新規事業開発室・社内起業を考察する②~良い事業をどのように見つけていくか~
こんにちは!
A(エース) で執行役員を務めています。キャリアは偶然にも、10年間ずっと新規事業開発で、大きな企業から、起業Day1の企業まで、幅広い企業体で新規事業を行ってきました。
前回の投稿では「いつまで経っても事業がスタートしない」はなぜ起こるのかについて考察しました。
今回は「良い事業をどのように見つけていくか」を考察していきたいと思います。
良い事業とはそもそもなんなのか
「良い事業とはなんですか?」と誰かに聞いたときに、以下のような答えが返ってきたことはありませんか?
・ブルーオーシャンで
・でかい市場で
・急成長が見込めて
・利益率が高い
いわゆる「ホームラン事業」です。上記は「良い事業」の定義として間違いなくめちゃ正しいとは思うのですが、大抵の人は「そんなこと言われてもなあ・・・」となりますよね(笑)
ホームランのポイントを満たせる事業が簡単に見つかるなら苦労しませんし、見つけたとしても、あっという間に巨額の資金を持った大手が参入してきます。
もちろん、ホームランを狙うのであれば、そんなリスクは無視して飛び込むべきでしょう。実際に、信念をもってチキンレースに勝った企業だけが、大きな恩恵を受ける権利を持っていると思います。そして大義的にも、間違いなく国力を上げることに繋がっていると思います。歴史を振り返ると半導体事業とかは、まさにそうなのではないでしょうか。
とは言えど、守らなければいけない社員もいて、決して無尽蔵に資金がある訳でもない状況で、ステークホルダーに合意形成もしないといけない。
さて、何を言いたいかというと、「新規事業の案が中々見つからない」「案があっても進められない」という状況の場合、ホームランを狙いすぎていることが原因の一つになっているケースがあります。
「ホームラン」ではなく「RPG」を意識する
見出しの通りです。「ホームラン」ではなく「RPG」を意識すると、景色が変わることが多いです。
ホームランは絶対に打ちたいですよね。イーロンマスク・スティーブジョブズ・孫正義のような偉人になりたいです。めちゃなりたいです。なのでホームランは絶対にいつか打ちましょう。
しかし、ホームランを意識しすぎるがゆえに、以下のいずれかの状況に陥っていることを多々見受けます。
①他の経営者と比較して、ホームランを打てていない自分に焦ってしまう
②その結果、ユーザーやクライアントへ現在提供している「価値」に劣等感を抱く
③そして、その時トレンドになっているバズワードに取りつかれる
しかし、この①~③が強烈な原動力になることもあるので、決してそれらの状況を否定している訳ではありません。
ただ、人には「性格」というものがあると思っています。この性格は後天的に変えていける部分もあれば、先天的で変えられない部分もあります。
そして、それは「企業」にも通じます。企業には紛れもなく性格が存在します。
その性格から大きく乖離したアクションを行う時に「アレルギー反応」が現れます。例えば、内向的で物静かな人が「今から渋谷のセンター街でナンパしてこい!」と言われても、まじでめっちゃきついですよね。(その経験が、その人の人生を大きく変える場合もありますが・・・!)
それと同じで、例えばタクシー会社内で、新規事業の責任者がブロックチェーンの事業案を役員会にて発表したとしても、「うーん、分からん・・・」と、まったく進まなかったりします。
もしくは、その場では「なんか新しくて、すごくいいね!」と言ってくれるものの、土壇場になるとヒヨりだして、結局進まなくなります。
当たり前ですが、人は誰だって自分が「興味」や「経験」や「知識」がない事業に投資することに対して及び腰になります。
しかし「ホームラン」ではなく「RPG」を意識したらどうでしょう。
ポケモンのサトシは、マサラタウンから始まり、相棒のポケモンと共に様々な仲間や経験を積んでいきます。
そして、いつしか雪だるま的に、2乗3乗と大きくなっていき、伝説のポケモンをゲットするというホームランを打つ時が訪れます。
自分たちの「資産」を振り返ると、宝の山が隠れていると思っています。例えば、美容系のクライアントにマーケティングソリューションを提供しているなら、美容系のマーケティングのスキルや経験や肌感を持っています。
しかも、いつだって美容系のクライアントに相談することもできます。美容系のサービスを立ち上げたら、生々しい意見がもらえるはずです。
僕の好きな言葉に「大きな池の大きな魚になるのではなく、小さい池の大きな魚になる」という言葉があります。
小さな市場であっても、ユーザーインサイトと向き合い続ければ、独占的に事業がうまくいって、LTV換算すると「ホームラン」になっている可能性もあります。
ホームランとは一体なんでしょうか。一時的でも爆発的な売り上げを立てることでしょうか。メディアで大きく取り沙汰されることでしょうか。
企業は生存し続ける限り、バッターボックスに何度でも立てます。そして冒頭でお話しした「デカくて」「ブルーオーシャンで」「急成長が見込めて」「利益率も高い」事業は、最適なタイミングで「その波に乗れるか」が重要だとも感じます。
その時に、金融機関やVCとの健全な付き合いがあれば、大きな資金援助もしてくれるでしょう。経営チームやメンバーが新たなスキルを取得していれば、多様な戦略が取れるでしょう。新たな分野の一次情報を得ていたら、意思判断も素早くできるでしょう。
もちろん、ホームラン狙いもめちゃ最高です。チームの使命感や士気も高まります。しかし、ホームランを狙う場合は、それを発言した人が率先して背中を見せなければいけません。
人に「ホームラン打ってくれ!」と任せて、上がってきた事業案には揚げ足取りまくるなんてことは最悪です。
そして、もし本当にホームランが打てるとしても、「沢山の人の頑張りの土台で、常に新規事業は成り立つ」ということも忘れてはいけません。
さて、本日はこの辺にします!次回も「事業案の見つけ方」のテーマで、今度は少しテクニカル的なお話をしていこうと思っています。
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