コンセプトアーティストAlighiero Boettiの作品を鑑賞する
ある木曜の会社帰り、美術館の営業時間が延長されているのをいいことに、2つの展示を梯子したシマ子。
本当はメインの展示をNoteで紹介しようと思っていたのだが、全くピンとこず、意地になって2つ見た部分もある。
2つ目の方は、特に説明を加える、というタイプではないが、明るくて元気が出る作品が多いので、皆さんの疲労回復の足しになるよう、さらっと載せておこうと思う。
今回のアーティストは、Alighiero Boettiという、割と近年まで生きたイタリア人だ。この展示の裏には銀行がついているため、銀行の特上顧客だった方の遺産を親族から借り出し、展示したという流れでは、と推測する。
「コンセプトアーティスト」の展示とはいえ、ただただ、この特上顧客さんの私物の一部が展示されているだけなので、展示自体には「コンセプト」はないようだ😂
それゆえ早速、作品案内へ移ろう。
まずは「DA UNO A DIECI(1から10) 1980年」という作品から行こう。
作品には、10本の指と、イタリア語の1から10までが描かれている。
次に、「I VEDENTI(有視者) 1972-73年」へ移ろう。
こちらは合計で4点あったのだが、I VEDENTIの文字の刺繍糸の色が若干異なる以外は、大きな差異はなかったので、1点、ライトが当たっているものを撮影した。
説明はなかったけれど、「IL SILENZIO E' D'ORO」は、19世紀イギリスの歴史家・評論家のThomas Carlyleの諺"Speech is silver, silence is golden"から取られているものと思う。
「あれこれ弁解するより、時には黙っていたほうが良いこともある」という意味合いのフレーズの、"黙っていた方がいいこともある"だけを抽出して2年に渡り2つ(以上)の作品を制作したところを考えると、恐らくこの時期、アーティストの人生には何かそう思わせる出来事があったのだろうな、と想像するが、もしかしたら、黙りきれずに溢れてくる部分を、この色で暗喩として表現しているのかなぁ、だとしたらきっと、辛かっただろうなぁ、といらぬ憶測までしてしまった。
それほどまでに静かな、私以外には誰もいない、夜の展示室だった。
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