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『Colaboを支える会』が起こしたRT罪問題。暇空茜さんの提訴が、Colabo裁判に与える影響を検証してみる

すいません。
前回記事の最後に、次回記事ではColaboの架空の経費計上の問題を、一般社団法人法の観点から検証していきます……、と書きましたが、急遽予定を変更させていただきました。

暇空茜さんの提訴が今後の裁判に与える影響を分析したこのツイートが、あまりに反響が大きいので、これはちゃんと記事に書いておかないとな……、と考えた次第です。


なお本記事の執筆と掲載に際し、筆者は実在する人物や団体への誹謗中傷や、名誉毀損など法令違反をする意図が無いことを、ここに宣言しておきます。

去る2023年2月18日、Colabo問題やWBPC問題を追求し続けている暇空茜さんが、著名フェミニストで『Colaboと仁藤夢乃さんを支える会』の呼びかけ人である、北原みのりさんを提訴しました。
この『Colaboと仁藤夢乃さんを支える会』(以下、支える会)はColaboの公認の支援団体です。
同会はTwitterに公式アカウントを設立し、Colaboの広報を行ったり、Colabo支持のツイートをRTするなど、ネット上でColaboへの支援活動を熱心に行っています。


■『Colaboと仁藤夢乃さんを支える会』公式Twitterアカウントが起こしたRT罪。

北原みのりさんへの提訴理由や詳細については、暇空茜さんのnote記事や動画をご覧になっていただくとして、この様な事態になったのは、支える会のTwitter公式アカウントが、暇空茜さんの○害を示唆する内容のツイートを、リツイートしたことが原因です。

出典元:https://archive.md/UqdKj (webアーカイブ)

北原みのりさんは支える会の結成を呼びかけた方で、会の立ち上げ人です。

画像出典元:https://twitter.com/hamhambenben/status/1593505070293090306

また2023年2月26日に開催される『Colaboと仁藤夢乃さんを支える会 報告オンライン集会』の連絡先にもなり、また司会も務めることになっています。

支える会の賛同人一覧を見ると、同会では特に代表者を設けていませんが、以上のような経緯からすると、北原みのりさんが事実上支える会の代表者であると見なされても、仕方がない状況があります。
そのため今回北原みのりさんは、支える会の公式アカウントが行ったリツイートに対する、会の代表者としての管理責任を問われる形で、提訴の対象になったと考えられます。

2023年2月19日、暇空茜さんの提訴に対し支える会は、「本アカウントの運用に北原みのりさんは関与していない」という旨のツイートしますが、問題のリツイートと提訴について何も言及しませんでした。

暇空茜さんへ危害を加えることを示唆したツイートは刑事・民事共に罪に問われかねないツイートです。それを支える会がリツイートしたわけですが、この様な行為に対して、Colabo弁護団はどの様な見解を述べていたのでしょうか?去る2022年11月29日に、暇空茜さんへの提訴の記者会見の場で、リツイートについて次のように述べていました。

中川卓弁護士
「そのデマを、安易に、拡散してしまう人がいるからこそ、またその拡散を信じてしまう人がいて、デマがどんどん拡散されてしまうという、悪循環が生じてしまうわけです。」
「残念ながら、そのような弁護士などがいても、安易に、誹謗中傷の、拡散に、加担しないように、ご注意いただきたいと思います。
なおですけれども、現在は、誹謗中傷を、リツイートで、安易に拡散した人でも、不法行為に、該当することが、ありますので、くれぐれも、ご注意ください。

神原元弁護士
「それから、なんだっけ、あ拡散ね、これについては、もうすでにその裁判例で確立していて、デマについて、あの、デマを、デマのツイートをさらに拡散したものについてもこれも責任が問われる、という裁判例はもうすでに確立してますので、これに基づいてやると、あといいねについても、最近は伊藤詩織さんの判決でも出てますので、これについても、えー、やっていくと、いうふうに考えています。」

