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日本語には先見の明があったのか⁈定冠詞のなさが生む曖昧さ

先日のフランス語のレッスンの後、家の方向が一緒のクラスメイトと途中まで一緒に帰った。
さすがに3時間のレッスンの後にプライベートな会話もフランス語にする気力は私たちにはないので、普通にイタリア語で会話をする。
 
大体皆、私の国籍を知らないので(これを書いた頃は国籍不明でしたが今はバレました🤭)、レッスン中に会話の相手になる隣の人のみが私が日本人だと知り、そこで初めて好意的な態度になる(中国人だとこうはならないと思う)。
彼女とも一緒に帰るにあたり、まずは「あなたイタリア語話す?英語の方がいい?」と聞かれ、「イタリア語でいいよ」と言うと、その次に「どこの出身」と聞かれ、「日本」と言うと、心の扉がかなり開かれたのを感じた。さすがにミラネーゼは違う、「中国人?」と不躾には聞かないし、聞き方も丁寧だ😁

まず最初に、最近の円安効果で、友達が皆日本へ旅行に行くので、2020年に行こうと思って断念してから行くのをやめた、と彼女は語った。
その後、彼女が読んだ日本人の作家の本(村上春樹は彼女自身も友達も皆読んでいるから、違うのを探した、とのことで、結構マイナーな名前が出てきた。どうやら皆がすることをしたくないタイプのようで、その辺も私と一緒だな、と親近感を覚えた)や、彼女の元上司の話、文法についてなど、会話は多岐にわたった。
 
地下鉄に乗り込んだ後、彼女は、8年間ドイツ語をやったものの嫌いで辞めて、今度はフランス語だ、と3年前に始めたと語り始めた。
まだ深い知り合いではないミラネーゼに対して失礼だと思い、具体的な理由は聞かなかったが、婚約者がフランス人で、その母親との会話がフランス語のため、必要性を感じたのでは、と推測する。
私も大学の二外がドイツ語で、名詞の性の区別(男性・女性・中性がある。一方イタリア語とフランス語には中性はない)がしばしばできず、それを今になっても引きずっていて、フランス語の性もよくわからない(イタリア語よりも曖昧だと思う)から省いてしまうこと、そして日本語には性の区別がない、と語った。
 
そこで彼女は、「えっ、それってどういうこと?!?彼女とか彼とか、ないの?」と驚いた顔をする。
「彼女と彼は言葉としてはあるけれど、定冠詞がないから、例えば、『友達と出かけた』と言っても(イタリア語で友達はamico(m.単)/amica(f.単)/amici(m.複)/amiche(f. 複)と変化する)、いま流行りのamic-xって感じになるの。今を先取りしてたわけよね」と言い、お互いに苦笑いした。
 
フランスでは相当、LGBTQの受け入れが浸透しているように見えるし、イタリアでもミラノには地方で肩身の狭い思いをしている人たちが全土から集まってきているように思う。
日本の実際は知らないが、そこまで広く深く受け入れられてはいない、つまり、化粧をしてヒール靴で外を歩いている男性は少ないと思うし、道端でキスをする同棲のカップルもなかなかいないと思う。
言葉の成り立ちについては、amic-xと最先端なのに、実際の受け入れはこれからもなかなかされないだろうな、また一つ、矛盾を発見したな、と彼女と別れてから、一人ほくそ笑んだ。


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シマ子
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