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【懺悔記録】誰がピンク鳥🐦を責めることができよう

ーー実に懐の深い本アカウント主からの協力を得て、各位に私の胸の内を共有する機会が与えられたことを私は誇りに思う。
(永遠に私のソウルメイト『ハミングバード🐦さん』へ。都内ホテルにて)

※※※※※

 本アカウント主から急遽、この場をお借りした。
 私の名前は、これから私が各位にお話しする内容に比べ、あまりにも些末なことゆえ割愛する。
 巷で騒がれている件について、各位も多種多様なストーリーを耳にされたことと思う。
 ある者が語る内容は、実に整合性の取れた信ぴょう性ある話のように感じられ、ある者が語る内容は、俄かに信じがたいほどに尾鰭が付いた三文小説のように聞こえる。
 そして、最終的に何が真実であるかを見極める作業の無謀さを知り、その件に関する如何なる情報も遮断したくなるほどに辟易する……読者諸君もその内の1人ではなかろうか。
 これから私が各位にお伝えする言葉。
 心して聞いていただきたい……。

私は「あの件」について、真実を知っている。



 これから各位にお伝えすることが「真実」であることについては、私を信じていただくよりほかない。
 しかしながら、この告白を最期に、このアカウント、そしてこの社会からも身を隠すつもりである私が、何の酔狂で各位をペテンにかける必要があるであろう。
 何かについて噂が独り歩きしてしまったような場合、「真実」が単純であればあるほど、それが真実であることを信じてもらい難くなるというジレンマがある。
 あの件についても、私はそのようなジレンマを感じることになるのかもしれない。
 事の発端は以下のとおりである。

※※※※※
ーー2024年7月某日、午後23時46分、人通りの途絶えた郊外にて……。

 普段は事件らしい事件もほぼ発生することのない閑静な住宅街に、突如、闇を切り裂くかのような女性の悲鳴が響いた。

「キャー! 助けてー、ピンク鳥🐦!」


 薄暗い倉庫の中で逆さに吊るされながら、モニターに映し出された女性の恐れ慄く姿を目にし、その悲痛な叫びを耳にしたピンク鳥🐦たち……。
 その直後、彼らがとった言動は以下のとおりである。

「ピヲ~ッToT🐦 助けてほしいのは我々の方ですよ~ToT🐦 昨年末から光も射さない薄暗い倉庫で逆さ吊りにされて、このままでは全員残らず『焼き鳥』にされてしまいますよ~ToT🐦 誰か助けてぇ~ToT🐦 ピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲピヲ~ToT🐦」

『ピンク鳥🐦🐦の『ピヲピヲ悩み相談室』』シリーズより、22羽の逆さ吊りピンク鳥🐦たち)

※※※※※

 もう一度言うが、これが「真実」である。
 なぜゆえに、女性がピンク鳥🐦に助けを求めたのかまでは、私も存じ上げない。
 このことについて、シャーロック・ホームズや明智小五郎、ましてや南ノ名探偵気取りで下手な推理を働かせることは、私の本意ではない。
 さて、それはさて置き、この一件の後、ピンク鳥🐦が各方面から連日連夜、糾弾され続けていることについては、今さら私が繰り返すまでもない。
 女性から助けを求められたにもかかわらず、それを拒絶したばかりか、我が身の安全を優先した「臆病者」とのレッテルを貼られたピンク鳥🐦……。
 しかし、私はこの件について、各位がこれまでに耳にしたこともないであろう考えを持っている。
 どうか、冷静になって聞いていただきたい……。

私は、あの状況においては、ピンク鳥🐦の言動も許される余地があるのではないかと本気で思っている!


 このように言ってはみたものの、私の意見に賛同いただける方が皆無であろうことも私は認めなくてはならない。
 恐らく各位の大半は、これまで聞いたこともない私の意見に驚愕し、「か弱い女性が助けを求めているにもかかわらず、なぜ鳥🐦たちは助けに行かなかったのか! なぜ鳥🐦たちの都合を優先するのか! 今こそ、あの鳥🐦たちを焼いてしまえ!」と激怒するに違いないであろう。
 私も(あの絶望的な状況下であってさえ!)ピンク鳥🐦たちに何も打つ手(または「揺らす羽」と言い換えてもよいであろうが)がなかったとまで言うつもりはない。
 それどころか、ピンク鳥🐦たちがその気になれば、女性を救出できた可能性が大いにあったと言っても、決して言い過ぎではないというのが本音である。
 
 しかしである!
 ご自身の胸に手を当てて自問いただきたい。
 あの状況において、誰がピンク鳥🐦を責めることができよう。
 あの瞬間だけを切り取って論ずるのであれば、正に私、そしてアナタたちの誰もがピンク鳥🐦なのである。
 この期に及んでも、「自分だけはピンク鳥🐦ではない」と言い切れる勇敢な方がおられるようであれば、ぜひコメント欄にて、あの「伏し目がちに、はにかんだように微笑する癖のある本アカウントの主(同時に私の永遠のソウルメイトでもある)」にでも、その熱い思いを伝えてみてはどうであろう。
(そのときには、私はこのアカウントだけでなく、この社会からも姿を消しているであろうことに疑いの余地は無く、その勇者の熱量をパソコンの画面越しから感じる願いさえ叶わぬことに対し、私は天のどこかから切歯扼腕するに違いないのだが。しかし、このアカウントの主までもがピンク鳥🐦であるという事実、これは偶然と言って片付けてしまうことを躊躇うほどの運命の徒と言えまいか?!)。

 今一度、各位の心の闇を照らし出すかのような私の無作法をお許しいただきたい。
 しかし、私がこの社会を去る前に、私が得た数少ない無形の資産を各位に共有することだけが、今の私にできる唯一の贖罪であると考えている。
 私にもう少し度胸があれば、ピンク鳥🐦に付けられた「変質的な不届者」との汚名を返上するための活動を続けることができたかもしれないが、実のところ、このような懺悔を記録に残すことしかできない、やはりそれが私という浅ましい人間の限界なのであろう……。
 そう、これはピンク鳥🐦の汚名を晴らすことができなかった私の懺悔であり、私こそが臆病者のレッテルを貼られるにふさわしいのである。
 ゆえに、私は繰り返さなくてはならない。
 たとえ、それが各位にとって、目を閉じ、耳を塞ぎ、布団にくるまったままガタガタと全身を震わせるしか成す術ないほどに身の毛もよだつ「怪物」の如き残酷な事実であったとしても……。

 読者諸君……。

 私を含め、この世に生を受けたありとあらゆる者、そう……アナタたち一人ひとりが……紛れもないピンク鳥🐦なのである。
 ピンク鳥🐦の諸君、ぜひ自らの魂に誠実であれ!

(完)

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