出典元:『20221129_Colabo記者会見全文書き起こし』

Colabo弁護団のいうデマツイートとは、例えば「生活保護費の不正受給」「タコ部屋労働」「不正会計」や「税金の横領」などがそれにあたります。

ところがColaboが公認する、支える会の公式アカウントはこうしたデマツイートよりも、さらに悪質な「暇空茜さんの○害を示唆する内容」のツイートをリツイートし、支持者達に拡散したのです。
Colabo弁護団は以前記者会見で、次のように述べていました。
「誹謗中傷をリツイートで安易に拡散した人でも、不法行為に該当することがあります」
「デマのツイートをさらに拡散したものについてもこれも責任が問われる、という裁判例はもうすでに確立してます」

リイツートで法的責任が問われるというのなら、当然支える会公式アカウントによる今回のリツイートも同様です。
しかもより違法性が高い内容のツイートをリツイートしたのですから、同会の犯した行為とその責任は極めて重大です。


■暇空茜さんの提訴が、今後のColaboの裁判に与える影響は?

では今回の暇空茜さんの提訴が、今後のColaboの裁判にどのような影響を与えていくのでしょうか?
次のような可能性が考えられます。


■(1)リツイートや「いいね」に対して、Colabo弁護団が訴訟を起こすことが困難になる。

Colabo弁護団は2022年11月29日の記者会見で、リツイートや「いいね」に対しても法的措置を取ると主張しました。
しかし今回の暇空茜さんの提訴によって、自分達が訴訟を起こす前にColaboの公認団体である、支える会が起こしたリツイート問題を、裁判で弁護をしなければならない状況に陥りました。
つまり身内の問題を先に解決しないと、他人のリツイートや「いいね」の責任を追求できない状況になったのです。
Colabo弁護団は暇空茜さんの「不正会計」や「税金の横領」などのツイートを問題視し、これへのリツイートや「いいね」に対しても法的処置を取ると述べていました。
しかし違法性や悪質性という点ではそれらツイートよりも、暇空茜さんの○害を示唆するツイートの方が遥かに上です。それをリツイートし、拡散したのですから、支える会の行為の方が重大だと言わざるを得ません。

そのため軽微な方の法的責任を追求する一方で、より重大な方を無罪放免にするために、弁護しなければならないという、自己矛盾が発生するのです。

その結果、Colabo弁護団はリツイートや「いいね」に対して、訴訟を起こすことが困難になると考えられます。

無論身内の不始末を無視して、「不正会計」や「税金の横領」へのリツイートや「いいね」に対して、提訴に踏み切る可能性はあります。
しかしいざ裁判になれば、支える会がより違法性や悪質性が高い「○害を示唆するツイート」をリツイートしたことを、Colabo弁護団が弁護するという自己矛盾を、被告側から追求されるでしょう。
先に暇空茜さんが北原みのりさんを提訴してるので、どうしてもそうなります。

仮に支える会のリツイート問題の裁判にはColabo弁護団は関与せず、他の弁護士に任せて距離をおいたとしても、被告側は反論として支える会リツイート問題や、その裁判での弁護内容について追求し、矛盾を突いてくるでしょう。
端的に言えば「お前が言うな」の状態です。
こうなれば裁判官の心象はどちらに傾くのか、火を見るより明らかです。
Colabo弁護団がこの矛盾を解消し、整合性を取るのは極めて難しいと思われます。結果、裁判でColabo側が勝つ可能性が著しく低くなると考えられます。

そして暇空茜さんの今回の提訴は、結果として多くの人々を守ることに繋がりました。暇空茜さんは以前この様に述べ、その後先着1名のみ支援すると表明しました。

しかし今回の提訴で、Colabo弁護団はリツートや「いいね」に対して、訴訟を起こすことが困難になりました。これにより暇空茜さんは、以前自身のツイートをリツイートしたり、「いいね」した人達を訴訟から守ったのです。


