計画書」に記載されている”目的・ゴール”に関する記載に該当します。小さいプロジェクトや立ち上げ直後から忙しいプロジェクトなど、プロジェクト計画書が存在しないケースもあり得ますので、その場合はPMが顧客側の状況を踏まえ目的を定義します

3.目的(自社観点)

プロジェクトでは参画している関係者毎にプロジェクトの目的が存在します。これはプロジェクトを通じて自分たちがどうなっていきたいかを定義するものです。一般的には、自社の実力を顧客にアピールし次の案件獲得につなげるといった内容が一般的と考えられます。それ以外にも、チームの成長、各メンバーの成長、新旧体制の入れ替え、プロジェクトの撤退といった様々なゴールがあります。それを定義しチームで共有します

4.目標値

PJのマイルストーンまでに何をやり切るのか、達成すべき基準を定義し共有します。メンバーの理解やマネージャー側の評価という意味で、定量的な目標を設定するのが望ましいです。目的(顧客視点・自社視点)と整合を取る形で値ができるとさらによいでしょう

5.主要成功要因

プロジェクトを成功させるための主要成功要因を検討し共有します。これはその段階におけるプロジェクトリスクを洗い出し、その対策を検討、実行する内容を定義する事です。上流工程であれば、要件を決め切るためのキーマンを味方にする事や、反対派の意見をどのように抑える・説得するかといった事がポイントになりやすいです。開発工程になると要員のスキル、開発チーム編成といった内容に変わってきます。工程に合わせて都度主要成功要因をアップデートしチームと共有します

6.ステークホルダマップ

プロジェクト関係者の一覧と各自の役割、誰がカウンターとなるかを整理し共有します。コミュニケーションは基本中の基本になるため、予め相対する人を決めておき、友好的な関係を築きます。特にキーマンを誰がケアするかが重要になってくるため、カウンターを決定するとともに、接し方についても戦略を練っておきましょう

②役割分担


役割分担ではPMがメンバーに期待している事と自分の担うべき役割を具体化して伝えることで、責任範囲を明らかにします

PMはノーミングセッション開催前に必要な役割を定義し、その役割が担う具体的な責務、および実際にその役割を与えるメンバーを決めておきます

※以下は各役割のイメージ

1.PM(自分自身)

  • プロジェクト遂行の責任を持つ

  • 進捗管理、リスク管理、課題管理を行う

  • プロジェクト運営、スコープの意思決定する

  • 対顧客の折衝窓口となる

  • ULS内でプロジェクト報告を行う。必要に応じて本部長・SVへエスカレーションする

  • プロジェクトの最終成果物を取りまとめる

2.要件定義チームリーダー(Aさん)

  • プロジェクトにおけるシステム要件全般について責任を持つ

  • アプリケーションの業務的要件に関わる事項の意思決定し、決定事項についてはPMへの報告責任をもつ

  • 業務プロセス、機能要件などの業務に関する成果物レビューを行う
    本顧客関連PJのこれまでの経験を元に、顧客固有の事情(ビジネスモデル、背景など)や現状システムの情報をチームに伝え、各担当にアドバイスする

  • 【チーム目標】202X年1月末までに既存システムのデータ構造を資料化する

  • 【チーム目標】202X年3月末までデータ利活用施策を実現する仕組み案を策定し、顧客と合意する

3.要件定義チームメンバー(Bさん)

  • 要件定義チームメンバー

  • 担当領域における作業に責任を持つ

  • 飲み会を企画・開催する

  • (入社まもない)Eさんのメンターとなる

  • ドキュメント作成状況、レビューステータスを管理する

  • 週次定例の議事録をとり、社内レビューを回し顧客提示する


それぞれの役割や期待は、PMが検討したことをすり合わせの土台として、次のステップ「⑤期待値の交換と合意」で使用します


③まとめ

いかがだったでしょうか。プロジェクト情報の共有や役割分担は、大体の方がプロジェクト開始時に伝えているものとは思いますが、伝える項目のラインナップやその内容の深さは人によりまちまちだと思います。過去自身がやられてきたことを振り返り、足りないものがあるようでしたら、実践してみてください

以上、
ULS式ノーミングセッション-実践編(プロジェクト情報の共有)における
【A.プロジェクト情報の共有】の説明でした

次回は【B.個人の考えを共有】を説明します

ではまた!!


このブログではチームビルディングの方法論 ULS式ノーミングセッションを紹介しています。
第一回:ULS式ノーミングセッション
第二回:ULS式ノーミングセッション-最初の一歩
第三回:ULS式ノーミングセッション-A.プロジェクト情報の共有←いまココ
第四回:ULS式ノーミングセッション-B.個人の考えを共有
第五回 - ULS式ノーミングセッション-C.期待値の交換と合意



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?