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我々人間は植物の奴隷です。中学社会の先生必読。読了日記『世界史を大きく動かした植物』

ざっとした内容

米、小麦、唐辛子、コショウ、桜など、さまざまな植物の特徴を踏まえその特徴により、人類がどのような挙動をしたかを綴っている。

例えば、稲については次のような説明がなされる。
稲は種子(我々が食べるお米の部分)を自力で落とせない。たんぽぽなどは風に乗って新たな種を拡散させるが、稲はそれができない。種の保存における致命的な欠陥があるのだ。ただその欠陥は種子を保存できるという人類にとって都合の良い構造になっている。それに気づいた人類が栽培する。栽培するために定住する。定住し、米取れるやつ取れないやつ出てくる。貧富の差が起きる。国ができる。と言うように稲が国家を産んだのだ。

かなり雑だが、上記のように植物の特徴が人類の行動に与えた影響を記している。地理、日本史、世界史と絡めて触れられているため、中学レベルの内容で「ふーん」で終了した内容に深みと繋がりを感じられる。個人的には、社会科は全部繋がっていると思っているため、繋がりが見えて鼻息フガフガしちゃう楽しい一冊。

感想学び

植物視点で歴史を捉えていて面白い本だった。社会的事象が全部繋がっていると言う捉えでいたが、そうか、植物も社会的なあらゆる事象で繋がっているよねという示唆が得られた。それでいうと、鉱産資源や海産資源など、あらゆるものを人類は活用し、影響を受けながら生きているのは間違いない。

ただ、植物は他の生物と同様種の保存をすることが命題としてあり、そのために自然の力や虫や鳥などの他の生き物を利用するスケールが大きい。そして何より人間を利用しているのだ。そこに意思が伴っているかは甚だ疑わしい。しかし、稲も小麦もとうもろこしもサトウキビもあらゆる作物を人類は自分たちの利益のために栽培しているようで、植物からしたら栽培してくれているのだ。特に稲はセンシティブで手間暇がかかる作物である。逆に言えば自然状態で生存するのはなかなか難しい。それを人間が面倒を見て、沢山栽培するのである。植物からしたらこんなに便利な生き物はいないのだ。どちらが利用しているのか。Win Winの関係なのか。新たな問いも生まれたが、兎にも角にも社会の授業で活用できる内容が沢山あるので、社会の先生は是非。


面白かった箇所


・古代の地球はC02が多い。植物はCO2が餌。沢山吸わな。木に進化。気候変動で木くらいでかいと滅んでしまう。だったら草の方が色々対応効くよね。草に進化。木が先で草が後らしい。
・牛の胃は4つある。(対稲などの草を食って生きるためシフト)
・農業やるのは、食い物がないから。赤道沿いの作物豊かなところでは農業はそもそも行わない。とったりその辺にあるから。
・狩猟採集時代は、肉など保存できないから数人の集団でシェアすることで協力ができた。保存できる米があるから、対立が生まれた。しかも植物の種は蒔けば新たな種子につながる。
・不安定な戦国時代において、貨幣の価値も不統一な中、保存もできるし、みんなが食べる米の方が価値が生じる。そこで、米を貨幣として機能させる状況になっていく。信長、秀吉を経て、家康で米本位制確立。石高制が成立する。米に価値があるし、戦がないから領土を増やせない。自分の土地の利益を上げるために新田開発がバズる。当時の米はカネなので、新田開発はビッグビジネスになる。先々のための先行投資。

・熱帯地域で香辛料が育つのは、辛味成分を出すことで害虫などから身を守るため。ヨーロッパは冷涼なので、辛味成分で自衛する必要がないので、香辛料が生育しなかった。そんな辛味成分を人間が食べると、辛いと感じる。しかし、人間には辛味という味覚がない。唐辛子などに含まれるカプサイシンが舌を強く刺激し、実際は痛いと感じており、それを辛いを思っている。人体は痛みのもととなるカプサイシンを早く消化、分解するために胃腸を活発化させる。辛いものを食べると食欲が湧くのはそのせい。

・ドイツやフランスで王様らがジャガイモのポジティブキャンペーンを敷いた。・ジャガイモは長期航海に有効。壊血病を防ぐ。

・綿と南北戦争の関係(これで1つ記事書いてもいい。)

などなど

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