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壽 初春大歌舞伎夜の部 歌舞伎座感想

右近が大当たり!京鹿子娘道成寺になった途端めちゃくちゃ客も大向こうも入ったのも納得だよ!
世阿弥の花を考える。今回見たものは、20代後半から30代にかけての年代でしか出せない、ナルシスティックで挑戦的で強引な踊りだった。だけど自信に実力が伴っててすべってない。それら両輪がうまく噛み合ってる勢いのある踊りだった。客も喜んで、踊り手も乗って、でも客のペースに乗せられず、ぐいっと引っ張って客を振り回す踊り。
40以上になると体力というより気持ち的に無理だろう。ある程度自分の力を盲信できる若さ、幼さを持った精神でしかあれは踊れない。
芸が体が完成して楽しくて仕方のない地点から、冷静になり、だんだんと動かなくなる体とのこれまでとは別の闘いが始まるんだろう。
右近の花子はじわっと滲み出て、急に炎を吐く熱だ。七之助は触れた途端冷たさを感じる、次の瞬間火傷をする熱。
それと対照的に、老衰した白鸚が演じるからこその息子。幸四郎も良かった。
元気な白鸚を映像以外で見たことがない世代なので、私が振り返って生で見た彼のことを思い出すのは今回の彼だろう。

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