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1番目アタール、アタール・プリジオス

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自作の小説をまとめています。連載中です。 天才占星天文学者を名乗る不思議な『水晶玉』アタール・プリジオスとその弟子たちを巡る物語です。 月3〜4話くらいを目安に書いていきます。
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2024年5月の記事一覧

1番目アタール、アタール・プリジオス(15)出発

1番目アタール、アタール・プリジオス(15)出発

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背を向けたアリエルを見るなり、パルムは一瞬の躊躇もなく走り出し、その背中に抱きついた。

「アーリェ!!」

そのとき、パタッ、という音がした。

パルムのズボンのポケットから何か黒っぽいものが飛び出して床に落ちた。

“本”のようだった。

それを拾ったのは、中扉で繋がった隣室からちょうど入ってきた僧侶ガロこと凛々しい剣士姿の聖剣士ロエーヌ・オットーだった。

「どうしたのですか?………

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1番目アタール、アタール・プリジオス(14)帰還

1番目アタール、アタール・プリジオス(14)帰還

 *

なんだ?

いったい、なんだ?

この…どうしようもない、烈しい「心の動き」は…。

なんだ?

“時の繭”の中で、彼は両膝と両手を柔らかなその底に着き、四つん這いになったまま動けなかった。

自分の両腕が、ガクガクと震えているのが分かる。

全身が震えているのだろう。

「アリエルさん? 大丈夫ですか?」

心配した僧侶が、自らの“時の繭”を移動させ、彼の“時の繭”に接して叫ぶ。

「…

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1番目アタール、アタール・プリジオス(13)嵐の日

1番目アタール、アタール・プリジオス(13)嵐の日

 *

求婚したばかりの女の前で…。

エクトラスは俯いたまま、しばらく下唇をぐっと噛み締めていた。

外界では灰色の空から雨が降り始め、神殿の窓を叩いた。風も強まる。

「…逃亡者。いったいどうして? 船が難破したからではなかったのですか?」

「確かに難破した。それは事故だ…僕はね、海中に投げ出された。僕と数名の船員は泳ぎの心得があったが、ほかの乗員たちは溺れて死んだ。
海の藻屑だ。僕は大波に

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1番目アタール、アタール・プリジオス(12)バイモの花

1番目アタール、アタール・プリジオス(12)バイモの花

 *

「……俺の、両親…?」

彼は膜に顔を押し付けて、目を見開いて見る。

「ああ、そうだ…お前の父親、エクトラス・ブラグシャッド・アペルと、お前の母親ミューフィ・ルーサ・オルト・ホロヴィルだ」

アタール・プリジオスによると、自分たちは時空を超えて16年前の過去に飛んできたのだという。
3人はそれぞれ蛙の卵のような透明な“時の繭”に覆われ、その時代の者たちには、こちらの存在は無で、姿は見えず

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