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連作「ゴジュウカラ」

「塔」四月号の「特別作品」に掲載されました。
「特別作品」というのは、特に優秀な歌が選ばれた集ではなくて、15首以上の連作を投稿する場です。今回は15編の中から5編選ばれたと書かれてました。

ゴジュウカラ
罅入った心グシャンとついに割れ早期定年退職選ぶ
退職の日の青空はただ澄んで哀しくもなく嬉しくもなく
そうここが境界線でここからは魂の道歩くと決めた
五十歳会社を辞めて山に来たそれでいいよとゴジュウカラ啼く
ゴジュウカラ黒い帽子にタキシードまるで紳士のようないで立ち
鳥たちはチチチ、チチチと枝先を飛んで歩いてどこか楽しげ
冬になりなにもないよな森の中枝に小さく残る実つつく
「手放して楽しく生きる」と煽る本コンビニにあり少し立ち読み
小雪降りしろくましろく小雪降りその静けさが私を包む
枯れるとは木が古くなると書かれしに若木のままに立ち枯れし、我
この風はなに?ぞうぞうと木を揺らし我の間を吹き抜けるのは
いくつもの冬を巡ってきたけれど生き抜いたんだ凍る世界を
諦めた夢は熾火になっていて薪をくべればぼっと燃え立つ
ベランダにひまわりの種置きやればウソとゴジュウカラ交互に飛び来る
楽園はどこにあるのと探したがやはり今ここ ここが楽園
冬の中ひっそりと蕾つける枝きっと春にはほっとして咲く

塔三月号275p


 

年齢が、ばれますね(汗)
山に来て、少し野鳥の名前を覚えたころ、ゴジュウカラって「五十から」ともいえるなぁ、と思ったのがきっかけです。

その前に、家のベランダの手すりに野鳥が止まって、わー、野鳥だ!と思ってスマホで撮ってオットに送ったら、

「おー、すごいね。なんていう鳥?」

と入れて、野鳥図鑑で調べたら「ウソ」という名前で。

「ウソ」

とLINEしたら、

「え? 嘘? 本当?」

と返事があり、

「本当にウソ」

という漫才のようなやり取りがあり。
「ゴジュウカラ」に「ウソ」が来るって、ちょっとおもしろいよな。
短歌に出来るかな?って思いました。
本当はもっと数を作っていて、そこから選んだり、並べ順を考えたり、けっこう頑張って作った連作なので、採ってもらえて、とても嬉しいです。
ある人から連作の作り方も教えてもらったので、その定石も踏まえながら、連作、作り続けようと思います(^^)

なお、写真はウソの方です。



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