シン【ソウサクの中毒⇔中毒のソウサク⑨】

「開けろ開けろレロレロ」
 窓の外から奇怪な声が聞こえてくる。
 シロヌリ人間が、ガラスを長い舌でベロベロなめまわしている。

(爬虫類かよ)
 俺は不快だった。
 窓ガラスは、くらしのマーケットの人が掃除したばかりだったが、あんな舌で嘗められたら、掃除しなおさなければならない。
 汚らわしい。

「臭いな」
 それに、シロヌリ人間の体臭がガラスを突き抜けて、こっちに届いている。信じられない臭さだ。
 青山霊園の地下で、さらに腐敗が進んだのだろう。

「ぷぺ」
 元母親キョンシーが反撃してくる。
 油断は大敵。キョンシーはもう貧弱な母親ではない。
 化け物と化している。
 力も強く、腕相撲をしたら負けそうである。

「死ねね。キサマも白塗りしろ」
 元母親が首を絞めてくる。
「なめんな、殺されてたまるか」
 股間のペ●スは、さらに縮こまっている。

『キキキキ』
 信じられない。
 窓の外のシロヌリ人間が舌ベロを使って、ガラスに円形の穴を開けようとしている。

 ガラスカッターみたいな鋭利な鋭利なエイリアンみたいな舌ベロ。

 ピンチ到来。
 命にかかわる異常事態である。
 ああ。霊園の地下で、さっさと、シロヌリ人間を殺しておけばよかった。
 でも、こいつら死んでも半永久的に復活を繰り返しそうだ。
 ゾンビ映画みたいにさ
 

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