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【1年前に読んだ本】『賭博者』は笑えるドストエフスキー

さあ、『年末休みのチャレンジ投稿』のゴールまで、もう少しだ。
頑張って完走するぞ!

つい最近、宝くじモクモク記事で昨年末に読んだ本『宝くじが当たったら』(講談社文庫)を紹介したばかりである。

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もう1冊、昨年末に読んだ本を思い出した。

しかも、めちゃめちゃ面白かった。

こちらである。

『賭博者』(新潮文庫)
(著者:ドストエフスキー)

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えっ?!
どどどどどどどどどどどどどどど……どっぴゅ~ん!
どどどどどどどどどどどどどどど……ドストエスフキー?!

アンタはん……何で……年の瀬にそんな難しそうな本ヲ……ToT

否っ!


それがそれがっ!
全然そんな難しい類の文学文が苦ッ!な話ではない!

あー、もうそんな……やれ『罪と罰』だ、やれ『カラマーゾフの兄弟』だ……なんて、そんな敷居の高いものではない。

しかも、私はこの小説ヲ読んで、可笑しくって可笑しくって、何度かゲラゲラ笑ってしまったくらいだ!

「ドストエフスキーで笑える」というのは、本当に貴重な発見だった。

※※※※※

本作はタイトルのとおり、ギャンブルギャンブラーの話である。

私はギャンブラーではないし、ギャンブルはほとんどやったことがない。

ただ下の記事とかでも書いたが、カジノの雰囲気が本当に大好きであり、またギャンブラーの話とかも好きである。

"RIVERS CASINO"の写真が少し出ている。

漫画の『カイジ』シリーズとかも着々と読み進め、今は順調に『賭博堕天録カイジ 24億脱出編』の途中である。

、、、と脱線してるとどんどんアレなので、本の紹介をする。

『賭博者』は肩肘張らずに読むことができるギャンブルギャンブラーの小説である。

あらすじを簡単に説明する。

※※※※※

ドイツの架空の街が舞台となっており、アレクセイという男が主人公である。
この主人公がええとこの一族の家で家庭教師として働いている。
ある一件をきっかけに、アレクセイは一族の財政が芳しくないことを知る。
そして、どうやら一族は「おばあさま」と呼ぶアントニーダという大金持ちの婆さんが死んで、その資産が相続財産として転がり込むことを期待していると知るに至る。。。

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要するに、ジャンル自体は相続財産をめぐり、大金持ちの老人に振り回されるドタバタ系ドラマといったところである。

ただし、通常のこういった話では、「相続人 ⇔ 被相続人」との間でのかけ引きがメインとなり、そこに「相続人ではない誰か」が上手く相続財産をせしめようと被相続人に近付く……といったピカレスク小説的な展開が多いように感じる。

本作は、没落しそうな一族が「大金持ちの婆さん、早く死んでくれ~」みたいに願って、婆さまに振り回されるのではあるが、それを主人公という冷静な第三者が俯瞰的に見ているという構図が何とも笑いを誘うのである。

主人公のアレクセイは、ありがちな相続財産ミステリーもののように相続人と一緒にガツガツと争ったり、被相続人におぺんちゃらを言って取り入ったりはしない。

しかも家庭教師という被用者(雇われる者)の身でありながら、一族に対しても別に卑屈にヘコヘコした感じではなく、むしろ「ふてぶてしい」態度で接するので、読んでいて小気味良い。

詳細は割愛するが、一族がカジノに繰り出し、そこにある「ルーレット」でギャンブルを始めるのだが、そのカジノが本作のメインの舞台となる。

そして、大金持ちの婆さまが遠方から一族のいるカジノの町に直接乗り込んでくるあたりから話が盛り上がり始める。

一族は皆が皆、大金持ちの婆さまの資産を狙い、表向きは婆さまに対するおべんちゃら攻撃が凄いのだが、心の底では早くこの婆さまが死んでくれと願っている。

そして、婆さまもそんな一族の心の奥を見通してか、一族を邪険に扱う。
そんな中、なぜかこの大金持ちの婆さまが主人公をめっちゃ可愛がっているという人間関係が、この話の面白さを加速させている。

さて、周りの一族からしてみると、婆さまが莫大な資産を残したまま早く死んでくれると助かるわけである。

しかし、婆さまがカジノ都市に乗り込んでくることによって、すでに一波瀾が起きそうな気がする。
そして、この婆さまが、よりによって「ルーレット賭博」に嵌まり始めることにより、本作がどんどん笑える流れになってゆくのである。

