過去を捨てる

ごうごうと 樹々をゆらして 風が吹く
我も過去ごと 飛ばしてしまえ

             うたの日題詠「風」

山の上の家に住んでいるので、樹々の間を吹き抜けていく風の音をよく聞きます。

この家には、2年前に会社を辞めて移り住みました。
全てを捨てて、夫と二人で生きていこうとしてました。
実際、家にあったものを9割捨ててきました。
書斎の壁一面、天井までの本棚にあった本も、小さなダンボール二つ分しか持ってきませんでした。
全集も、流行作家の本も、歴史書も全部捨てて、今、持ってきたダンボールを見ると、残っていたのは何冊かの歌集と式子内親王の本、そして仏教の本だけでした。
結局、私に残ったのは短歌と仏教と、式子内親王が生きた平安時代末期への興味だけでした。

そんなことを思い出しながら、詠んだ歌です。

この記事が参加している募集

#今日の短歌

39,311件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?