■(2)「不正会計」や「税金の横領」等のツイートに対して、Colabo弁護団が訴訟を起こすことが困難になる。

基本的な理由は(1)と同じです。しかも相手は今回北原みのりさんを提訴した暇空茜さんです。
つまりもし仮にColabo弁護団が、「不正会計」「税金の横領」などのツイートを理由に暇空茜さんを提訴するとしても、彼は支える会が「○害示唆ツイート」をリツイートした事で直接被害を受けた人物です。
Colabo弁護団は、支える会によって被害を受けた暇空茜さんに対し、より違法性や悪質性が高い「○害示唆ツイート」の法的責任を棚上げした上で、彼のツイートの法的責任を問うという、矛盾した展開に直面します。
そういう理由から、「不正会計」や「税金の横領」等のツイートに対して、Colabo弁護団が訴訟を起こすことは困難になると考えられます。

この矛盾を解決するには、ColaboとColabo弁護団が、支える会公式アカウントの行ったリツイートに対し、全面的に非を認めて謝罪した上で、支える会の代表者が自身の責任のもとに、公式アカウント管理者を公表した上で解任する。そして代表者も責任を取って辞任するなどの、社会的なけじめをつけることが必須です。
ですがこれまでの彼らの対応を見る限り、それができるとは到底思えません。
仮にこの矛盾を解消せずに提訴に踏み切ったとしても、結末は(1)に書いた通りか、もっと酷いことになると考えられます。


■(3)『Colaboと仁藤夢乃さんを支える会』の全容が明らかになる。

Colaboと仁藤夢乃さんを支える会』は法人格を有しない任意団体です。その場合、何か問題が起きた時の責任はどうなるのでしょうか?
例えばスポーツクラブで事故が起きた場合、次のようになります。

21 2 法人格の有無によるクラブの責任
事故が起きた場合、クラブが法人格を持っていればクラブとして責任をとることができます。
持っていなければクラブ代表者や指導者個人が責任をとることになります。
クラブには、法人格がある(NPO法人、公益社団法人、公益財団法人など)、任意団体である(法人格はない)、権利能力(人格)なき社団(法人格はないが、準じるもの)の3つの形態があります。
法人格がある場合、事故が起きたときにはクラブにも安全配慮義務違反を問うことができます。
法人格を持っていない形態を任意団体といいます。
法律上の組織とはみなされないため、クラブとしても責任をとることができません。

このため事故が起きた場合の責任はクラブ代表者や、指導者個人のみとなります。

出典元:『スポーツリスクマネジメントの実践 ― スポーツ事故の防止と法的責任 ―』P25

つまり支える会が今回起こしたリツイート問題の責任を取るのは、問題を起こした公式アカウント管理者や、先述した様に会の代表者と見なされている北原みのりさんになります。
無論北原さんとは別に、支える会の本当の代表者がいたなら、その方が責任を負うことになります。
したがって北原みのりさんが、法的責任を否定したいのであれば、裁判で全てを話す必要があります。
支える会の公式アカウントの管理者は誰なのか。
同会の代表者は誰なのか。
団体の構成や運営形態、他に運営に関与している人物や団体についてなど、全てを話して、自身の責任が軽い、あるいは無いことを実証しなくてはなりません。
結果、支える会の全容が明らかになります。


■(4)支える会の公式アカウントを、誰が管理・運用しているのか判明する。

(3)で述べたように、北原みのりさんが自身に責任がないことを実証したいのなら、支える会の公式アカウントの管理者は誰なのかを明かす必要があります。
もし一部で噂されているように、Colabo弁護団の誰かが管理者であったなら事は重大です。リツイートや「いいね」の法的責任を問うと主張している当人が、より違法性・悪質性の高いリツイート行為を行ったのですから、その法的責任・社会的責任はより大きいものになります。
また支える会とColaboが事実上、同一団体あるいは支える会がColaboの傘下団体と見なされる可能性があるので、裁判だけでなくColabo自体にも影響を与えることになると考えられます。
もちろん支える会公式アカウントの管理者が、Colabo弁護団とは無関係な人物であればこういう問題は起きません。
なので北原みのりさんは裁判で全てを包み隠さず話し、その真相を明らかにする必要があります。もし隠せば支える会の事実上の代表者として、相応の責任を負うことになります。