一族は、婆さまがそんなギャンブルに嵌まり込んで資産を大きく減らしてしまっては困るので、何とか婆さまのギャンブル通いを阻止しようとする。

しかし、一族が婆さまにヘラヘラと近付いて行くと、婆さまはウザそうに「アッチ行け! シッシッ!」みたいに追い払う。
一方、婆さまは主人公に対しては自ら「アンタ、ちょっと付き合ってくれ」みたいにすり寄って行くのである。

この「主人公 - 大金持ちの婆さま - 資産を狙う一族」の三角関係が本作の見どころの1つだと思っている。

この「大金持ちの婆さま」もひと癖ある人物なので、主人公に対して「ねえ、どこにお金張ったらいいと思う?」みたいに聞いたりするのだが、ハズレるとムキになって主人公を突っつき^^; 「アンタのせいで負けたじゃない! もう、どっか行け!」みたいに激情型な反応をする。

そして、主人公も婆さまにこびへつらうことはしないので(だから婆さまに気に入られているのかもしれないが)、淡々と「そうですか、お婆さん、ではさようなら……」とか突き放し、婆さまが「いやいや、冗談じゃないか。怒っちゃやーよ」みたいに主人公を宥めようとするあたりのやり取りも漫才みたいで笑えるのである。

婆さまのギャンブル運はいかがなものか、そしてその莫大な資産はどうなるのか……といったあたり、興味が湧いたら、実際に読んでいただければと思う。

本作、少し批判的なことを書くとすると、ギャンブルの盛り上がりのシーンが白熱しただけに、終盤あたりが少し尻つぼみと感じてしまった。

主人公はある女性に恋をしており、そこらへんの恋愛模様の描写がエピローグとして盛り込まれている。
ここらへんはドストエフスキーの実体験をベースにしている(?)という話もあるのだが、少し冗長で個人的には飽きが来てしまったのが残念である。
(本作が残念という意味ではなく、私自身がそこまで白熱して読み進めていたのに、ラストが相性が合わずに冷めてしまったのが残念だったという意味である)。

本作は『罪と罰』などの著名な文学作品とは異なり、何ともライトな作風であると感じる。
ドストエフスキー自体がギャンブル依存症だった時期があり、ギャンブルで背負った借金を返すためにやっつけで短期間で本作を書いたみたいな説があるらしい。
そこらへんは、もう少し文学に詳しい方やドストエフスキーのマニアみたいな人が真相をご存知かもしれない。

いずれにせよ、本作は「ドストエフスキー文学」といった言葉の重みを全く感じさせないエンターテインメント的な読みものとして、私は大いに楽しんだ。

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【余談】
~私のギャンブル歴~
カジノの雰囲気が大好きで、マカオやラスベガスを始め、アメリカのあちらこちらに散らばっているカジノを見付けると「ヲ!」と言っていた。

マカオは2002年にカジノ経営権を対外解放し、今や外資系含め6社にカジノビジネスのライセンスが与えられているが、昔は長らくスタンレー・ホー(Stanley Ho。中国語名 - 何鴻燊)という人物が独占経営していた。

私は、このスタンレー・ホーにも大いに興味があり、以下の伝記も買ってしまったのだが、面白いのでついでに紹介する。

外資の『ベネチアン』(The Venetian Macao)とか、『ウィンマカオ』(Wynn Macau、永利澳門)とかも良いのだが、SJM系の老舗の『オールド・リスボア』沢木耕太郎さんの『深夜特急』の世界である)などに立ち入ると何ともマカオカジノの歴史を感じる。

「ヲ!」と言って歩いているものの自分では殆どお金ヲ賭けずにブラブラとカジノ内をうろついていたりする何ともつまらない奴でもある。

20代のとき、高校時代からの『泥田坊』という友人と一緒に初めてマカオのカジノ行き、若かったせいもあって若干調子に乗り、その晩は日本円換算で5万円弱負けた。

それがこれまでの人生で負けた最高額である。
(まあカワイイもんでしょ^^;)

競馬(北海道のばんえい競馬も)とパチスロとパチンコを合わせて、人生で10回くらいやったことがある(私の愛すべき中国人ソウルメイトの『モンキーマジック』さんが、ビギナーズラックで競馬の「3連単」を当てたことがあるが、しょぼい賭け方だったので、しょぼい勝ち方だった)。

私のギャンブル歴はざっと以上のとおりであり、武勇伝にもなっていない^^;

しかし、根っからのギャンブラーって、三大欲求も忘れるくらい(ギャンブルという)のめり込むことができるものがあるって、少~し羨ましい気分になることもある。
まあ、私には博才はないので、私自身がギャンブラーでなくて良かったという安心感のほうが圧倒的に強いが。

『ラスベガスの夜に観た噴水ショー』

『ラスベガスの夜に観た炎のショー』


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