猿若祭二月大歌舞伎 昼の部 籠釣瓶花街酔醒
初日に幕見。あまりにも良かった。まず、勘九郎の声があまりにも勘三郎で、父の大ファンだった息子が姿を追うところを見てしまって、それだけで涙が出た。
だけど、単純に父を追うのではなく、彼の形になっていたところがさらに泣けた。容貌が悪くても腐らず真面目で勤勉で優しいが故に人に好かれ、だけれども、真面目で優しいからこそ色男の強烈な魅力に勝つことのできない男。その性質故に一人で静かに傷つき、それでも周りに気を遣い、歪み、妖刀の力に後押しされる形で狂っていく様がなんとも良かった。そして、