■(5)支える会の賛同人が次々に提訴されるかもしれない。

Colaboと仁藤夢乃さんを支える会』の賛同人一覧を見れば分かる通り、代表者の名前が書いていません。しかし任意団体といえど、問題が起きた場合は法的責任が発生します。
もし代表者や責任を取る立場の人物がいない場合、団体の賛同者全員に等しく責任がかかることになります。

そうならないために、通常は代表者を決めたり、代表者や主要なメンバーと賛同者を分けて責任の所在を明確にし、賛同者達に累が及ばないようにします。
弁護士が次のようにアドバイスしている事例もあります。

「代表選疑惑の公開質問書」を民主党に提出!
回答待ちの間に更なる拡散と一般市民の参加増大を募る
(略)
3.弁護士の最終チェック後、更に内容を推敲して提出
提出前に弁護士のチェックをうけ質問内容を更に推敲しました。
主な修正箇所は
①「質問書に問題はないが、不安な賛同者のために《文責はすべて代表者》と一言付加すれば賛同者の法的責任は皆無」とのアドバイスを受け左記の一文を付加

出典元:
カナダde日本語『 2010.10.15 (Fri) 検察審査会審査員の平均年齢をめぐるミステリーを解く』

この弁護士のアドバイスからは、次のことがわかります。
この逆の状況。つまり代表者を決めていない、誰が責任を取る立場なのか不明確なまま、全員を平等にしてしまっている場合は、賛同者全員に法的責任が発生することになるのです。
支える会の賛同人の皆さんは、訴訟”肝練り”会場に参加させられてしまったといえるかもしれません。

出典元:『肝練りにひえもんとり 薩摩の度胸試し』(読書生活 2019年3月2日)


■余談:なぜ暇空茜さんは、支える会の公式アカウントへの、発信者情報開示請求を行わなかったのか?

これはあくまで筆者の個人的推測にすぎませんが、次のような理由ではないかと考えます。
まず(4)にも書いたように支える会の全貌を明らかにするには、代表者と見なされている北原みのりさんを提訴するのが、最も効率的です。
もし仮に支える会公式アカウントに対して、発信者情報開示請求を行ったとしても、開示まで時間がかかる上に、得られる情報はアカウント管理者のIP情報などだけです。
結局、支える会の全容は全く分からないままとなります。
さらにリツートで開示請求ができるという、前例を作ることにもなります。
デメリットばかりでメリットが皆無なために、支える会公式アカウントに対する発信者情報開示請求を行わなかったのだろうと、筆者は考えています。

以上になります。
ここまで述べた一連の検証は、あくまで筆者の個人的見解にすぎません。
今回提訴した暇空茜さんの真意は実は別のところにあり、筆者の検証は全くの的外れになってるかもしれません。
また裁判や訴訟の今後の展開も、筆者の分析とは大きく異なる方向に向かうかもしれません。

しかしそれでも今回このような記事を書いたのは、冒頭に書いたように私のツイートへの反響が大きかったこともありますが、何より北原みのりさんへの提訴という、暇空茜さんの打った手があまりにも見事すぎて、何らかの形で記事にしなければという、一種の義務感的なものがあったのもの大きいです。
一市民によるひとつの見解として受け取っていただければ幸いです。

次回記事では前回記事の最後に予告した通り、Colaboの架空の経費計上問題を一般社団法人法の観点から検証します。
こうご期待。

タイトル画像出典元:
フリー写真素材サイト『使って楽しい、見て楽しい PAKUTASO』

追記
・2023年2月23日:伊藤ゆう都議がツイートを削除したため、その箇所を削除しました。また一部誤字を修正しました。

・2023年2月24日:北原みのりさんが支える会立ち上げの際に、連絡先となっていた証拠画像をUPしました。また一部を強調文字にしました。

・2023年3月16日、次回記事を掲載しました。


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